
サブミッションレスリングvol.2 バックチョーク 青木真也
1.バックチョークの極め方
バックチョークって簡単にできるようで実はめちゃくちゃ難しいのが特徴ですよね。
今回は試合でもバンバン極めている青木選手のバックチョークの細かな部分が学べます。
先ずは、チョークを極める時の位置取りから。
相手と自分の位置関係が適切な場所でないと「そもそもチョークの手が入らない・・・」なんて事が起こります。

それから、組み手の説明があるのですがこれが物凄いディテールです。
手の握り方や、相手の力が入らない方法、その他トラブルシューティングが全て網羅されています。
これも長年バックチョークをやって来ている青木選手だからこその知識が詰まっています。
極め方に関しては、身体の使い方、力の伝え方に秘密があり、これだったら顎の上からでも極まるなあと納得の説明でした。
顎が入ったらチョークを極められないというあなたにも必見の内容です。
そして、説明の途中で「コーチされる方はこういう感じで説明してください」と分かりやすく人に伝える方法まで教えていただきました。
全国の指導者の学習指導要領にしたいところです。
2.ネッククランクの説明
基本的には最初のバックチョークの極め方でフィニッシュできるのですが、相手のディフェンスで頸動脈に入らない時があります。
そんな時に使えるのがこのネッククランクです。
ただ、青木選手の中にあるコンセプトはバックチョークもネッククランクも同じ首関節技という事です。
これは受けて説明を聞いて非常に納得でした。気になる方は本編をお楽しみに。
実践ではこのネッククランクとバックチョークをコンビネーションとして仕掛けていきます。
バックチョークが行けない時はネッククランク、それで嫌がってきたらバックチョークに戻って・・・というのを繰り返します。まさに地獄の時間です。
そして、このネッククランク、クロスフェイスの概念は組み技競技にはとても大切でパスする時や相手をコントロールしたい時に大変有効です。
1つのコンセプトを知る事で多様な場面で応用出来るようにしましょう。

3.パームトゥパームチョークの極め方
先ほどのマタレオン式チョークだと狙われるのがチョークハンドを握られる事です。
セットアップ中に手を取られて上手く極まらない・・・なんて方は多いのではないでしょうか。僕もそうです。
そこで有効なのがこの、「パームトゥパームチョーク」です。
確かにMMAの試合なんかではグローブ握られたりするというデメリットから瞬間で極めれるパームトゥパームチョークは良く見られますよね。
この技も手のひらと手のひらを合わせるだけのシンプルな技に見えて手のクラッチや肘の位置など細かい技術がたくさんです。

肩固めでも思ったのですが、どうやったら脇が閉まりやすとかどの指にどの指を引っ掛けると力が伝わりやすいとか、20年間プロのトップ戦線で戦っている青木選手だからこそ深く多様な経験から大切な事を教えていただきました。
4.タスキのかけ方(手の組み・クラッチ)
これまた物凄い細かいディテールが満載です。
バックの時のタスキってなんとなくシートベルトにして落ちないようにすれば良いって感覚でした。
しかし、青木選手のタスキ掛けは握り方、引っ掛け方、手の変えるタイミングなど細かい部分だけで約5分の説明があります。
まさに、森を見て木を見ずではないですがここまでタスキ掛けについて考えている方はいないと思います。
青木選手がこれだけバックキープ出来る理由はこのタスキ、手の組み、クラッチにあるんだと理解しました。
このキープ方法があってこそのバックチョークです。何度も見直しましょう。

5.足のフック(ダブル・シングル・四の字)
先ほどは上半身のコントロール(タスキ)の説明でしたが今回は下半身のコントロール(足のフック)です。
大きく分けると3種類ありますがどれが良いというよりもその時の状況で使い分けするのが特徴です。
逆に飛ばれてエスケープされる時はこのフック、身体をずらす時はこのフック、ツイスターをかける時はこのフック、腕十字に行く時はこのフック。
と、それぞれの状況での使い分けを学べます。
足のフックだけでもシステム化されており格闘技経験のない方でも試合観戦の際に「お、あのフック使ってるからあの技行くかもしれない!」なんて楽しみもできたり。
様々な視点でお楽しみいただけるかと思います。

6.亀の伸ばし方
実は個人的に1番見応えのあるチャプターかもしれません。
亀を伸ばすというシンプルな技ですがその他にも応用可能なめちゃくちゃ重要な身体の使い方が学べます。
今まではクラッチ、手の握り方など上半身の動きがメインでしたが今回は下半身の骨盤の操作がどれだけ大切かが分かります。
僕自身も何となくは意識していましたが、フックガード浮かされないようにしたりハーフガードで潜られないようにしたり骨盤を前傾させる動きってめちゃくちゃ重要なんですよね。
柔術ではガードポディションが多いのでどうしても骨盤が後傾して身体が丸まりやすくなってしまいます。
そのせいで重心が上がってフックで浮かされやすかったりハーフガードで潜られやすかったりすのだと気付きました。
こうした何となく分かっているけどどう言語化して良いのか分からない・・・
青木選手はそこもめちゃくちゃ分かりやすい言葉で説明されています。
僕も特に意識するようになってからフックで全然浮かされなくなりました。
青木選手の言語化によって言葉になっていない大切な気づきがありました。
亀の伸ばし方でここまで汎用性があるのか!ってチャプターです。
色んな場面で応用が効くので、ぜひ!

まとめ
肩固めに続いてのvol.2のバックチョーク。
試合の決まり手としてはMMAや柔術、グラップリングでは1番多いのではないでしょうか?
その中でも青木選手があれだけ極めている理由も納得でした。
本当に細部の細部まで細かい技術が組み込まれており驚愕でした。
ただ細かいだけではなく他の場面でも使えるものばかりで汎用性も高く必見です。
バックチョークが上手く極まらないあなたに最適の1本。
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