独立と引き換えに失うもの
Transcription
In the frozen lands of Siberia, there is an 80-year-old Grandma who skates on the ice.
"Hello, NASDAILY."
When she was growing up, she was living near a frozen lake. So to get anywhere she had to skate and she loved it. But as she grew older, she had to move to the city. And in the city, she hated it up until she was 80 years old. That's when she decided to go back to her childhood life, move back to the village, buy some dogs and a farm near the lakes.
Here she found happiness by skating every day. It is so simple in a world, where we are obsessed like I am with cities and lights. Let's look at this grandma who found joy in the simplest things in life.
That’s 1 minute, see you tomorrow!
訳例
シベリアの凍てつく大地に、氷の上を滑る80歳のおばあちゃんがいます。
「こんにちは、ナスデイリーの皆さん。」
彼女は幼い頃、凍った湖の近くに住んでいました。だから、どこへ行くにもスケートをしなければなかったのですが、彼女はそれが大好きでした。しかし、彼女が大きくなると街に引っ越さなければならなくなりました。 そして、80歳になるまで彼女は都会を好きになれませんでした。
そこで彼女は子供の頃の生活に戻ろうと決心し、村に戻り、犬を何匹か買い、湖の近くに農場を持つことにしました。ここで毎日スケートをすることで彼女は幸せになったんです。
彼女の生き方は、私のように華やかな都会のことで頭がいっぱいの人ばかりのこの世の中では、とても素朴なものです。人生の最もシンプルなことに喜びを見出したこのおばあちゃんを皆さんご覧ください。
以上、1分プログラムでした。また明日お会いしましょう!
勝手に探究
シベリアで生きる。それがたとえ生まれ故郷であったとしても厳しい環境であることは間違いないでしょう。加えて、家にはもちろん、周囲にも人がいないとしたら生きることに絶望を感じても不思議ではありません。極限の地で、生きるためになんでも1人でやる。これって流刑地の扱い(?)で、80の老人が選択する人生とは思えません。
この物語のおばあさんが氷原をひとり進む非現実的な映像は、不思議な違和感と驚きを与えます。(フルバージョンはこちら↓)
スケートで食料品店までちょっと4キロ行ってこられる体力のあるおばあさんです。お元気でなによりですが、「途中で転んだら・・・」なんて心配になってしまいます。
とにかく、彼女は孤立無援で生活しています。生活は大丈夫なんでしょうか。住居と衣類は既にあるので良いとして、お金はどうでしょう。動画中に言及がなかったので、貯金がない場合のことを勝手に考えてみました。
家は生家であり持ち家(のはず)でタダ。遊興費はいらなさそうです。となると、あとは生活必需品や食料でしょうか。自給自足といっても全ては揃わないでしょうから、どうしても少しは収入が要るわけです。
ということで、老人の収入といえば、これ。年金です。ロシアの年金を調べてみました。支給年齢は日本よりずっと早い男性60歳女性55歳ですが、やはり少子高齢化の問題から、現在支給開始年齢を男性を65歳、女性を63歳にしようと年金の制度改革中だそうです(詳しくはこちら)。どちらにせよ80歳のおばあさんは楽々クリアです。
支給額は複雑な仕組みになっていて一口には言えないのですが、サラリーマンで月24,000円くらいだそうです。女性は15,000円くらいでしょうか(こちらのページが参考になります)。
経済的に強い国家は税収が多く、福利厚生も手厚くなります。また、産油国など天然資源の豊富な国家は教育や医療費が無料であるのは当たり前で、貧困とは縁の遠い暮らしをしています。
ロシアは、というと、主要産業は石油およびガス産業です。鉱工業も盛んで天然資源は豊富です。平均寿命が男女平均約73歳と短く、年金の負担も多くならない状況であり、本来であれば貧しいわけはないのですが、どうも庶民は生活苦を訴えているイメージです。庶民の年金は不十分で、経済的に苦しく見えてしまうのは社会主義国家であったなごりでしょうか。
資金を軍事や科学に費やし、ようやくアメリカと対峙しているとしたら、庶民はそんな政府を支持するのでしょうか。これのもっと極端な例は北朝鮮ということになるのでしょうが、やはり独立を守るというのは一筋縄ではいきません。
ただ、物欲から解放され、誰もいない凍てつく大地で精神の自由を謳歌する彼女を見ていると、独立と引き換えに失うものが経済的なものだけというなら、安いものであるかもと感じてしまいました。私も歳なのかなぁ。