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「5年後も、僕は生きています ⑫「直感で動く・他人を頼る、ことの大事さ」
⑫「直感で動く・他人を頼る」ことの大事さ
第1話から読みたい方はこちらから。
肺癌ステージ4からの生還「僕は、死なない」はこちらへ
⑫「直感で動く・他人を頼る」ことの大事さ
2017年11月、僕はピンチに陥っていました。
いきなりの「雇用停止宣告」
来月いっぱいで、仕事を失う
この(肺がんステージ4Bから生還してたった3か月)状態で収入がなくなる…
収入ゼロ
貯金、ほぼなし
退職金、なし
失業保険、なし
家のローン、まだまだあり
大学生の息子、2名あり
体力なし
声は出ず…
おお~!
ピ~ンチ!!!
う~ん
そうそう
明け渡し、サレンダー…
Doing(行動)じゃなく、Being(在り方)が大事…
自分のBeingをぶらさないこと、これポイントなんだよ。
心の中でつぶやきました。
ここが、僕がガン体験で学んだ、一番大きなことでした。
量子力学的には、自分のBeingの発する周波数が、次の出来事を引き寄せると言われています。
だから、不安や恐れに支配されて、ネガティブなエネルギーにどっぷりと浸らないこと、そこが肝心でなんす。
でも一方では、そのときの僕の心の中では…
…ということは、これも自分が引き寄せたってこと?
え?
ありえないでしょ
だって、運が悪すぎでしょ
こんなこと、10000%望んでないし!
というエゴの声も、頭の中に鳴り響いていたことも、事実です。
その両方の「声」が交互に渦巻いていました。
そして僕は思いました。
…どうしようか?
そうだ、今までやってきたことじゃないことをしよう。
ガンになる前と、逆のことをやってみよう。
今までは自分で考え、自分で計画を立て、自分で行動をして結果を出してきました。
他人に頼らずに、自分でなんとかする。自分で考えて、自分でコントロールして、自分で対処する。
自分、自分、自分
自分ばっかり…
これ、
この生き方は、うまくいかなかった
苦しかったし、辛かったし
なんせ、病気になったしね。
だから今回こそ、その逆、つまり、自分で考えない、自分で計画を立てない、自分で行動しない、ということをやってみよう。
自分で考えない…
じゃ、どーする?
そうだ、他人に考えてもらおう!
おおお~!
なんだか目の前が開けた気がしました。
そう、自分のことは実は一番自分が分かっていない。
分かったつもりになりやすい。
だから、信頼できる親しい人に聞いてみよう。
僕がこれからやる仕事は、どんな仕事なのか、どんな仕事が合っているか、ということを。
僕は、さっそく信頼している友人の社労士、中江さんに会いに行きました。
「いや~本当に良かったですね」
中江さんとは僕が入院していた時に、お見舞いに来ていただいたとき以来です。あれから4か月経っていました。
「その節はお世話になりました。おかげさまで、DVDを楽しく見させていただきましたよ」
中江さんは、お見舞いでポータブルDVDと、なぜか映画「荒野の7人」を持ってきてくれました。
「いや、でも…荒野の7人は、登場人物がバタバタ死んじゃうんで、お渡ししてから気づいて後悔しましたよ」
中江さんは照れ臭そうに笑いました。
「いえいえ、ああいう時は、なんでも大丈夫なんです」
僕も、笑いました。
僕は引き続き、会社での出来事を話しました。中江さんはプロの社労士の顔になりました。
「刀根さんは、傷病手当給付金を受けていますよね」
「はい」
「期限はいつまでか知ってます?」
「たしか3月末までだったと思います」
「じゃあ、傷病手当てが3月末まではもらえると思います。給付金に添付する診断書は病院の先生に書いてもらえますか?」
「ええ、この声じゃ研修は出来ないので」
「そうですね~、それじゃまだ無理ですね~。いままで手続きは会社の方で?」
「ええ、今まではそうです」
「じゃあ、これからは自分で手続きをすることになると思いますが、とりあえずそれで3月末までは一定の収入が見込めますね」
「そうなんですか、いや、ホントにありがたいです」
「いま、身体からガンはほとんど消えてるのですよね」
「はい、原発のところはまだちょっと残っていますが」
「じゃあ、障害年金はもらえないですね。あれは障害があって働けない、もしくは働くことに障害がある人が申請できるものですから。それと、退職理由は聞いていますか?」
「退職理由ですか? いえ」
「退職理由、自己都合と会社都合によって失業保険の受けられる日数が違うんですよ」
「いや、会社からは失業保険は出ないって聞いてますけど」
「いえいえ、大丈夫です。僕の方で調べました。安心してください、きちんと出ますよ。きっと社長さんは勘違いされているでしょう」
それを聞いて、僕はほっとしました。
とりあえず、失業保険という道は残っていたのです。中江さんは続けました。
「それで、退職の理由が大事になってくるんです。失業保険も受給開始の期間も違ってきます。自己都合だと会社辞めてから3ヶ月経たないと受給できませんが、会社都合だと、翌月から受給できるんです。確か金額も違ってくると思いますよ」
「僕の場合は、たぶん会社都合だと思いますけど」
「まあ話の経緯だとそうですね。依頼退職というカテゴリに入ると思われます。でも、そこ、ハッキリしておいた方がいいですね」
中江さんは社労士らしく僕の知らないことをどんどん教えてくれました。これから行うであろう健康保険の手続きのことや、独立した場合の株式会社にするメリットとデメリットなど、いろいろ詳しく教えてもらうことが出来ました。
さすが、プロは違います。持つべきものは信頼できるプロフェッショナルの友人ですね。
「いろいろとありがとうございます。まあすぐではないですが、独立という方向も一緒に考えていきたいと思っています。そこで、僕だけの考えでは限界があるので、もう信頼できる人に聞いてみようと思って来たんです。中江さん、僕にはどんな仕事が向いていると思いますか?」
「そうですね~、刀根さんは、先生と呼ばれる人たちの先生みたいな感じが合っているのではないかと思います」
「先生の、先生…」
「僕も刀根さんにTA(心理学/交流分析)を教えてもらいましたからね」
彼には僕のそういう姿が見えているようでした。
「先生の先生か~」
中江さんと別れた帰り道、また漠然と不安がやってきた。
これから、どういう道が僕に待っているんだろう?
そのときの僕は、濃い霧の中では前が全く見えないように、自分の人生がどこに向かっているのか、さっぱり分かりませんでした。
その数日後、以前勤めていた会社の上司だった佐々岡さんに会いました。
なんとなく、佐々岡さんに会いたいな~あの笑顔を見たいな~と感じたので、早速連絡を取ったのでした。
佐々岡さんは僕がガンになったのと同時期に会社を辞め、いまは独立して新しい事業を始めていたのです。
佐々岡さんから退職の連絡メールをもらったのが、ちょうど僕のガンが見つかった日のことだったので、とてもよく覚えていました。
「会社を辞めることになりました」
佐々岡さんから来たメールに、僕はこう返しました。
「そうですか、おめでとうございます。ついに辞めるのですね。今後のご活躍が楽しみです。実は僕はガンが見つかりまして、ステージ4でした。でも治りますから心配しないでください」
すぐに返信が来ました。
「驚かそうと思って連絡したのに、逆に驚かされてしまいました。でも刀根さんならきっと大丈夫です。なぜならいつも笑っているからです」
僕にとってそのメールは、ガンと闘っていた時の心の支えのひとつになっていました。
翌年6月の緊急入院カミングアウトの時にも「う~む。さすが刀根ちゃんだわ。私は会社を起業しました。刀根ちゃんの笑顔を見に行くね」というメッセージをもらっていました。
回復の報告と、今後の仕事の相談もかねて、約束の新宿高層ビルに行きました。
「おお、刀根さん、お体はもう大丈夫ですか?」
佐々岡さんはアロハにジーパンというくだけた格好で現れました。スーツ姿でビシッと決めた佐々岡さんしか見たことがなかった僕は、そのくだけた様子をとても新鮮に感じました。
佐々岡さんの笑顔は相変わらず素敵でした。
「ええ、ガンはほとんど消えました。体力はまだまだですけど。髪もまだちゃんと生えてないです」
僕が帽子を取ると、ざんばらの頭が出てきました。佐々岡さんは少し気の毒そうに目を細めると、言いました。
「やっぱり痩せたね。身体が小さくなった気がする」
「ええ、体重が10キロ以上落ちまして、一時は50キロくらいまで下がりました。いま少し戻って55くらいですかね」
「うらやましいな、私も体重を落としたいよ、特にこのあたりのね、ははは」
佐々岡さんはお腹をさすりながら笑いました。
「でも、ガンの減量は最悪ですよ」
「私もそれは経験したくないよ」
雑談のあと、佐々岡さんがご自分のお仕事のことを話し始めました。
「実はね、刀根さん…」
「刀根さんの今までのキャリアを考えて、今後はいろいろお手伝いしてもらうことがありそうなんだ。刀根さんの心の専門家としてのキャリアはたいしたものだよ。もしかするとWEBで記事を書いてもらうとか、ね。そういうことだったら、体の負担も少ないからお願いできるかな?」
「ええ、もちろんです。僕でよろしければ…ありがとうございます、嬉しいです」
「いや、僕の方こそ助かります。優秀なライターをひとり確保できて嬉しいです」
相談に行ったら、仕事を頂いてしまった…
という展開でした。
頭で考えるのではなく、直感で感じて、そしてそれにしたがって行動してみる。
すると、予想外のことが待っていたり、展開が起こったりする。
それを「偶然の一致」とか「シンクロニシティ」ととか「引き寄せ」と呼ぶ人もいると思います。
僕たちは「人生」という、全体の流れの中にいます。
「人生」というよりも、「宇宙の流れ」と表現したほうが分かりやすいかもしれません。
僕たちが見ている視点は、自分という存在の「眼」と、「時間」という視点に限られています。
でも、「宇宙全体」から見てみると、すべてが「大きな流れ」の一環、つながりの一部なんです。
それを体感的に「ふと」感じたとき…
まるで、知らないうちに、ひとりでにパズルのピースがはまってしまったように、
ああ、そういうことだったんだ!
すべては、こういうことだったんだ!
という腹落ち感、納得感が湧いてきます。
これは「自分でなんとかしよう!」と、もがいていると、なかなかやってこない流れ・感覚です。
全体を、宇宙を、信頼して、直感にしたがって動き、あとは、「お任せ」。
僕の魂はきっと、そいいうことを体験して学ぶために、この「会社クビ」体験を用意したのでしょうね。
これをきちんと学び終わるまで、かなりの時間がかかりましたが/まだまだ、学び中です(笑)。
次回はこの学びの心理的な部分、「被害者意識」「犠牲者意識」について書きたいと思います。
⑬へつづく
第1話から読みたい方はこちらから。
第1回「癌宣告からサレンダー体験まで」
★2021年新刊(2021年12月出版)
「さとりをひらいた犬/本当の自分に出会う物語」
自分の魂の声が聞こえずに、何をどう生きたらいいのか分からない人は、ぜひ読んでみて下さい。
このような方におすすめします。
①いまの自分が「ほんとうの自分」を生きていないような気がする
②不安や恐れがあたまから離れないときがある
③「ねばならない」で苦しくなる時がある
④自己否定感の渦に落ちしまうことがある
⑤評価や持ち物などに執着して苦しくなる時がある
⑥「心の平安」や「ほんとうの自分」は何か知りたい