第4回 「理念採用」成功のカギはしっかりとした相互確認
1 足を止めてもらえたら、間髪入れず次の情報提供を
「理念採用」が「自社の経営理念を共有できるか否か、合うか合わないかで採用不採用を決める」採用である以上、そのモノサシとなる理念を求職者や学生に知ってもらった上で、本人と会社側が本当に「合うか、合わないか」を確認し合うプロセスが必要です。
最初にすべきは、前回第3回でお話ししたように、とりわけ“中堅中小企業や不人気業界の企業”においてはアピールできること=自社の理念、“アツい思い”を知って足を止めてもらうこと。そのために「あらゆる手段で、1人でも多くの人に知ってもらう努力」をすることです。
最初の一言、すなわち広告でいえば最初の1行のキャッチフレーズ、合同説明会などでは正面に掲示するキャッチフレーズが大事で、その表現方法については前回いくつかのノウハウをご紹介しました。お金を掛けて表現のプロであるコピーライターに頼まなくても、ある程度自社で考えられるのではと思います。
ここで足を止めてもらえれば第1段階は成功ですが、20文字前後のキャッチフレーズだけでは情報量が少な過ぎて、詳しいことは分かりません。相手はそこでもう少し追加情報が欲しくなるのです。
さもなくば「ちょっと気になったから足を止めたけど、ちょっとだけだから、まあ、他を先に回ろうか」と踵(きびす)を返してしまうでしょう。後でまた来てくれる保証はありません。
足を止めてもらったところで、間髪入れずにもう少し詳しい情報提供が必要です。「合いそうかな」と足を止めた人に、もう一歩こちらに踏み込んできてもらうのです。本当に「合うか、合わないか」第2段階の相互確認です。
ここでも時間は限られています。引き留められてもせいぜい3分程度と思ったほうがいいでしょう。つまり読んで判断するのにそれ以上かかる情報量だと帰られてしまうということです。
彼(彼女)が再びあなたの会社の前で足を止めてくれる可能性は高くありません。他にも検討すべき会社が、求人サイトや求人誌にはいっぱい掲載されているのですから。
適当な情報量とは文章量にするとどれくらいでしょうか。一般にアナウンサーが原稿を読むスピードは1分間で400字詰め原稿用紙1枚以内といわれます。聞きやすく、よく理解できる目安といえるでしょう。
“聞く”と“読む”では、集中すれば“読む”ほうが速いと思いますが、あくまで集中していればの話。全ての求職者に対してそれを期待するのは難しいでしょう。
先ほど挙げた3分とすれば、追加情報は400字×3枚=1200字。1000~1200字くらいが理想ではないでしょうか。A4で40字×40字のワード画面であれば1ページの3分の2から4分の3くらいです。
2 情報=文字数ではない。では何を盛り込むか
情報量は文字数だけでは決まりません。
みなさんも経験があると思いますが、長いのに情報がほとんど無い文章は世の中にあまたあります。読み始めると読者の気持ちを分かっていなくて何を伝えたいのか理解もできず、時にイライラしてしまいます。最後まで読む気になれず、その場を離れたくなります。せっかく立ち寄ってわざわざ読んだのにと。
逆に秀逸な俳句のように、わずか17文字で五感を揺さぶられるような情報を感じることもありますが、俳人や文章のプロでもない人がチャレンジしても失敗するだけです。幸いにも、追加情報は俳句の何十倍かの文字量があるのですから、プロでなくてもまだやり方がありそうです。
私が普段意識している【追加情報の5つのチェックポイント】をご紹介しましょう。
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