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2022年2月21日

【今日は何の日?】2月21日:食糧管理法公布記念日

1942(昭和17)年2月21日に、国民の食糧確保と経済安定を目的とした食糧管理法が公布されたことにちなんで制定された記念日。
長引く戦争に食料不足は深刻で、政府が食糧の生産、流通、消費まで管理介入する事態となりました。
とくに米は政府が全量を管理、農家や地主が小作米を個人的に売買することを禁じる厳しい内容。戦後、米の輸入開始に伴い当初の法律は廃止となりましたが、現在でも一部内容は主要食糧の需給及び価格の安定に関する法律=食糧法に引き継がれています。

 さて、本日の怪談は――

「雨ときどき雨」


 教室で遊んでいるうちに、雨は本降りに変わった。

 先生は「もう少し落ち着くまで待ちなさい」と止めたが、大粒の雨は小学生だった二村君の闘志をかき立てた。

 傘を差して校門をくぐる。

 雨粒は〈ぽつりぽつり〉という段階をとうにすぎている。

 道ばたに広がる水たまりは、びっくりするほど激しく波立っていた。

 雨中に突き出した腕に叩き付けられる雨粒は、まるで砂利のように重く痛い。

 雨は傘を激しく叩いた。

 ――ばたばたばたばたばたばたばたばた……

 傘を叩く雨粒のあまりの喧しさに、思わず呟いた。

「うるさいなあ……」

 突然、音が止まった。

 傘を叩く振動も止まっている。

 しかし、雨が止んでいるわけではない。

 周囲には、白滝のように太い雨が水煙を立てて路面を濡らす光景が広がっている。

「あれ?」

 傘を避けて真上を見あげると、大粒の雨が二村君の顔を叩いた。

「いててててっ!」

 慌てて傘の下に身を縮めると、先ほどと同じように傘を叩く〈ばたばた〉という騒音と振動が伝わってきた。

 首を捻りながらしばらく歩いていく。

〈うるさいなあ……〉

 傘を叩く雨にそう毒づくたびに、傘を叩く雨の音がピタリと止まる。

 周囲は雨模様のままだ。

 傘の上を見あげると、また〈ドザー〉と雨粒の洗礼に遭う。

 家に帰り着くまで、そんなことが何度も繰り返された。

 雨音が途絶えるときは、必ず上のほうから〈ばざっ〉という音が一度だけ聞こえた。

「雨ときどき雨」加藤一『禍禍―プチ怪談の詰め合わせ』

☜2022年2月20日 ◆ 2022年2月22日☞