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資材価格の上昇により、中古までも建物の固定資産税額が上がってしまうのか?

木造の集合住宅を例に解説します。

総務省の自治税務局 資産評価室 家屋係にヒアリングした内容を参考にして書いています。

資材価格が上昇していることはわかっていたので、固定資産税金額にどの程度反映されるのか?どういった計算方法で固定資産税額を算出しているのか?を確認するためにヒアリングしました。

「評価額」=「再建築費評点数」×「経年減点補正率」×「評点1点当たりの価格」

この計算式が一つの基準になります。

再建築費評点数とは、家屋の点数付けのことです。例えばオートロック ○○点、エアコン ○○点というふうに項目ごとに数値化されています。

評点

再建築費評点基準表は、都税事務所に保管されています。5年以上も前ですが、一覧を見に行ったことがあります。これは持ち出し厳禁なので直接見に行かなくてはなりません。

この再建築費評点数は、資材価格や人件費に比例して変化します。

ウッドショックで木材価格が上がったから、今年の固定資産税額から上がるのか?と気になりますが、タイムラグが生じ、すぐには反映されません。

固定資産税の評価替えは3年に一度行われます。

直近では令和3年度に行われました。

令和3年度の評価額は、平成28年(2016)7月~令和元年(2019)7月の物価変動率を元に計算されます。

ウッドショックの影響が出始めたのは、2020年の年末から2021年にかけてなので、現時点では固定資産税金額に反映されていないということが分かります

次回の評価替えが令和6年に行われますが、令和元年(2019)7月~令和3年(2022)7月の物価変動率が基準になりますので、ウッドショックの影響がでるのはこのあたりからです。

ただし木材価格だけでなく、資材価格全般が値上がりしているため評価額の上昇率を正確に予測するのは大変難しいです。建築資材の上昇率に加えて人件費なども影響するため全てを調べるのは現実的ではありません。

資材価格

品目別

一般社団法人建築物価調査会HPよりデータ抜粋。

ここで全く分からないということで結論付けるのも面白くないので、私の予測をお伝えしておくと、評価額は10~15%程度上昇するのではないかと思います。

建築費全体の上昇率だけでみれば上昇率20%を超えてくる可能性もありますが、固定資産税金額を急激に上昇させると国民生活に直結するので、できるだけ上昇率が緩やかになるように調整するのではないかと考えました。

また中古の場合はどうでしょうか。

これは総務省の担当の方が仰ってましたが、過去の評価替えでは,再建築費評点補正率の上昇により,経年減点補正率を適用しても、結果として評価額が上昇するケースがあったそうです。

しかしながら,年々その価値が減じると一般的に考えられている家屋の評価額が前年度の評価額を上回ることは望ましくないという考えから,これを据え置く措置がとられたとのことでした。

ですので、中古の場合は固定資産税金額が上がることはなさそうです。



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