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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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#政治学

どうすれば戦禍で犠牲となった文民の数を推計することができるのか

戦争の歴史で文民が軍人から区別され、法的保護の対象と位置付けられるようになったのは比較的…

武内和人
7か月前
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論文紹介 冷戦終結が世界的な内戦の増加の原因だったわけではない

1991年にソビエト連邦が崩壊し、冷戦構造がなくなったことによって、世界では途上国を中心に内…

武内和人
8か月前
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どうすれば戦争のエスカレーションを抑制できるのかを考察した先駆的研究War(1977)の…

アメリカの政治学者リチャード・スモーク(Richard Smoke)は歴史上の戦争の過程を分析するこ…

武内和人
9か月前
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複数国が参加する連合作戦は外交交渉と不可分の関係にある:1943年のカサブランカ会談…

1943年1月14日、フランス領モロッコで開催されたカサブランカ会談は、第二次世界大戦で同盟関…

武内和人
9か月前
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論文紹介 国際法は武力行使の支持態度にどれほど影響を及ぼすのか?

国家が武力行使を選択したとき、人々がそれを支持しているかどうかは、再選を目指す指導者にと…

武内和人
9か月前
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メモ 2021年のクーデターで一変したミャンマーの政治情勢

東南アジアのミャンマーでは2021年2月1日に軍部がクーデターによって権力を掌握しました。しか…

武内和人
1年前
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メモ クーデターを警戒する国家の指導者は、軍隊の能力を低下させる傾向にある

非民主的な政治体制の指導者は、合法的な手段で地位を追われることはあまりありませんが、その代わりに軍隊のクーデターのような非合法的な手段に警戒しなければなりません。特に軍隊の内部で危険な兆候を察知し、体制に危険が及ぶことがないように統制しなければなりません。これは指導者にとって骨の折れる仕事ですが、軍隊にとっても不都合が多い措置です。 クーデターを予防しようとする指導者は、軍隊のあらゆる業務に干渉します。兵士の採用、士官の昇任、部隊の行動の細部にも口を出し、自分に忠誠を誓う家

論文紹介 戦争のエスカレーションから抜け出せない指導者の心理を読み解く

研究者は戦争に関する意思決定過程を考えるとき、その戦争を即座に中断したとしても取り戻せな…

武内和人
1年前
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パレスチナとイスラエルとの間で続く暴力の応酬に迫ったThe Israeli–Palestinian Con…

イスラエル人とパレスチナ人の対立には歴史があり、オスマン帝国の時代にまでさかのぼることが…

武内和人
1年前
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論文紹介 ジョンソン政権のベトナム政策と国内におけるエリートの統制

国際関係論の理論では、その国の政治体制のタイプが対外政策の選択に重要な影響を及ぼすと考え…

武内和人
1年前
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論文紹介 安全保障学はどのようにして発展を遂げてきたのか?

安全保障学(security studies)とは、対外政策の目的を達成するため、軍事的手段を管理する方…

武内和人
1年前
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劣勢であっても戦い続けることが一つの戦略になる理由 Who Wins?(2012)の紹介

戦争の歴史では、敵に対して圧倒的な軍事力を持つ大国であっても、戦略的に敗北した事例があり…

武内和人
1年前
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論文紹介 内戦が続く国で住民が組織する自衛民兵はどのように行動するのか

東アフリカの沿岸に位置するソマリアは、長期にわたって内戦が続いている脆弱国家の一つです。…

武内和人
1年前
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戦争が政治的交渉の延長であることを理論的に分析している論文リスト

プロイセンの軍人カール・フォン・クラウゼヴィッツの理論によれば、戦争は政治的交渉の延長であり、武力の行使という側面だけで理解することができるものではありません。彼は軍事学の研究が戦争を最も有利な態勢で遂行することに終始すべきではなく、戦争を通じて望ましい合意を形成する問題にも目を向ける必要があることを示しました。 これまでにも、この視点の重要性については広く論じられていますが、このメモでは特に国際政治学の領域で戦争の交渉モデルがどのように発達してきたのかを概観してみたいと思