【ドル円】11月2週目振り返り 大統領選・FOMCが今後に与える影響
こんにちは。竹内です。
今週もお疲れ様でした。
今週は大統領選、それにFOMCと超重要なイベントを迎えました。
それによって今後の経済においても、「ある重要なこと」が懸念される形になっています。
これから何が起こるのか、今週はライブで詳しく話していましたが今回記事で整理をしていきます。
今回のnoteは永久保存版になるので何度も読み返すように。
ではいきます。
トランプ政権の行方について
11月5日から始まったアメリカ大統領選挙の投開票。
結果は激戦州を制したトランプ氏の勝利。
ハリス氏が敗北宣言をして、今回の大統領選は大統領、上院、下院、すべてを共和党が征するトリプルレッドとなりました。
トリプルレッドになると法案が通るスピードが速くなります。
学校で「ねじれ国会」など聞いたことはありませんか?
衆議院・参議院で過半数を占める党が違う現象ですが、こうなると政策運営が停滞しやすくなりますよね。
ああいったねじれがなく、スムーズな政策運営ができる状態と今はなっています。
ではそのトリプルレッドのトランプ政権においてどういったことが考えられるか、代表的なことを3つ挙げます。
①関税の引き上げによるインフレ
②移民淘汰による労働力の減少・物価高
③各戦争の終結・地政学的リスクの減少
まず①についてですが、トランプさんは企業の成長促進のための大型減税の恒久化を掲げています。
ただここでひとつ疑問があります。
そういった減税、国民にとっては嬉しいですが、その分税収は下がり国はどこからかお金を賄わなければなりません。
ただでさえ過去最高の財務赤字(35兆ドルなどという莫大な借金)を抱えている政府がどこからお金を持ってくるのでしょうか?
その答えが、他国からお金を持ってくる、です。
貿易の際の関税を引き上げることで税収を賄おうという政策の展開が考えられます。
2016年の第1次トランプ政権の際にも同様の関税の引き上げが行われ、貿易戦争を繰り広げる形になりました。
ではこういった関税の引き上げは何をもたらすのか。
すなわち、輸入品の高騰を招きます。
皆さんも覚えがあるはずです。
日本はこれまで異次元の金融緩和をしていたことで異常な円安となっており、輸入品の価格が上昇していました。まぁ今もそうです。
輸入品の価格が上がると?
スーパーのお野菜やiPhoneはどうなりましたか?
そう、物価が高くなるんですよね。
そのため関税の引き上げは物価高の要因とされていて、今のインフレを抑えられなくなるんじゃないかという懸念があります。
②次に2つ目、2018年のトランプ政権下では過剰な移民対策がされていました。
国境での壁の建設、ビザの発給制限、移民数の減少などが挙げられますが、まず出てくる影響としては製造業や農業、そのほか低所得労働の雇用の減少です。
移民はアメリカという国での労働力の下支えの役割を担っています。
そのため所謂ブルーカラー労働者の減少が懸念され、製造業の更なる縮小が考えられています。
製造業の人手不足が起こると?
その分物の希少価値が上がりますよね?
そのため物価の上昇が起こるのではないかと懸念がされています。
一方で移民が減ることで国民に労働機会が開かれるという声もあります。
③そして3つ目、トランプ政権は経営者集団で構成されます。
従軍していた人も少なからずおり、
「利益のない戦争はしない」というスタンスを取っています。
そのためウクライナへの軍事支援の中止、中東への派兵の取りやめなどが考えられています。
実際ロシアのプーチン大統領はトランプ氏の勝利を大きく祝福しており、これによって地政学的リスクが後退しています。
また、こういった戦争の終結からBrics通貨への需要が低下する流れとなっています。
Bricsとは中国、ロシアを筆頭とした5か国の同盟。
長年ドルが基軸通貨として世界を席巻していましたが、経済制裁などの影響からドルへのボイコットが行われており、ドルに代わる新通貨を打ち出そうという向きが出ていました。
もちろんこれでドルが終わりますという話ではないのですが、
Brics通貨は金本位制が採用されている影響でゴールドの需要がここ最近跳ね上がっていたんですね。
ただ、トランプ氏当選によって地政学的リスクが後退、戦争の終結が囁かれていることで、
「あれ、経済制裁がないならBrics通貨いらなくね?」という需要の低下が起き、それによってここ最近の急激な金の高騰が一旦収まる形となりました。
まとめると①②の影響から今後アメリカのインフレが進んでいくことが懸念として挙げられています。
そして③のところで地政学的リスクの後退が現在考えられています。
そしてこれらのことがFRBのシナリオにも大きな影響を与えかねないとされています。
FRBのメインシナリオに陰り
さて、話は変わってFOMCです。
11月7日深夜、FOMC政策金利にて0.25%の利下げが決まりました。
このことでドルは下落。続いたパウエル議長の記者会見では、
「アメリカ経済は堅調」
「雇用とインフレの目標達成に対するリスクはほぼ均衡している」
と、今後の経済見通しに対して楽観的な姿勢を崩しませんでした。
ですが市場はそうは見ていないということがチャートから見て取れます。
パウエル議長の楽観発言後、一時的にドル円は上昇したものの、その後金曜日は下落の流れ。
パウエル議長の楽観発言を素直に受け止められない市場の思惑があります。
それは何なのか?
つまるところ、
「パウエルさんが言うほど簡単な状況じゃなくない?」ということです。
説明します。
パウエル議長は「雇用、そしてインフレのリスクは釣り合っている」と発言していますが、トランプ氏勝利によって前述したようにインフレリスクが再燃しています。
そしてこれまでの経済指標でもわかるように、
アメリカのCPI、小売売上高は好調な数値となっており、未だ物価は収まってはいない状況です。
続けて最大の懸念事項となっているのは雇用統計。
前回の雇用統計は1.2万人の増加と、異次元に最悪な結果となりました。
これに関してパウエル議長は「ハリケーンとストライキの影響」としていますが、
雇用統計の報告内にハリケーンの影響は見られなかったという記載がはっきりとされている他、
ストライキの影響で製造業の雇用が4.4万人減少しているデータを差し引いても雇用数は5.6万人の増加にしかなっておらず予想値よりも依然としてはるかに低い状況です。
そのためパウエルさんが経済は堅調ですといったことに対して、
市場は本当にそうか?と疑問を抱いていることがチャート上に現れています。
そしてトランプ氏勝利の影響でインフレリスクが再燃していることから、
利下げ予想シナリオに修正が入り、年明けの利下げ回数の予想が減少しています。
つまり金利の高止まりをするということですが、そんなことが起こればどうなるのか。
すなわち失業率の急激な上昇に手を付けられなくなります。
過去のデータを見てみましょう。
こちらは失業率と政策金利のチャートになります。
現在と形が似ているのは2007年以後のリーマンショック時ですが、その時とほぼ同じ推移をしようとしています。
そしてリーマンショック時も政策金利引き下げでのインフレが懸念されており、金利の据え置きがされていますが、
それによって失業率の更なる上昇を招いています。
既にアメリカ経済は、利下げをしても、そして金利を据え置きにしてもインフレが抑えきれず雇用統計が悪化してしまうといった状況になっています。
どんどん雇用統計の下方修正がされていることからも明白です。
この状況を好転させるためには奇跡的な何かが起こらなければならず、
正直なところ非常に困難と言わざるを得ません。
よって今後起こりうる景気後退に今のうちから備えておく必要があると言えるでしょう。
ドル円分析
ではお待たせしました。
ドル円の来週の分析になります。
ドル円は現在🟪ボックス内で推移。
トランプ氏勝利によってレンジを上抜けましたがそれも一時的なもの。
市場はさらなる買い材料がないと判断して結局レンジ内に戻しています。
ここで重要になるのがこれまで話していたように🟪レンジの下限を下抜ける動きです。
こうなれば何が起こるのか、
すなわち安値の切り下げが起こります。
ダウ理論によると、
トレンドは明確な否定がない限りは続いていくとされています。
つまり上昇トレンドは直近の安値の切り下げ。
或いは高値の切り下げがない限りは続いていくということです。
10月のドル円はこういった形でずっと安値と高値が切り上がっていましたが、
ここが否定されると反発のきっかけとなり得ます。
これまで僕の発信でずっとお伝えしてきたように今は週足トレンドラインでの攻防になっています。
詳しくはこれまでの発信を見直してもらえたらと思いますが、
このトレンドラインを試したのち、
「もしかしてロングでいける!?」と思ったトレーダーたちを100%の確率で焼き払った過去が、ドル円にはあります。
🟪レンジの下抜けが、始まりになります。
来週の指標がそのきっかけになる可能性は十分あるので今後も注視していきましょう。
それでは今日はこのあたりにします。
公式LINEのメニューも随時更新しているので見逃しのないようにしてくださいね。
お疲れ様でした。
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