やきいも・焼藷

甘藷(さつまいも)を焼いたもの。あたたかくて甘い。幸せな食べ物。

かつては私の町にも、冬になると石焼釜を乗せた屋台を引いた焼芋屋が訪れてくれたが、最近は目にしない。近隣のスーパーマーケットに石焼のスタンドがあり、一年中焼藷を購入できるが、風情に欠けるのが難。


焼藷を割つていづれも湯気が立つ  岸本尚毅 『感謝』

焼芋を割ると、黄金色の断面が現れおいしそうな湯気が立つ。両の手にある幸せ。

焼芋の大きな湯気を渡さるる  網倉朔太郎 『俳句歳時記 第五版 冬』

芋が大きければ湯気も大きい。もしかしたら、芋はそう大きくはないけれど、できたてだから湯気は大きいのかも。いずれにしても大きな幸せを受け取ったのですね。

焼藷のこぼれし欠片からも湯気  若杉朋哉 「俳句 11月号」

割ったときにこぼれたのか、食べている途中でこぼれたのか。小さな幸せ。

#完成しない歳時記

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