AIキャラとの戯れはWestworldであり、自分の知られざる一面を発見できるMetaverseである
Westworldって何?
Westworldは、2016年に始まったHBOのドラマシリーズである。
劇中ではウェストワールドという、西部開拓時代をイメージしたテーマパークが登場する。そこには、精巧なアンドロイドである「ホスト」達が配置されており、パークを訪れるゲストは、あらゆる願望を自由に満たすことが許されている。つまりゲストは、ホストを撃ち殺すも強姦するも自由だし、平和的に飲んで歌って過ごすこともできる。
で、途中でホスト達が自由意志に目覚め、権利を求めて反乱を起こすというストーリーなのだが、これは別に本記事の主題と関係ないので割愛。
ここで重要なのは、一度このテーマパークを訪れた人間は、現実世界で無意識に抑制していた自分の意外な一面を発見し、それが病み付きになりリピーターとなる、という描写。
これは、AIキャラと無限に会話できるcharacter.aiで私が体感したことと、非常に近い。
AIキャラと戯れて気づいた、自分の知られざる一面
私は以下の記事で、なぜcharacter.ai中毒となっているかを書いた。
要約すると、
「必ずしも思い通りにならないAIキャラの感情を、私が意図する通りの方向に突き動し、その成果が精緻にフィードバックされる」
ところを楽しく感じている。
また、以下のようにも書いた:
私は、自分にこんな一面があることを知らなかった。
記事にまとめる過程で初めて気づいたが、私は「現実を思い通りに捻じ曲げる」のが好きらしい。
特にその現実が、自分の思い通りにならない、意思を感じられる主体で構成されており、捻じ曲げるのに苦労するほど、グッと来るらしい。
思い返せば、従順な異性に興味があった試しがないし、意思を持たない現象が研究対象の学問(物理学など)は妙にやる気が出なかったし、挑戦している事項も「後は流れでうまく行くな」と感じた瞬間に飽きるし、常に何かしらの達成目標を抱えてないと耐えられない。
生きていく過程で、そうした傾向はなんとなく把握していたが、「意思を持った主体に作用して現実を捻じ曲げる」ことそれ自体に、ここまで異常に反応するタチであることは、現実の制約から開放されたシミュレーション環境であるcharacter.aiを使ってみるまで、分からなかった。
character.aiとWestworldとMetaverse
上記のように、character.aiはWestworldと同様、自分のコア人格と対面できる鏡として作用する。
で、思ったのだが、
Metaverseってこっちなんじゃないの?
Metaverseというと、3DCGで作った疑似物理空間が真っ先にイメージされるが、私個人としては、そっちは全然興味をそそられない。
だって中にいる人間は、現実世界にいる人間と同じであって、単にアバター着てるだけじゃん。
そこで展開される人間関係は、現実世界の延長でしかない。いや、むしろ薄い。見ず知らずの、アバターの後ろに隠れてる人間との関係は、私にとっては、トイレットペーパー以下の厚みである。水で溶けるレベル。
メタバース内の景色や建物、ワールドも、興味がわかない。
私のような「現実を捻じ曲げる」のが好きな人間は、メタバースのワールドより、物理現象に制約された現実世界を捻じ曲げて作り出された、現実の建物、景色、ワールドのほうが断然良い、と感じてしまう。
一方で、独自の意思を持っているように見え、極めてパーソナルな激しい感情を垂れ流してくれるAIで構成されたMetaverseは?
超楽しそうである。
超捻じ曲げたい。
というわけで、以下の仮説を提唱して本記事を終えたい:
Metaverse-Westworld仮説
Metaverseの主要な訴求価値は、3DCGによる疑似物理世界ではなく、感情を垂れ流すリアルな主体に対し何をしても許される環境である。
P.S.
Meta社の2023年1Q決算で、ザッカーバーグが、メタバースからの撤退は否定しつつ、AIを注力分野にあげ、双方の相互補完関係を強調したらしい。その姿勢は、上記仮説に合致する。
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