2022年2月18日
【今日は何の日?】2月18日:エアメールの日
世界で初めて郵便物を運んだ飛行機はインドの飛行機。
1911(明治44)年2月18日に、インドのアラハバードで開かれていた博覧会のアトラクションのひとつとして、会場から6500通あまりの手紙やはがきを載せた飛行機が飛び断ち、ヤムナー川を越え、約8km離れたナイニジャンクション駅まで約13分の飛行をいたしました。このことを記念して制定された記念日です。
最初のエアメールは海外郵便ではんく、国内での飛行機輸送だったのですね!
さて、本日の怪談は――
「事務所の窓」
夜八時を回ったのに、まだ家に帰れない。
新田君は倉庫の二階にある事務所に、たった一人で居残って残業していた。
「今頃はみんな二次会でカラオケかなあ」
俺一人に全部押し付けやがって……と、恨みがましいことを言ってみても始まらない。
溜まりに溜まった伝票を片付けていると、事務所の窓を叩く音がする。
こんこん。
ノックのあと、間髪を入れずにガラリと窓が開いた。
「わっ、びっくりした!」
新田君が度肝を抜かれて驚くと、開いた窓から初老の男が顔を出した。
「あの、これ落ちてましたよ」
男が窓際の机に置いてくれたのは、倉庫の中で保管しているはずの部品だった。
これがなくなっていたら、また数字合わせで徹夜するハメになるところだ。
「や、こりゃご親切に。ありがとうございます!」
新田君が礼を言おうと席を立つと、男はにっこり笑うと手を振って窓を閉めた。
「いやー、ありがたいけど急に窓開くとびっくりするなー。幽霊かと思っちゃったよ」
と、男の置いていった部品を拾い上げた。
後ろ姿でも見えないかと窓を開けて下を見たが、よほど健脚なのかもう姿が見えない。
そこで、あることに気付いた。
――下?
この事務所は、倉庫の二階にある。
事務所の窓の外の空中には、ベランダも何もない。
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「事務所の窓」加藤一『禍禍―プチ怪談の詰め合わせ』