【30分で5,000個のアイデアを量産】アイデアを生むときに有効な「フレームワークの掛け合わせ」
私はアイデアの「拡散」に重きを置いています。「収縮」も大切なプロセスではあるのですが、一定以上の「拡散」がないアイデアは「収縮」させたときに小粒になっているイメージです。
アイデアを考えるためのフレームワークは世の中に沢山ありますよね。どのフレームワークが使いやすいでしょうか?、きっと個人の相性もあることでしょう。
しかし、アイデアがうまく生み出せないという方はどうも単体のフレームワークだけを使ってアイデアを生み出そうとしていることが多いように見受けられます。(私の周りだけかもしれませんが…)
そこで、ここでは複数のフレームワークを掛け合わせることで、「誰でも」「一人でも」アイデアを大量生産し、拡散を爆発させる方法をご紹介します。慣れれば30分で5,000個のアイデアを生み出すことも可能になります。
ちなみに、私は普段「プランナー」として活動しています。
しかし、アイデアを生むときに「壁打ち相手」もいないような状況で一人でアイデアを考えざるを得ないことが多いのです。なかなか苦しいことですが、これからご紹介するのはそんな悲しい状況の私が生み出したある意味で悲しい方法だとご理解くださいw
本来は、複数人でアイデアを考える方が効果的に決まっています。他人の力を借りる「借脳」の効果は語るまでもないでしょう。しかし、一人だからと言ってアイデアを生み出せないわけではない。その方法をお伝えしたいと思います。
01.【マンダラート】アイデアを生み出す鉄板フレームワーク
これは鉄板ですね。普段から使っている方も多いでしょう。
中心にキーワードを設定し、そこから連想されるアイデアを周辺の8マスに書き出す。その8マスから連想されるワードをさらに周辺の8マスに書き出す。すべて項目を埋めると単語換算で73語のワードを生み出すことができます。
アイデアを生み出す用途以外にも「目標設定」によく活用されていますね。有名どころだと大谷翔平選手が高校時代に書いた目標のマンダラートでしょうか。気になる方は調べてみてください。
サンプルとして、今回は「カフェ」をテーマにマンダラートを作ってみました。
慣れていない方だと、このマスを埋めるのも必死です。なかなかハードな作業でしょう。そして、埋めたときは一定の達成感があります。思いもしなかった連想に繋がっていることもあります。
しかし、そこで満足しちゃうのは、勿体ない・・・!
02.【マトリクス】単語の掛け合わせでアイデアを大量生産
せっかく73ワードをウンウン唸りながら捻りだしたのに、そこで満足しちゃうのは勿体ないのです。ここから一手間かけるだけでアイデアは圧倒的に増殖します。しかも、ここでは「考える」必要がありません。ただ、機械的に作業するだけです。
ここでは「アイデアの掛け合わせ」でアイデアの総量を増やしていきます。活用するフレームワークは色んなトコロで目にするマトリクスです。
このフレームにマンダラートで捻りだした単語を落とし込んでいきましょう。縦軸と横軸に一貫性はあっても無くてもどちらでも良いです。
先ほど挙げたカフェのマンダラートから、自分が気になったワードをそれぞれの軸に流し込んでみました。
それぞれの単語を掛け合わせるだけで、一気に100個のアイデアを追加できます。
画像の中でピンクの印をつけたモノは自分が気になった言葉の組み合わせです。組み合わせた言葉から連想される状況などをイメージしてアイデアを深掘りしていきます。
もし、当初の「カフェ」から逸れ過ぎることを気にするなら、どちらかの軸を「カフェ」に関連するワードに固定すれば良いだけです。しかし、私はアイデアの拡散段階においてはガンガン連想ワードの赴くままに外れていく方がよいと考えています。
どうせ、収縮の段階で正しい方向性に持って行くのですから、この段階ではガツガツとアイデアの拡散を楽しんだ方が思考も柔軟になりますよ。
03.Excel(またはスプレッドシート)で一気に数千個のアイデアを量産
先ほどのマトリクスは「手書き」であり「気になったワード」を抽出しただけでした。「手書き」にはその掛け合わせをイメージしながら作業を進めることのできるメリットがあります。しかし、気になったワードだけでは「光るアイデア」を見逃してしまうこともあります。
そこで活用できるのが、ExcelまたはGoogleのスプレッドシート上で一気に数千個のアイデアを量産する方法です。手書きとExcelには一長一短があります。どちらが優れているということもなく自身に合う方法や、合うシーンを活用のなかで見出してください。
作成方法は単純です。
縦軸にマンダラートの単語をすべて入力、横軸は縦軸の情報を(=)で同じように反映し、それぞれをCONCATENATE関数で文字列を結合するだけです。
これだけで、マンダラートで生み出した73×73=5,329もの単語が生まれています。ざっと見渡すだけでも発想が広がること間違いありません。
と、ここで「あれ?」と思われる方もいるでしょう。縦軸と横軸に73単語をそれぞれ流し込むと重複が出るんじゃないの?・・・と。しかし、この重複も案外大切なのです。
例えば、「カフェ」のマンダラートで生み出した「おじさん」と「サプライズ」という単語の組み合わせで考えてみましょう。
Excelのシート上ではこの2単語の組み合わせは「おじさんサプライズ」と「サプライズおじさん」の二回登場します。一見、重複しているようですが言葉から受けるイメージをそのまま想像してみてください。
「おじさんサプライズ」はおじさんに対するサプライズ。対して「サプライズおじさん」はサプライズを仕掛けてくるおじさん、と受け取ることができないでしょうか?
このように、同じ単語の組み合わせでも順番によって意味合い・対象・印象が全く異なるのです。だから、重複も大切になります。
厳密には同じ単語同士の掛け合わせである「コーヒーコーヒー」や「読書読書」は意味を成しませんので、5,329-73=5,256個のアイデアの種が生まれます。
つまり、マンダラートを埋めることが出来た人は、それだけで5,256個のアイデアを生み出すことが出来ているということです。
マンダラート自体をExcelの別シートに作り、マトリクスはそのシートから情報を反映するようにすれば入力の時間すら不要です。これが、30分で5,000個のアイデアという根拠。
フレームさえ事前に用意すればマンダラートを記入する時間だけでコレだけのアイデア量産ができるのです。Excelを少しでも触れる方なら、大して作成に時間はかからないはずです。このシートの作成に1時間もかかっていません。
ただし、先に挙げたように「手書き」と「Excel」は一長一短です。私の場合はまず「手書き」という行為のアウトプットをふまえたうえで、Excelを見るようにしています。自分に合った方法を模索してみてください。
そして、思いもしないアイデア同士の結合はアナタの思考に新しい風を吹き込みます。イノベーションとは既存のアイデアの組み合わせ、とは誰もが知る言葉ですよね。
04.KJ法を応用したアイデアのグルーピング・拡充
ここまで無軌道にアイデアを量産してきましたが、KJ法を応用したアイデアの拡散方法を活用すれば「気付きを伴った拡散」も可能となります。
KJ法は本来はアイデアの整理に活用される手法です。しかし、敢えてここではアイデアを整理せずに「まだ浮かんでいない分野」を考えることで、さらにアイデアを広げようという試みです。
これは、アイデアを分類し「ジャンル名」をつけるから思いつくことのできる思考です。ジャンル名をつけると、まだ思いついていない「空白」が意識できます。ここに気付くことが出来るのが、KJ法を応用する意味です。
この手法を使うとアイデアがさらに広がります。そのアイデアをまたマンダラートやマトリクスに戻して広げ・掛け合わせとすれば無限にアイデアを増産していくことができます。
05.縦方向の思考と横方向の思考
ここまで紹介したアイデア拡散方法はかなり無軌道なモノに感じたかもしれません。実際にアイデアを考える際には「リサーチ」や「因数分解」といった作業を経て実践している方も多いでしょう。
しかし、私はこの一般的な方法では煮詰まってしまいます。良いアイデアが考えられず「ありきたり」なアイデアしか浮かばなくしなってしまいます。もし、同じように一般的な方法で煮詰まる人がいるのであれば、私の方法を試してみても良いかもしれません。
その理由は「縦方向の思考」と「横方向の思考」の性質の違いによるものだと感じています。
既存の情報を整理すること、あるべき姿を想定すること、これらは「縦方向の思考」であると定義しています。「縦方向の思考」は深みを生み出すために絶対的に必要になる、相手に刺さるものを生み出すときに避けては通れないものです。
対して「横方向の思考」は自由な拡散。先に挙げたような方法論で無軌道にアイデアを量産する。ブレストもこの「横方向の思考」に該当するものです。
企画のプロセスにおいて「縦方向の思考」は絶対的に必要なモノです。しかし「縦方向の思考」と「横方向の思考」は、その順番が大切になると感じています。
どういうわけか「縦方向の思考」を必死に考えたあとは「横方向の思考」が広がりません。「縦方向の思考」は制約を生むものかもしれないからです。だから「縦方向の思考」をする前に「横方向の思考」で一度アイデアを拡散させておく必要があるのです。
「与件」や「リサーチ」や「べき論」がアイデアの誕生を阻害することもあります。だから、私は何かの企画案件が発生したときに最初に与件をほとんど聞かない状態で事前にアイデアを拡散させておきます。ここでは収縮しません。
十分アイデアを広げた状態で「オリエン」を受け「リサーチ」を進める・「べき論」を考える、といったプロセスを経るようにしています。そのあとで、必要であればもう一度拡散をするのです。
だから、通常のアイデア出しにおけるプロセスとしてよく言われる「拡散→収縮のサイクル」を最低でも2回は繰り替えすということです。
これは、私の性質によるものなので一般に応用すべき方法ではないかもしれません。しかし、もし従来「正しい方法」と言われているような方法論でうまくアイデアを生み出すことができない方は、この方法を試してみてもよいのではないでしょうか。
06.余談:アイデアを広げていく「イメージ」を持つ
概念的な話題になります。
ここまで「フレームワーク」を活用する方法論をご紹介してきましたが、私は本来アイデアとは自由な方向に拡散するモノであり、フレームにカチっとハメるものではないと感じています。
最初にマンダラートを紹介しました。
いかにもカチっとしたフレームですよね。「アイデアを広げる」ためのツールなのに、アイデアを「枠にハメる」という矛盾をはらんだカタチになっています。
これは致し方ありませんね。私たちが普段使うノートやPCの画面は四角形をベースにしているので、その形状を最大限活かすなら「枠」の登場は止む無しです。
だから、これはアイデアを広げる「イメージ」の持ち方です。
私は、マンダラートは円型イメージで考えています。
常に「広がっていく」という伝播をイメージするならば、それは「フレーム」という枠ではなく「円」の広がりでしょう。
実際にこんなフレームを用意することは難しい。だから、アタマのなかで持つイメージだけです。しかし、発想する際に「まるく広がる」というイメージを持つだけでもアイデアが広がりやすいと感じています。
と、今回は「数」にこだわったアイデアの拡散方法をご紹介しました。アイデアを生み出すことを、楽しんでほしいと思います。私は、普段から楽しんでいます。妄想が大好きだから。