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戦争を学ぶ

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戦争を学びたい人のためのマガジンです。軍事学のテーマを中心に、戦略、戦術、兵站、戦史などに関する記事を収録します。
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2021年12月の記事一覧

研究メモ 軍事学では決勝点をどのように分析するのか?

決勝点(decisive point)とは、敵に対して大きな優位を得ることができる地理上の位置のことを…

武内和人
3年前
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研究メモ 作戦術の思考法:目的、方法、手段、リスク

国家の安全保障上の目的を達成するための戦略が定まったとしても、戦略の下位領域にある作戦が…

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武内和人
3年前
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ウクライナとロシアの戦争を想定した戦役分析をやってみた

ある授業でロシアとウクライナの関係を取り上げたついでに、戦役分析として行った結果を研究メ…

武内和人
3年前
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ソ連軍の戦略と戦術を繋いだ作戦術を分析する『ソ連軍〈作戦術〉』の紹介

19世紀以来、軍隊の運用を分析する研究者は、戦争における軍隊の運用と、戦闘における軍隊の運…

武内和人
3年前
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研究メモ なぜ戦略家は戦略だけでなく、その下位の作戦を知るべきなのか?

戦争における軍隊の行動はあまりにも複雑であるため、戦略(strategy)、作戦(operation)、…

武内和人
3年前
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論文紹介 米軍が撤退しても欧州はロシアと戦えるのか?

2014年にウクライナのクリミア半島と東部のドンバスでロシアが軍事行動を起こしたことで、ヨー…

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武内和人
3年前
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現代戦における秘密工作の意義と限界を考える

古くから軍事学の文献では、外国に工作員を送り込み、そこで表面的には一般人として生活させつつ、国家の指令に基づいて秘密工作に従事させるという方法が論じられています。 秘密工作は、表向き友好的な関係を維持したまま実行可能な作戦であり、軍隊を動かすよりもはるかに小さな費用で済ませることができます。20世紀に核保有国の間で全面戦争へのエスカレーションを回避する必要が生じたことから、各国は秘密工作に大きな戦略的可能性を見出すようになりました。 この記事では、諜報の分野で教科書として

20世紀初頭の軍事学では空間と戦力の関係をどう分析していたか

軍事学史では空間と戦力の関係に関する考察が数多く書き残されています。例えば19世紀にプロイ…

武内和人
3年前
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革新的な戦い方を編み出す軍事組織の特徴を分析した『柔軟性』の紹介

現実の戦争に必勝法のようなものは存在しません。状況の変化を察知し、絶え間なく研究を重ね、…

武内和人
3年前
23

クラウゼヴィッツは戦争における勇気をどのように分析していたのか?

勇気とは、危険を恐れない心であり、恐れる気持ちを自分の内に抑えて表に出さない心の働きであ…

武内和人
3年前
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論文紹介 戦争の現実味が増すほど、人は合理的な判断ができなくなる

国際政治学の理論的研究では、合理的な行為主体がそれぞれの利益を最大化できる最適な戦略を選…

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武内和人
3年前
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論文紹介 何が戦争を終わらせるのか?:戦闘と政権交代の影響を分析する

すでに発生している戦争を継続すべきか、それとも終結させるべきかを選択することは一国の政策…

武内和人
3年前
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論文紹介 朝鮮戦争で中国軍が米軍の攻撃を撃退できることを実証した上甘嶺の戦い

朝鮮半島を南北に分断する軍事境界線の中部、ソウルから北北東に約90キロメートル進んだところ…

武内和人
3年前
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なぜ現代の戦略研究者は軍事作戦と外交交渉を同時並行で実施すべきと考えたのか?

戦略(strategy)とは、安全保障上の目的を達成するために選択される方策です。一般的に軍隊の作戦行動を規定する軍事戦略(military strategy)という意味で使われることが多いと思いますが、厳密にいえば軍事戦略が戦略のすべてではありません。戦略には、軍事的手段だけでなく、非軍事的手段の運用を規定する大戦略(grand strategy)あるいは国家安全保障戦略(national security strategy)の次元があるためです。 20世紀前半までの研究