【第4話】骨が…増えてるッ!? 火葬場職員が明かす驚きの人骨ばなし【下駄華緒の弔い人奇譚】
――第4話――
“のど仏”は火葬場職員になると必ずといって良いほど重要視する骨の一部です。
みなさんも聞いたことがあるかもしれませんが仏様が座って合掌しているようにみえる事からのど仏と言われています。
喉にある、ゴクリと飲み込むと動くのど仏……の事では実はありません。あれは軟骨で、火葬すると残りません。じゃあ、どこかというと第二頸椎、首の骨の上から二番目の骨になります。それこそが火葬場で見る、のど仏です。
こういう話が出来るように、火葬場職員の時はよく骨の勉強をしていました。
例えば、人間の骨って全部で何本あるかご存知ですか?
実は、約200と言われています。「約?」と思われたかもしれませんが、本当にそうなんです。骨の数は人によってまちまちで、もしかするとあなたの隣にいる人と、あなた自身の骨の数は違うかもしれません。
火葬場で、骨をめぐるトラブルはつきものです。以前、こんなことがありました。
「母親は全部入れ歯だったのに、歯が残ってる! これは別人だ!」と遺族の男性が職員に詰め寄る事件が起こりました。
みなさんはどう思われますか? 全部入れ歯なのに歯が残っている……本当に別人かもと思いましたか?
これは、親知らずが残っていたパターンです。全部入れ歯だと思われていたようですが、奥の方にある親知らずだけ抜けずに生えていたんですね。それが焼け残ったのです。
自身の体験した件では、火葬後に遺族と共にお骨上げをするときに、足の指(甲)の骨が左右合わせて40本くらいありました。いやいや、そんなはずはないと思いつつも確かにあるんですよ。ですがよく見るとちょっと形が違うのもあるぞ……。
葬儀屋さんに確認すると「あ、すみません。棺の中にフライドチキンを沢山入れました」と。
こういうのは先に言っといてほしいですね…!
著者紹介
下駄華緒 (げた・はなお)
2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。