【実施振り返り】カードゲーム×ワークショップでキャリアを考えてみる
先週と今週の2週連続で、同志社香里中学校にて「キャリアを考えるワークショップ」を実施しましたので、その振り返りをしてみたいと思います。
最初の週はオリジナルのカードゲームを使いながら価値観、スキル、行動、職業の関連性を感じ取り、2週目にはそのゲームの構造を応用して自分自身を表現するカードを作るというワークでした。作ったカードはそのまんま「ジブンカード」という名前です。
ワークのポイントは二つ「掛け合わせにより生まれる意味」と「異なる二つの時間軸に対する解釈」です。
掛け合わせにより生まれる意味
よく、「自分らしさ」とか「スキル」とか、何か一つのモノに集約させようとする傾向が世の中的にあるなと思います。みんながサラっと使いがちな「本質」って言葉もそんな傾向を反映したようなモノですよね。
もちろん自分自身が持っている特性は、自分らしさの一面を現していることは事実でしょう。しかしそれが「本質」や「すべて」とは言い難いと思っています。
人間は色んな性質の総体から生まれています。色んな特性がかけ合わさっています。その「掛け合わせから生まれる意味」は実はあまり目が向きません。でも、そんな掛け合わせにこそ唯一無二なその人らしさが現れてくることが多いんじゃないでしょうか。
例えば持っているスキルAが他の人と比べたときに小さいものだと感じたとしても、そのスキルAと別のスキルBを掛け合わせたときに全く異なる意味を持つ。それは自分だけが持つものかもしれない。ここにさらに価値観などを掛け合わせていけば、もう唯一無二のモノになる。
一つの特性だけを見るのではなくて、複数の特性を並べてみて「その掛け合わせだからこそ生まれる意味」に目を向ける。ワークではそんなアプローチで思考してもらうことにトライしました。
異なる二つの時間軸に対する解釈
毎度、僕のこだわりポイントである「時間軸に対する解釈」を複合的に取り入れています。
いわゆる「夢やビジョン」と言われるような未来を見定めてから逆算していま為すことを考える「バックキャスト」のアプローチが存在します。一方で、培った「自分らしさ」を突き詰めていった先にある予想外な未来像を思い描く「フォアキャスト」のアプローチも存在します。
二つの時間軸に対するアプローチは根本的にどちらを選択してもいいし両方をミックスすることもできる。だから「夢や目標がなければ幸せになればい」「自分らしさを発揮できないと幸せになれない」といったことを暗に匂わす言説はキライなのです。
時間軸に対する解釈によって、本人が納得できるアプローチは異なってくる。だから、バックキャストとフォアキャストの双方をワークの中に組み込むのです。
可能性は「深めるアプローチ」と「広げるアプローチ」が存在します。この違いを意識しておかないと、可能性を「伸ばす」ことはできない。そこでヒントになるのが時間軸に対する追いかけ方です。現在から積み上げていくか、未来から逆算するか、双方のアプローチを使いこなせるのがイイんですよね。
自分の軸を「どこ」に置くか、仮説を立てる意味
と言った感じで最終的に出来上がったジブンカード。これには「価値観」と「行動」と「スキル」と「職業」と「いま」と「未来」とが一枚のカードに集約されています。要素てんこ盛り。笑
そのカードの中で果たして自分自身の軸を「どこ」に置くのか意識を向けてみる。そんな多面的なワーク構造にしました。ご存知の方もいらっしゃいますが、「多面性」は僕がワークでよく使うアプローチの一つです。
ゲームは全力で楽しみながら、ワークはうんうん唸りながら、驚くほど生徒の皆さんが真剣に取り組んでくれました。終わったあとに教室を出ていく途中で「楽しかったー!」と自然に声が出ていたと聞き、とてもいい機会にできたと感じています。
とはいえ、コレはあくまでも一つのキッカケ。アウトプットしたジブンカードも、一つの仮説に過ぎません。でもコレを限られた時間の中で外に出してみることに大きな意味がある。
アウトプットされた一つの自分のあり方を見つめたときに、また新しい気づきの種が蒔かれていく。色んな切り口から自分と社会の双方に意識をむけ、どうあるかを少しずつ自分の中で試してみる。人生って、そんな連続だと思います。
と、そんなこんな。何かしらこの2週間の体験が、小さな種になっていることを願いながらです。
僕にとってもとても貴重な機会をいただけました。ご一緒させていただいた同志社香里中学校の生徒の皆さん、ワークの構成に共感いただき貴重な機会を預けていただいた先生方、準備から本番までもろもろご尽力いただきました大興印刷の皆さん、本当にありがとうございました!