LAST MEMORY ~四月の風~ のMVに纏わるエトセトラ
11月7日に公開した『LAST MEMORY ~四月の風~』のMVはもう観て頂けましたでしょうか?
2ndアルバム、WITNESSからの2本めのMVとなっております。
LAST MEMORYのMVを撮影すると決めたのは確か3月下旬だったような…。
具体的な日程は覚えていませんが多分3月20日くらいかな?
SHALが何かを思いついたかのようにいきなり「LAST MEMORYのMVを撮りたい。出来れば桜が咲いているうちに撮りたい」と言ってきました。
撮影が4月5日だったことを考えると、あまりにも急な展開でした。
後で書きますが、実は「WITNESS以外の曲のMVも撮ろう」という話はそれ以前から挙がっていました。
しかし、そんな急な話で撮ってくれる人がいるのか?という問題がありました。
そこでREVIVEとLOST TEARSのMVでもお世話になったアトヨンサウンドファクトリーさんにお話を持ち掛けてみたところ、ありがたいことにご快諾して下さりました。
急なオファーだったにもかかわらずご快諾して下さったアトヨンさんには本当に感謝しかありません。
ありがとうございました。
話を元に戻します。
LAST MEMORYのMVを撮りたいと言ってきた時点で、彼女の頭の中にはちょっとした構想があったようで、初めにその話を聞いたときには既に「ストーリー仕立てのものにしたい」、「栃木県鹿沼市の千手山公園で撮りたい」と言っていました。
先日アップしたLAST MEMORYの楽曲解説の記事でも触れましたが、この曲の歌詞で、SHALは亡くなった友人への想いを綴っています。
ストーリー仕立てとなると友人役を務めてくれる役者さんが必要になってきますが、その配役も彼女は初めから決めてあったようで、リアルでも友人関係にあったTears Of TragedyのHARUKAさんが出演して下さいました。
HARUKAさん、ありがとうございました。
初めは俺も何度か登場するという案がありましたが、SHALと友人のストーリーに全く無関係の俺が出演するのはどうか?という意見もあって、今回は俺の出演は無しという事になりました。
とは言いながら実は間奏の部分で後ろ姿が少しだけ映っているんですけどね。
あのシーンはアトヨンさんの「ここでちょっと2人がすれ違ってみようか」というアイデアから生まれました。
野外での撮影ということで、とにかく心配なのは天気でした。
撮影前日には雨が降ってしまい、桜が散ってしまうのではないか?という心配もありましたが、幸い当日には雨は止み、桜も何とか持ちこたえてくれました。
MVのラストシーンには見事な桜の風景が映っているので是非チェックしてみて下さいね。
当日は午前からSHALのソロシーンを撮影し、午後からはHARUKAさんを交えて、友人との思い出の回想シーン(白黒になっているシーン)を撮影しました。
先日HARUKAさんがTwitterで「撮影という名目で普通に遊んでいた」と書かれていましたが、SHALも撮影というよりかは遊んでいるような感覚に近かったんじゃないでしょうか?
そのおかげもあってか、映像には2人の楽しそうな表情が収められています。
編集して下さった方が「出来るだけ2人が良い表情をしているシーンを使おうと思っていたけど、良い表情のシーンしか無かった。」と仰っていたのが印象的でした。
実はこの日の撮影現場にはSHALのお母様もいらっしゃっていました。
ご自宅からそんなに遠くないということもあったと思うのですが、後日お母様にお会いしたときに「あの時の桜が娘にとっては最後の桜になるだろうと思ったから…」と仰っていたのが忘れられません…。
SHALの体調が思わしくない事はじゅうぶん理解していたつもりでしたが、MVの撮影時にはまだそこそこ元気そうに見えていたので、俺は「この調子だったら来年もまた桜の季節を迎えられるんじゃないか」と思っていました。
それがまさかこの日の4か月後に亡くなってしまうなんて…。
きっとご家族にしか見せない姿もあったのだろうと思います。
このMVはSHALが生きている間に完成していましたが、実は彼女はMVの公開を躊躇っていました。
理由はいくつかありましたが、彼女を躊躇わせていたいちばんの理由は「友人のために…という強い想いがどんなにあっても、MVである以上は宣伝のためのツールという側面を持ってしまう」ということだったと思います。
初めは友人への想いを胸に突っ走っていたSHALでしたが、躊躇いの気持ちは徐々に大きくなっていったようでした。
友人のご家族はMVの制作及び公開をご快諾して下さっていたようでしたが、彼女はどこか釈然としないものを感じていたように思います。
極力MVに宣伝という側面を持たせないように、YouTubeではなくワンマンライブやリリースイベントの会場で公開するのはどうだろう?という意見も挙がっていました。
しかし最終的にはSHALがMVの公開を決心していたことと、ファンの皆さんのために…というSHALのご家族のご希望もあり、このMVを公開するに至りました。
最後にこのMV制作の根底にあったものについてお伝えしておきたいです。
この記事の初めの方に書いた「WITNESS以外の曲のMVも撮ろう」という件に関する話です。
SHALはいつも「応援して頂くばかりでは申し訳ない。ファンの皆さんに何か恩返しがしたい。」と言っていました。
当時の彼女の体調を考慮した上で、応援して下さるファンの皆さんに対して何が出来るかを考えたとき、MVを作れば喜んでもらえるんじゃないかという答えに行き着きました。
このMVが皆さんにとって良いサプライズになったなら我々も嬉しいです。
この場をお借りして、SHALを、THE UNCROWNEDをサポートしてくださったファンの皆さん、制作を支えて下さったレーベル、関係者の皆様に改めて感謝の気持ちをお伝えしたいです。
皆さん、本当にありがとうございました。