07. SAW
今回のアルバムの収録曲の中では一番最後に仕上げた曲です。
でも曲のアイディアは7年ほど前からあったもので、俺が前にやっていたバンドのお蔵入り曲を引っ張り出してきたものなんです。
アルバムの制作作業の休憩中に自分が過去に作った曲を何曲か聴いていて、この曲を聴いた時に自分の曲なのに何故か衝撃を受けてしまったんですよね。
で、これはやるしかないなと。
ついでに言うと0:16~0:31のリードギターのフレーズも7年前に弾いたテイクをそのまま使っています。
あとは全て録り直してありますけどね。
因みに今回この曲を採用するに当たって、サビだけは作り直しましたが、それ以外は大体7年前のままです。
この曲の採用を決めたのは、SHALが癌の再発を宣告された後だったのですが、もしかしたらその時の俺の心境とこの曲の雰囲気がマッチしていたのかもしれないですね。
それに呼応した…かどうかは分かりませんが、SHALも癌の再発を受けての歌詞をこの曲に乗せました。
因みにTHE UNCROWNEDが始まって以来、歌詞の内容を俺からリクエストした事はありません。
今回の曲はどれも4分台のシンプルなものになっていますが、この曲だけは6:37と長尺になっています。
結構展開が多めで、比較的プログレ要素が強めとなっていますが、7年前の俺はプログレを作ろうと思ったんですかね。
その頃の記憶はありませんが、今回のアルバムの中盤~終盤にかけての良いフックとして作用するドラマティックな曲に仕上がったと思います。
アレンジで気に入っている部分は、最後のサビの「あぁ 過ぎ去ってく時間だけ」(5:15~)の部分のファルセットによるコーラスと、その後の演奏がピタッと止まって歌だけになる部分(5:21~)ですかね。
展開が多い分、ギターも色々とやっていますが、目立つという点では4:42~のタッピングでベースとユニゾンしているパートでしょうか。
ここはソロと言うよりかは組み立てられた間奏セクションって感じですね。
逆に5:57~は俺の叫びを聞いてくれ!と言わんばかりのギターソロです。
アームでニュアンスをつけながら生々しい雰囲気が出るように弾いたソロで、結構気に入っています。
俺の場合、何故か間奏よりもエンディングの方が良いギターソロが弾けるんですよね。
因みにこのギターソロの最後、6:20辺りでキランって感じの音が入っているのに気付いた人はいますかね?
あれはアームでビブラートを掛けている際に偶然鳴ってしまったノイズだったんですけど、その部分の音量を上げてそのまま残す事にしました。
歌詞の内容は決して明るいものではないのですが、そのノイズ音が最後の希望の光のようなものに思えたんです。
この曲は5曲目のSUSTAINABLE同様、首の手術後に歌録りをしたのでレコーディングは難航しました。
ただ皮肉な話ですが、この曲に関しては手術後のやや重めになった声の方がマッチしていましたね。
因みにSHALはアルバムの収録曲の中でこの曲が一番好きだったみたいです。
この曲のMVも撮りたい、なんて言っていましたしね。
最後に8月1日、彼女が亡くなる4日前に送られてきたメールの文を載せておきます。
「いま歌詞の確認しながら聴いてるけど、SAWは神曲だな」