【シン・ウルトラマン】なぜ「禍特対の滝」の机上に「サンダーバード2号」がいるのか
2022年5月13日に公開した東宝映画作品・空想特撮映画「シン・ウルトラマン」。
もっとも劇場版「ウルトラマン」なのですが、なんと歴代ウルトラシリーズに出ないメカが登場しています。なぜでしょうか。
※以下ネタバレパーティーです。
禍特対の机で異質な存在を放つ滝の机
映画冒頭にて浅見により禍特対員の紹介を行っていますが、同時に机上の整理状況も確認できます。
ほとんどの班員の机が整理されている中、滝だけは机に戦闘機の模型を並べており、「典型的なヲタク」と評されます。
滝の紹介では航空機系の模型が並べられ、2カットに渡っていました(見間違いでなければ)。1カット目は自衛隊機中心で、作中自衛隊の協力も得ていることから納得です。が、2カット目に中央に堂々と深緑の「サンダーバード2号」がいるほか、「サンダーバード」1号~6号が揃っています。そこそこの特撮ファンであればすぐに認識できる期待形状と色合いをしているため、気づかれた方も多いはずです。
この「サンダーバード」は、アメリカで制作したSF人形劇で、怪獣もほとんど出ず光る巨人は登場しませんしウルトラマンを制作する円谷プロとも関係がありません。
ウルトラマンは50年以上にわたり30以上の作品を世に出しています。歴代ウルトラシリーズ作品それぞれに地球防衛隊的な組織があるのでそれぞれに数種類ずつ戦闘機があります。今回の映画「シン・ウルトラマン」はウルトラマンの映画ですから、歴代ウルトラ戦闘機を並べるだけでウルトラヲタクは大喜びになるはずです。
「サンダーバード2号」の配置は映画終盤につながる大事なカギとなっている
ではなぜウルトラ戦闘機ではなく「サンダーバード」を置いたのでしょうか?その答えが「分け隔てなく比較し考えること」です。
物語終盤、天空にゼットンが現れます。少なくとも晴れの日であれば日本全国から上空を見上げれば目視できる位置にあったため日本にいれば誰もが認識できました。
もっとも政府がゼットンの詳細を隠ぺいしたためゼットンが何であるかは日本国民に伝わることはありませんでしたが、ゼットンが何であるかが分かったからと言って自ら解決しようとせず、禍特対、いやウルトラマンという神頼みをほとんどの人が選びました。
円谷プロだのアメリカの制作会社だので分け隔て考えているようでは、宇宙人による地球消滅の危機も人間世界の現象とは全く別の理論だと思い込んでしまい、ウルトラマンという神頼みになるわけです。
それを見かねたウルトラマンはわざと負けに行くわけですが、それを見て解決したいと思ったのが禍特対ですが、その中でも適性があるとみなされ神永 =ウルトラマンからUSBメモリという名のヒントを与えられたのが滝でした。
結果ウルトラマンから与えられたヒントを基に「禍特対の滝」が中心となって解き無事平穏な日々が訪れたわけですが、ウルトラマンが「禍特対の滝」を選んだのもきちんと理由があります。
もっとも「禍特対の滝」も当初は人間世界と宇宙人の考えは大きく違うと考え絶望していました。しかしこの世の万物のものはニュートンにより説明できるとされています。それを取り払えば解けると神永 =ウルトラマンが踏み、地球も宇宙も共通の法則で解ける説明としてヒントを与えたのです。
この分け隔てなく考えることの象徴として、アメリカの制作会社で作った「サンダーバード2号」を「禍特対の滝」の机に置いたのです。
結果的に「禍特対の滝」は神永=ウルトラマンの助けもあり「分け隔てなく比較し考えること」に行きついたわけですが、これができない大人が多いからこそ警鐘を鳴らすために終盤で「禍特対の滝」を使って「分け隔てなく比較し考え」てほしいとかなり強い主張をしています。
「禍特対の滝」には脚本・演出の庵野秀明氏の強い主張が込められているのです。
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