EDHにおける一つの指輪の可能性を考えてみる
「指輪物語」の衝撃
今「一つの指輪」旋風が起きている。
指輪物語コラボが発売されてからまだ間もないですが、今指輪物語の新カード達がMTGのトーナメントで続々と結果を残しています。
先週行われましたプレイヤーズコンベンション千葉2023オープン（モダン）では一つの指輪入りトロンや５Cエレメンタルが話題となりました。
更には一つの指輪とのシナジーを見込まれてカスレアの代表格だった「水の帳、マゴーシ」がまさかの値上がりと売り切れを連発しています。
レガシーでも8castで一つの指輪が採用されるなど、様々なフォーマットで採用が試されています。
最初はモダンホライズンよりもカードパワーが低めだと評されていましたが、ふたを開けたら「一つの指輪」だけにとどまらず、「オークの弓使い」や「喜ぶハーフリング」、更には「再鍛造」や「指輪の誘い」、アンコモン以下でも「剛毅なるサムワイズ」に「厳しい説教」、コモンでも土地サイクリング各種や「誕生日の旅立ち/Birthday Escape」、「火の中へ投げ捨てる/Cast into the Fire」などが活躍しています。
EDHで「一つの指輪」は強いのか？
このようにトーナメントシーンで活躍している指輪物語のカードですが、これらのカード、特に「一つの指輪」は統率者戦環境では強いのでしょうか？
結論から言うと強いです。
晴れる屋のいってつさんが書いた記事の中で証明されています。
また、「一つの指輪」でデッキ検索をかけてみても複数の採用されたレシピが上がっています。
特に「精神破壊者、ネクサル」を使用している方は複数の統率者集会で記録を残しています。
晴れる屋の記事で「一つの指輪」については
プロテクション（すべて）は強かった
ドロー能力も強かった
カードタイプも強かった
「無のロッド」が有効になるけど、「オークの弓使い」の影響でマナクリ使うデッキが数減らす
「大いなる創造者、カーン」が強くなる
立ち位置的には「魔力の墓所」くらいになるのでは？
と評されています。
私も最初は「まぁコンボ止まらないし、プロテクション１ターンだし、あんま影響ないやろ」と考えていました。
しかし、ふとしたことに気が付いたので書いていきます。
ただし私は身内でプレイしているだけで統率者戦の大会に出たり、EDHサーバーで回したり、積極的にcEDH環境をプレイしているわけではなく、完全にトーナメントエアプ勢です。
素人考えで思いついたことを書いているだけなので間違っている部分、認識が甘い部分があることをご了承いただければ幸いです。
一つの指輪ってコンボ防げるんじゃね？
最初に気づいたのは、プロテクション(すべて)は１ターンコンボを防げることです。
「いやいや、阻害しないじゃん」と私も最初は思いましたが、プロテクション(すべて)は結局プレイヤーを対象に取らず、ダメージも軽減するので、これを貫通するコンボはごく限られます。
貫通出来るコンボの代表格はデモコンタッサです。
これは特殊勝利なので、プロテクション(すべて)があろうが関係なく勝てます。
しかし、他の代表的なコンボはどうでしょうか？
有名なのはブリーチコンボです。
フィニッシュがタッサの信託者なら勝てますが、「思考停止」で勝とうとすると対象に取れなくて勝てません。
これが研磨基地からの霊気貯蔵庫ならばプロテクションが解けたタイミングの50点砲で勝つことが出来ますが、その前に貯蔵庫を除去されると決め切れません。
光り角の海賊は対象を取っていませんが、ダメージなので軽減されるので決めることは出来ません。
無限トークンによるコンバットもプロテクション(すべて)でアタック先として指定することが出来ません。タイマンならアタック先の指定がないのでアタック自体は出来ます。
無限ターンもコンバットが絡むと同様に決め切ることは出来ません。
ただ付随するドローとアンタップでほぼ勝ちな場を構築してターンを返す事は出来ます。
無限マナならば歩行バリスタのような形で持ち越せればインスタントタイミングで勝つことが出来ますが、除去されれば同様に勝ち切ることは出来ません。
なお好きなタイミングで無限マナを出せる場合はその限りではありません。
ここまで決められないケースだけ書き出して来ましたが、逆にプロテクション(すべて)があっても決められるパターンを書き出して行きます。
一つはライブラリーアウトです。
ライブラリー修復手段を持っての寺院の鐘や、陶酔のような対象を取らないドローか切削でライブラリーを引ききってターンを回せばドローフェイズで敗北します。
もう一つがライフルーズです。
瀉血やボーラスの城塞のようなライフルーズならプロテクション関係なく倒せます。
その為、極上の血コンボはプロテクション(すべて)の上から勝てるコンボとなります。
まとめるとこんな感じです。
デモコンタッサ、その他特殊勝利→問題なく勝てる
ブリーチコンボなどライブラリー使い切る系→自滅する
無限ドロー、無限マナ→めちゃくちゃな場が作れれば有効
無限コンバット、無限トークン→決めきれない
ライブラリーアウト、ライフルーズ→関係なく勝てる
コンバットが今まで以上に重要に？
今までもむかつきケアでライフを減らすことの重要性は知られていましたが、一つの指輪のプロテクション(すべて)とライフルーズでこれまで以上にライフを減らすことが重要視される可能性があります。
魔力の墓所の維持コストが長期戦では無視できないことは以前から知られていましたが、指輪の維持コストが加わると、アップキープに4点または5点を失うことが頻繁に起こるかもしれません。
またライフルーズによる焦りからコンボを決めようとしても、一つの指輪のプロテクションとドローによる妨害の引き込みが組み合わさって、コンボを決めるのが難しくなって望まないロングゲームに持ち込まれる可能性もあります。
指輪のプロテクション（すべて）に関しては、各プレイヤーが順々に一つの指輪を出していけば自分を除いて最大3ターン誰かしらがプロテクション（すべて)を持つ可能性があり、その上コピーが出たら更にそれが続きます。
コンボが決めづらくなる一方、ロングゲームになるとライフルーズは重く伸し掛かってくる。そこで、コンバットが重要になってくると考えます。
例えばコンバットをして回るスライサーのような狂犬や、ウィノータのような展開しながら殴っていくデッキが今後台頭してくるかもしれません。
一つの指輪を使ったサンプルレシピ
ここで一つ、指輪入りのサンプルレシピを作ってみたいと思います。
ロングゲームを見越してのコントロールデッキ、「パルン、ニヴ=ミゼット」です。
一つの指輪のサーチカードとしてテゼレットとゴブリンの技師を加えています。
本当はカーン入れたり、相手のカーン対策にゴブリンのクレーター掘り、そしてクリーチャー対策に稲妻を入れたかったのですが、枠が無かったです。
更に言えば徴用入れてお前の指輪は俺のもんや！もやりたかったのですが、青カウントが厳しそうだったので見送りました。
今後どんなデッキが出てくるか楽しみです。
最後に
すでに一つの指輪禁止議論が成されていますが、統率者の禁止カードって「ゲームをつまらなくする」「ゲームを停滞させる」「あっさり勝てる」のどれかだと思うのですが、むしろ一つの指輪はプロテクションを除いてゲームを加速させる存在なので、しばらくは見逃させると思います。
これで「永遠に指輪を出し入れして引きこもる」なんてデッキが流行ったら話は変わってきますが……。
私から言えることただ一つ。
指輪物語のバンドル再販してください。
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