【第30話】遺骨から〇〇を回収してお金に!ゼロ円骨業者の知られざる実態を元火葬場職員が解説!【下駄華緒の弔い人奇譚】
―第30話―
関西の多くの地域では、お骨あげは部分収骨と言って全身の骨を部分的に骨壺に納めていきます。主に関東では全収骨と言って全ての骨を骨壺に納めます。
まずその前提がある上で、主に関西の方から「残った骨はどうなるの?」とよく聞かれます。今回はそれについて、しかしながらあまり知られていない事もお伝えします。
まずこの話は全国全て必ずそう、という訳ではないので詳しくは皆さんの地域の火葬場に聞いて頂くのが一番理想なのですが、多くの火葬場では残った骨は合同埋葬地(火葬場に併設していたり、他の霊園等にあったり)に埋葬されます。
実際ぼくの働いていた火葬場では「残りましたご遺骨は〇〇の〇〇に合同埋葬させて頂きます…」という文言を必ずお骨あげの終わりに伝えていました。実はとても重要な文言で、これを伝えることで、ある意味所有権の確認をしています。要するに残った骨を合同埋葬地に埋葬しますと職員が言ったことに対して遺族さん達からの異議がない場合、ある意味残った遺骨の所有権の放棄という法的な根拠もあり、必ず言うことになっています。
そしてぼくの働いていた火葬場では、残った遺骨を骨袋と呼んでいる大きな袋にまとめて、最終的に骨業者と呼んでいた業者さんが引き取りに来ます。その業者さんが合同埋葬地に運んでくれる…と聞いていたのですが、実はここで少し疑問がありました。
まずこの業者さん、市からの委託で骨の回収の業務を行なっていました。それは特に気にならないのですが、その委託の金額です。大体は「ウチは〇〇円でこの仕事を請け負いますよ!」という感じで進むと思うのですが、なんと0円入札で業務を請け負っていました。タダでやりますよ、ということです。
え?と思いませんか? じゃあ運搬料とか人件費とか燃料費とか、どうなってるの!?と。
これ、おそらく遺骨と一緒にくっついている貴金属を回収してるんですよね。え!?と思いませんか?
ですが、確かに世界の金の埋蔵量などを考えると、それらを全て破棄して無きものにすると膨大な量になります。ある意味、金の価値を考えるとそうするべきなのかもしれません。実際どのようにそうなっているのかぼくの取材不足で不確定で申し訳ないのですが、「おそらく」そういう事が行われているんじゃないかと。
もちろん、全ての都道府県市町村がそうしてると言っているわけではなく、もしかしたら少数派なのかもしれませんが、また分かったら是非何処かでこの続きをお伝えしたいと思います。
著者紹介
下駄華緒 (げた・はなお)
2018年、バンド「ぼくたちのいるところ。」のベーシストとしてユニバーサルミュージックよりデビュー。前職の火葬場職員、葬儀屋の経験を生かし怪談師としても全国を駆け回る。怪談最恐戦2019怪談最恐位。2020年末に初の単著を上梓予定!!