【読書感想】朝井まかて『先生のお庭番』
2016.10.26アップ。
朝井まかて著『先生のお庭番』
フィリップ・フランツ・バルタザール・ フォン・シーボルトに使える若き園丁・熊吉の話。
主要な人物は実際に存在した人。
日本の花木、長崎出島、シーボルト、そして紫陽花。
この小説は美しい。
美しさの中に、噓が散りばめられてあり、それが一層この小説の美しさを際立たせている。
薬草園を任された熊吉が先生に心酔していく様子が、細かく描かれている。
熊吉が先生のためにと命さえ擲つ覚悟を持てたのは、シーボルトの日本への愛情、そして熊吉の仕事ぶりを正当に評価した点であると思う。だが、シーボルトの言葉が真実であったかはわからない。
シーボルトは熊吉が欲しかった言葉をくれた。
同様に、お滝が望む言葉もシーボルトは与えた。
シーボルトは巧みに人の心に入っていく。それが真実かどうかはわからない。いや、真実などどうでもいいのだ。その言葉によって救われてしまったのだから。
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