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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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#戦闘力

論文紹介 兵士の結束を強化するため、軍隊はいかに訓練を活用するのか?

軍隊は戦闘状況で兵士が協働し、部隊として任務を遂行できるようにするため、さまざまな社会的…

武内和人
1か月前
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論文紹介 戦争の複雑性とマーケット・ガーデン作戦の敗因

軍事学の研究では戦争の結果は完全な予測が不可能であり、複雑性に富んだ現象であると考えます…

武内和人
8か月前
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メモ 訓練と経験が部隊の戦闘力に及ぼす影響:ラ・エ・デュ・ピュイの戦闘(1944)

1944年7月3日、北フランスのノルマンディー地方に上陸し、内陸方面に向かって前進を開始したア…

武内和人
11か月前
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殺戮や破壊ではなく、精神的な衝撃の軍事的な重要性を強調したThe Human Face of War(…

イギリス陸軍軍人ジム・ストー(Jim Storr)は戦闘における奇襲の意義を改めて確認し、その効…

武内和人
1年前
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論文紹介 機甲戦の将来を大胆に予想したフラーの理論の意義と限界

イギリスの陸軍軍人ジョン・フレデリック・チャールズ・フラーは第一次世界大戦(1914~1918)…

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武内和人
1年前
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メモ 19世紀の武器の発達を受けて、モルトケが縦深配備を重視した戦術的理由

プロイセン陸軍の参謀総長だったヘルムート・フォン・モルトケは、19世紀に戦闘の様相が大きく…

武内和人
1年前
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軍隊の作戦を学ぶ:作戦の段階における決勝・策動・保持行動を中心に

作戦(operations)とは、共通の目的または統一的な課題を伴った戦術行動の連鎖を意味します。資料によっては軍事活動(military activities)、あるいは部隊運用(force employment)のような言葉を言い換えるためだけに使われることもありますが、アメリカ国防総省が定める軍事用語の意味に従うのであれば、このような言い換えは誤解を招くので、避けるべきでしょう。 ここでは、作戦というものを理解するための基礎知識を提供するため、まず戦争の段階において作

手っ取り早く戦術の初歩を学びたい人のためのHow to Win on the Battlefield(2018)の…

軍事学で避けて通れないのが戦術の議論ですが、それを一から学習しようとすると、さまざまなハ…

武内和人
1年前
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論文紹介 1990年代に提案された「ネットワーク中心の戦い」の構想とは?

アメリカの軍人であるアーサー・セブロウスキー(Arthur Cebrowski)とジョン・ガルストカ(Jo…

武内和人
1年前
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ソ連軍が戦力相関(correlation of force)を評価する手法はどのようなものだったのか…

ソ連軍では、軍事的能力の優劣を評価するため、戦力相関(correlation of forces, COF)という…

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武内和人
1年前
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論文紹介 第一次世界大戦でドイツ軍はどのように偽装の技術を取り入れたのか?

1914年にヨーロッパで第一次世界大戦が勃発してから間もなく、フランスではルイ・ギノー(Loui…

武内和人
1年前
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メモ WEI/WUVで陸上戦闘力を定量的に把握することの難しさ

軍事学では、戦闘において任務を達成する部隊の能力を指して戦闘力といいます。戦闘力は相対的…

武内和人
1年前
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論文紹介 研究者は戦役分析をどのような手順で進めているのか?

戦争の研究で使う手法の一つに戦役分析(campagin analysis)と呼ばれるものがあります。冷戦…

武内和人
2年前
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論文紹介 現代の海上戦でも艦載砲が無意味になることはない

艦載砲(艦砲)は水上艦艇に搭載された火器の一種です。巡航ミサイルのような誘導武器ではなく、専ら砲熕武器を指して使われている用語です。近世以降の海軍で砲熕武器が広く普及し、火力が海上戦の勝敗に直接的な影響を及ぼすようになったことで、艦載砲は艦艇を設計する際の最重要事項になりました。 19世紀後半以降には艦載砲の口径を拡大するため、巨大な戦艦が設計されたこともありましたが、第一次世界大戦以降に航空機が、冷戦以降に巡航ミサイルが使用され始めたことで、艦載砲の意義は相対的に低下して