一棟でも修繕積立金を経費化できる!大規模修繕共済の活用メリット
これまで管理組合のある分譲マンションでしか認められていなかった修繕積立金の経費化ができるようになります。
修繕費を貯める場合は、税引き後CFから現金を積立していくしかありませんでした。
さらに修繕しても「資本的支出」と認められてしまえば、経費計上ができないため、思ったように節税できていなかったという方が少なくないと思います。
特に、法人と異なり節税方法が少ない個人の高所得者の方にとっては利用しやすい制度です。
加入条件を一覧にします。
・共済を提供するのは全国賃貸住宅修繕共済協同組合(東京都中央区)。全国賃貸管理ビジネス協会(同)、公益財団法人日本賃貸住宅管理協会(東京都千代田区)、公益社団法人全国賃貸住宅経営者協会連合会の賃貸業界3団体
・上記組合、協会が指定する工事業者しか使えない。
・木造、鉄骨造は築30年まで。それ以外は40年。
・修繕対象は屋根、外壁、軒裏のみだが今後拡大の可能性あり。
・共済期間は10年~50年。
・掛捨て→期間中の解約や満期を迎えた場合の返戻金や満期金はない。
・工事費用が積立金額を下回っても返金されない。
・中長期修繕計画書の作成が必要。
・毎年、建物定期検査が必要。
・加入時劣化現象がある場合は、事前に修繕が必要。
・対象は修繕であり、グレードアップ工事には適用されない。
・システム利用料→未経過共済掛金残高の1%負担。
メリットとして物件譲渡の際は、共済契約も新所有者に引き継ぐことができます。
ここで注意が必要なのが、オーナーの希望で工事業者を指定できないため、工事業者に多額の修繕費を請求される可能性があります。
これはもう信頼に足る業者に依頼するしかありません。特に現在のようなインフレ、円安の状況では基本値上げ方向ですから、どの金額が相場かどうかというのは現場にいる人でないと判断が難しいと思います。
さらに中長期修繕計画書の作成と毎年の定期検査に費用がかかる可能性があるため事前に確認が必要です。
初めての取組みではありますが、分譲マンションのケースに準じて判断をおこなうそうですので、分譲マンションをお持ちの方はどのような仕組みで運営されているのか管理組合や管理会社に聞いてみると良いと思います。
中長期修繕計画書も管理組合で保管しているケースが多いです。これも必ずしも計画通りに進めなくてはならないものではなく、目安になるものですから仰々しい書類は必要ありません。
試算になりますが、木造3階建て9世帯のワンルームであれば、大規模修繕費300万~400万程度かかりますから、10年積み立てた場合に少なくとも年間30万程度の経費化ができると思われます。
こういった制度を利用して、所有物件のキャッシュフローの改善につなげていただければ幸いです。