10月最終週ドル円振り返り・大統領選考察
こんばんは。竹内です。
10月はお疲れ様でした。
そして雇用統計もまさかの結果になりましたね。
単に結果を見ると下振れですが、
ここで細かい内訳をみるとあることに気が付きます。
そのあることとは何か。
そして11月5日、連休明けに控えた大統領選挙にて一体何が起こるのかお話をします。
雇用は政府雇用を除くと…!?
まず11月1日発表された雇用統計では雇用者の増加が1.2万人。
8月、9月の雇用増加も大幅に下方修正されており、それぞれ159,000人から78,000人、254,000人から223,000人に修正され、合計112,000人減少となりました。
ちなみに2年間で約100万人の雇用が下方修正されています。
そして雇用統計の内訳について見ていくと、
政府部門は4万人の雇用増加があり、特に州政府で1.8万人の雇用が増加しています。
一方で製造業全体で4.6万人が減少して、このうち4.4万人は航空業界のストライキが原因です。
今回の雇用統計全体の増加は1.2万人ですが、
ここから4万人の政府雇用を除くと、なんとマイナス2.8万人。増えるどころかむしろ減っています。
これはコロナ禍の2020年以来の初のマイナスです。
はっきり言ってやばい。
ハリケーンの影響なんじゃないのともいわれていますが、
雇用統計の報告内にはっきりと、ハリケーンによる遅延や雇用の変動に起きた影響は報告されていないと記述されています。
こういった事情から11月7日のFOMCの予想が0.25%の利下げが濃厚になっています。
9月FOMC時、パウエル議長は「経済は堅調である」と言っていましたが、
ISM製造業でも示されたように製造業は絶望的な数値になっていて、雇用も明らかに鈍化。
これが本当に堅調であるのかと言われたらいささかどころではない疑問が残りますね。
植田総裁「時間的余裕という表現は今後使わない」
10月31日、日銀は政策金利を据え置きました。
大統領選挙前という不安定な時期を考慮しての判断ですが、
その後の記者会見で植田総裁は以後時間的余裕という表現は使わないと発言をしました。
この「時間的余裕」とは9月日銀が政策金利を据え置いた際に使った表現。
あれから1ヶ月半が経過し、ドル円が153円という価格まで回帰したことを受けて、時間的な余裕があるとは言えなくなりましたね。
ちなみにですがどういった意味で時間的な余裕があったのかというポイントですが、
基本的に金利を上げていくと破綻する企業が増えていきます。
これまでのアベノミクスでの異次元の金融緩和によって銀行からのローンの返済が軽かったのですが、
利上げによって経営が苦しくなる企業が増えています。
これは企業側にももちろん問題はあり、淘汰されてもおかしくはない状況ですが、急激に利上げをするとこういった企業が増えます。
また、住宅ローン金利が大きくなりすぎるという側面もあり「国民の生活」の安定が遠のきます。
日銀の使命は、「物価の安定」。
これにあたって円高の進行で賃金の上昇を待てる状況であったのが、
ここ最近の円安により、利上げを待てなくなりつつある、といったことになります。
先ほど話していた雇用統計の影響を踏まえても日米の金利差の縮小は現実的に今後起こっていくでしょう。
大統領選挙考察
では大統領選挙についての考察ですが、
過去の記事でも書いたように、
トランプ氏当選:大型減税の恒久化による企業の成長促進→ドル高
ハリス氏当選:法人税の引き上げによる成長阻害→ドル安
といった形が短期的な影響として考えられますが、
長期的な目で見るとどちらが勝ってもアメリカ経済の状況はかなり厳しいです。
その理由がアメリカの大規模な財政赤字です。
政府は現在35億ドル超の赤字を抱えている状況で、踏み倒すか借り続けるかしないといけません。
そこで経済成長というところが鍵にはなってきますが、肝心の製造業はさっきもお話ししたように壊滅的な状況です。
例えばトランプさんは関税を導入していくと言っていますが、
製造業が壊滅的なのに売る物があるのかといった声もあります。
お上が苦しい状況ですが、国民はもっと苦しく、
アメリカの住宅ローン金利は政策金利を引き下げた今でも依然として上昇しています。
これは金貸しの悪いところがもろに出ていますが、
住宅ローンなどは金利を上げられる時は上げて、下げられる状況の時は下げないのが普通なんです。
なぜなら借りている国民の大半は政策金利が下がっていることに気づいてないので黙ってたらそのまま高い金利で利子を払ってくれますから。
皆さんも政策金利がどうこうなど投資をしてないと知らなかったですよね?
そういうことです。
こういった事情から、確かに大統領選挙を短期的に見たら影響は出てきますが、長期で見るとどの道苦しいのは変わりません。
5日の大統領選で為替にも多少の影響は出ますが、国民の生活状況で最終的に金利は変動していくのでさらに長期で見るとFRBは金利を下げざるを得ないでしょう。
ドル円チャート分析
では最後にチャートの振り返りをしていきましょう。
現在のチャートは🟪レンジボックスでの高値圏レンジの状態。
そして植田総裁の発言を機に🟩トレンドラインを下抜いて151.8がネックラインとして機能している状況になっています。
ここでこれからどう動くかというのは🟪レンジボックスをどう抜けるかによって変わってきます。
そして、レンジボックス下限を抜けた時が中長期でのエントリーの契機になります。
ライブでもお話ししていましたが、こういった高値圏レンジにて決着がついて、円キャリートレードを狙う層の損切が入っていきます。
例えば皆さんがロングを持ってるとしましょうか。
そこで高値圏でのレンジで推移していて、雇用統計などの結果が大幅に下振れレンジを下抜いたとします。
焦りませんか?
ちなみにですが、過去にも全く同じ動きがあります。
週足で見ると数年に及ぶトレンドラインを下抜けた後は、 毎回そのトレンドラインより上に戻せず、結果そのあたりで買いポジションで入っている人たちが焼かれています。
来週は大統領選挙、そしてFOMCと山場を迎えるイベントが多く控えています。 市場のプライスアクションを確認しながら、損を少なく、利益を最大にできる動きを検討しましょう。
では今回はここまでです。
あ、それと公式LINEでのテクニカル戦略、ファンダの項目などサイレントで更新してるので見ておくように!
お疲れ様でした。