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09. LAST MEMORY ~四月の風~

今回のアルバムでは唯一のバラード曲です。
この曲はSHALの友人女性に捧げた曲で、彼女はSHALと同じように癌で闘病されていましたが、2021年4月に亡くなられました。

SHALが「彼女のために曲を残したい」と言ったのがこの曲の始まりでした。
曲を作るに当たって彼女とのエピソードをSHALから聞かせてもらったのですが、「これから先、子供が学校を卒業、就職、結婚、と人生の節目を迎えていくだろうけど、その頃にはもう私はいないんだろうな…」と彼女が語っていたという話を聞いたとき、この曲のサビのメロディーが俺の脳内で再生されていました。

こういう書き方をすると、その時にメロディーが降ってきたと解釈されるかもしれませんが、実はそうではなくて…
メロディーのアイデアは、この友人の件がある前からストックしてあったものでした。
そのアイデアを1度SHALにも聴かせたことがありましたが、その時の反応はイマイチで、確か「サビの途中で転調するのがイヤ」と言っていたような気がします。(苦笑)
でも俺は「絶対にこれしかない」と思っていたので、SHALには内緒でそのメロディーを元に曲全体のイメージを広げていきました。

完成形を聴いたSHALはこの曲を気に入ってくれたようで、確か7曲目のSAWが出来上がるまでは「この曲が1番のお気に入り」と言っていました。

歌のレコーディングでは、SHALが友人の事を思い出して何度も泣いていたのが印象に残っています。

因みにこの曲の歌のテイクは、首の手術前と手術後の2パターンがありました。
安定感という点では手術後のテイクの方が勝っていましたが、手術後の声がメインだと曲のイメージが暗くなりすぎると判断し、結果として8割くらいは手術前のテイクを採用しています。

曲の構成としてはサビの後半(1:04~)で転調するのがポイントですかね。(前述の通りSHALには1度ダメ出しをくらっていますが(苦笑))
サビ前半(0:46~)で優しげな雰囲気を漂わせて、後半ではそこに哀愁成分をプラスするようなイメージです。

ダメ出しと言えば、最後のサビが終わってからのエンディングが長すぎない?という話もありましたね。
確かに結構長いですし、短くする方法を何パターンか試してみましたが、結果としてこの長さは必要だという答えに行き着きました。
4:23~の哀しげなピアノのメロディーをちゃんと聴いてもらいたかったんです、たぶん…。

あとこの曲にもオマージュネタが1つ。
俺が大好きなTALISMANというスウェーデンのバンドがあるのですが、そのバンドの主要メンバーによるHUMAN CLAYというプロジェクトの「Vows In Stone」という曲…、そのサビのメロディーをギターソロの冒頭部分(2:48~)でオマージュしています。
たぶん言わなきゃ誰も気付かないレベルのものですけどね。
そう言えばSHALはこの曲のギターソロを「いちいち弾き方がエロいな」と言っていました(笑)

色々と書きましたがこの曲はやはり亡くなった友人への想いを綴った歌詞がいちばんのポイントでしょう。
ただ、SHALが友人への想いを綴った歌詞が、SHALが亡くなってしまった今となっては「俺のSHAL への想い」とリンクしてしまってどうもツラくなってしまいます。
忘れない あの声…。

先日公開したこの曲のMVの撮影時のエピソードはまたの機会に書こうと思います。

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Takeshi @ THE UNCROWNED
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