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マーケターが読むべき本をマンガだけで選んでみた (厳選15選)

株式会社ベーシック執行役員 CAOの角田(@takeshisumida_)です。

私は仕事をする中で、知識面やモチベーション面においてマンガに助けられてきたことは多く、同じような立場の方の参考に少しでもなればと、これまでいくつかの切り口にてnoteで仕事に関係するマンガをご紹介してきました。

その中の一つに、"コーポレート部門"をテーマにしたnoteがありました。この中では、会社においてコーポレートやバックオフィスと呼ばれる職種の人達にとって、「読むことを通じて、働き方や仕事の内容が学べる作品」を中心にピックアップしました。

元々このnoteを執筆したきっかけは、私が会社においてコーポレート部門を管掌する立場であり、新しくメンバーが入った際に、おすすめの書籍を教える機会が多かったためです。

実は現在所属しているベーシックは、事業としてWebマーケティング領域のサービスを手掛けており、上記と似たような文脈で、"マーケティング"に関する知識の向上の話が常に全社的に話題に挙がります。

もしかしたら皆様もご存じかもしれませんが、このマーケティングという領域は、いわゆる「マンガでわかる〇〇」という書籍が非常に多く出ており、「マンガ マーケティング」をWebで検索すれば、検索上位にはそれらのまとめ記事が多数表示されます。
例えば、「マンガでわかる デジタルマーケティング」「マンガでわかるWebマーケティング ―Webマーケッター瞳の挑戦!」「沈黙のWebマーケティング」などは、読んだことがある、もしくは目にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

しかし、それらはマンガで描かれているものの実質ビジネス書であり、私の知る限りでは、マーケティングに関係する作品を、いわゆる純粋なマンガだけでまとめた情報は現状ほぼ(全く?)存在しません。
であれば、「未来のマーケターのためにも、今ここで自分がまとめておくべきではないか」、特に誰からも頼まれてはいませんが(笑)、勝手に責任感を感じて今回再び筆を取るに至りました。

・主人公がマーケティングに関連する仕事をしているマンガ
・直接的にはマーケターではないが、マーケティングに通じる行動が登場するマンガ

主にはこれらに該当するような作品を選んでおり、その上で、かなり主観的ではありますが、どの程度マーケティングに関連するかを"マーケティング関連度"として、また何をマーケティグの対象としているかを"商材"として各作品に記載しています。

それでは、年間500冊以上のマンガを読んでいる私が厳選した「マーケターが読んでおくべきおすすめのマンガ」をどうぞ。特に以下に当てはまる人に読んでもらえると嬉しいです。

・現在マーケターとして働いている、もしくは今後マーケターを目指している方
・現在マーケティング業界で働いている、もしくは今後マーケティング業界を目指している方
・どれにも当てはまらないけど、マーケティングに関するマンガにはどのようなものがあるのか興味がある方


1. 推しの子

巻数:10巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★☆☆
商材:アイドル

テーマは「アイドル」。伝説のアイドルの子供である男女の双子が、母親にまつわる謎を紐解きながら、自身もそれぞれの方法で、芸能界を駆け上がっていく話。設定自体はファンタジーな部分がありながら、サスペンス要素や、ある意味芸能界の闇へ切り込むような要素を合わせ持つ。駆け出しの名もなきアイドルグループを、いかにプロモーションし有名にしていくかの過程はまさにマーケティング。ポジショニングをどうするのか、ターゲットをどう設定するのか、またSNSを最大限に駆使した現代的なプロモーションは、舞台が芸能界という特殊な場とは言え、参考になる部分も多いだろう。

2. 15分の少女たち -アイドルのつくりかた-

巻数:4巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★★☆
商材:アイドル

前述『推しの子』と同じくテーマは「アイドル」。原作者は『左ききのエレン』のかっぴー先生である。アイドル自体が主人公である『推しの子』に比べて、本作では、その作り手である芸能事務所側により焦点が当たっている。副題の通り、まさに「アイドルをいかに作っていくのか」、その過程が、アイドル業界の生々しさや個々人の心理的描写を巧みに交えながら描かれている。いわゆるオーディションが物語の主軸になっていることもあり、アイドル候補の少女それぞれが、いかに自分を"セルフプロデュース"していくのかという観点も含めて、マーケティング要素を持つ作品である。

3. パリピ孔明

巻数:12巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★★☆
商材:歌手

主人公は三国志の有名軍師である諸葛亮孔明。その孔明が現代にタイムスリップし、駆け出しの売れない女性歌手をプロデューサーとしてトップアーティストに育てていく話。そのタイトルから、ただのギャグマンガと捉えられがち?であるが、笑いはありつつも、様々な計略により徐々にアーティストとしての成功を積み重ねていく様は、ストーリーとしての魅力も十分に高い作品。ある意味突飛な計略を直接的に参考にする部分は少ないものの、前述アイドルがテーマの2作品と同じく、無名の新人をいかにゼロからプロデュースしていくかという過程は、まさにマーケティングに通じるところが多い。

4. 満州アヘンスクワッド

巻数:11巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★☆☆
商材:薬物

タイトルにあるように、舞台は満州が存在していた昭和初期。元日本兵である主人公が、ビジネスパートナーとして突如現れた謎の女性と共に、アヘンの密造に巻き込まれていく話。巨大な麻薬組織が既に複数存在する中で、主人公が属する新興組織が、いかに市場シェアを広げていくのかという様は、テーマがかなり特殊なものの参考となる部分も多い。時代的にマーケティングの概念が現在のようにはまだ確立されていないながら、特に、特定の地域にフォーカスし、そこから販路をこじ開け、いかに商圏を拡大していくのかという様は、まさに"ランチェスター戦略"にも通じるところがあるだろう。

5. 紛争でしたら八田まで

巻数:11巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★☆☆
商材:特定のものは無し

主人公は地政学リスクコンサルタント。その肩書きの通り「地政学」に関する知識で、世界中の様々な事件を解決してく話。日本では比較的馴染みが薄いが、地政学とは、地理的条件に注目して軍事や外交などの国家戦略や国同士の関係を分析する学問。"マーケティングの4P"にも含まれる通り、"場所"はマーケティング施策を検討する上での重要要素であり、この地政学の考え方は、マーケターにも参考になる部分が多い。特に店舗ビジネスなど"商圏"という概念が存在する企業の担当者は必見。加えてグローバルに事業を展開している企業は、各国の情勢や文化を学ぶ上でも非常にためになる作品。

6. ヒマチの嬢王

巻数:18巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★★☆
商材:キャバクラ

夜王』『嬢王』、古くは『女帝』など、いわゆる水商売をテーマとしたマンガは数多いが、その中でもより経営部分に焦点を当てているのが本作品。作者の茅原クレハ先生自身にキャバクラ勤務経験があることも、作品のリアリティを高めている。歌舞伎町の元No1キャバ嬢である主人公が、次は店長として、地元のキャバクラを日本一にすべく奮闘する様子が描かれている。舞台が舞台のため直接的に企業のマーケティング活動に活かせるものは少ないかもしれないが、"顧客管理"や"ナーチャリング"、"STP分析"的な考え方など、マーケターならにやっとするであろう描写が散りばめられている。

7. らーめん再遊記

巻数:6巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★★★
商材:ラーメン

料理と言えばマンガの中でもメジャーなテーマの1つであり、『食戟のソーマ 』や『美味しんぼ』など、皆様もぱっと思いつく作品も多いだろう。その中でも本作は、より「店舗経営」に焦点が当たっている稀有な作品。フードコンサルティング会社の社長である主人公が、課題を抱える様々な料理店を、持ち前の知識と経験で解決していく様子が描かれている。『らーめん発見伝』及び『らーめん才遊記』という作品の流れを汲むシリーズものであり、それらも含め、ラーメンに限らず飲食系企業のマーケターなら知っておいて損は無い、飲食事業の肝と言うべき具体事例が豊富に散りばめられている。

8. ボーイズ・ラン・ザ・ライオット

巻数:4巻 (完結)
マーケティング関連度:★★☆
商材:洋服

高校生である主人公達が、独自の洋服ブランドを立ち上げ、世の中に広めていくために奮闘する話。簡易的なネットショップを活用したスモールビジネスのため、マーケティングというと少し大袈裟かもしれないが、十分に資金がない学生だからこそ、YouTubeやSNSを駆使しながらブランドの認知を拡大していく様が描かれている。また、販促に加え、アパレル業界における立ち上げ期ならではの、"コンセプト"や"モチーフ"に対する苦悩については、他の業界で商品開発に携わる人も共感するところが多いだろう。なお、主人公が性的マイノリティに対する悩みを抱えている点も本作品の特徴である。

9. アンパンメン

巻数:5巻 (完結)
マーケティング関連度:★★☆
商材:パン

舞台は明治時代初期。現代でベンチャー企業の社長だった主人公が、ひょんなことからタイムスリップし、当時の偉人達と共に時代の改革に巻き込まれていくいく話。タイトルにもあるように、改革の一つの軸となっているのが「パン」。主人公が現代知識を駆使して無双する、ある意味よくある転生モノとは若干異なり、どちらかというと泥臭く、苦労しながら商品開発や販路開拓を行なっていく様は、時代は古いと言えど現代のマーケティングに通じるところもあるだろう。内容に誤解を与えかねないそのタイトルのため?知名度としては決して高くはないが、短巻でもあり目は通しておきたい作品。

10. スタンドUPスタート

巻数:9巻 (2023年1月時点未完)
マーケティング関連度:★★★
商材:話によって異なる

テーマはタイトルにも入っているように「スタートアップ」。いわゆる天才ではなく、どこにでもいる普通の人、むしろどちらかというと失敗や悩みを抱えている人が、天才投資家である主人公の助言を元に、起死回生をかけて次々と起業に挑戦していくストーリー。実際にスタートアップを経営している上野豪さんが監修していることもあり、毎回出てくる新規事業のアイデア自体が非常に面白い。新規事業をいかに"PMF(Product Market Fit)"させるのか、そしていわゆるプロダクトライフサイクルで言う"導入期"においてどのようなマーケティング戦略を取るべきなのか、参考になる部分が多い作品。

11. マネーの拳

巻数:12巻 (完結)
マーケティング関連度:★★★
商材:洋服

ドラゴン桜』や『インベスターZ』で有名な三田紀房先生の作品。元ボクシングの世界チャンピオンが、起業家としてビジネスの世界でも成功を目指していくストーリー。マーケティングにとどまらず「経営」全般がテーマであり、事業の立ち上げに伴う商品戦略やマーケティング戦略はもちろん、資金調達や買収など、企業を成長させていく上で必要な要素が幅広く描かれている。三田先生らしい分かりやすい例え話もふんだんに交えながら、そもそも"商売の本質とは何か"を学べる良作。世の経営者でも愛読書として挙げる人が多く、ある意味マンガではなくビジネス書とも言える必読の作品。

12. 透明アクセル

巻数:3巻 (完結)
マーケティング関連度:★★★
商材:競艇

前述の『マネーの拳』と同じく三田先生の作品。広告代理店の新人営業マンが主人公。「競艇」を題材として、博報堂、電通を思わせる大手広告代理店の2社が激しく争いながら、いかに競艇という業界をプロモーションし、盛り上げていくかという様子が描かれている。仕掛けとしてはかなり大掛かりかつ大胆であるため、直接的に実務で再現することは難しいかもしれないが、作品中でも触れられている"戦略PR"という考え方に基づき、いかにメディアを巻き込み、社会を動かしていくための"空気を作っていく"のかという点においては、マーケターにとっても大いに参考になるであろう作品。

13. 市場クロガネは稼ぎたい

巻数:13巻 (完結)
マーケティング関連度:★★★
商材:人材

Webコミック発祥だからか、タイトルで損をしている?のか定かではないが、なぜかあまり知られていないものの、知識、ストーリー双方の観点で、非常に優れた隠れた良作。テーマとしては「経済」全般。お金を稼ぐことが目的である特殊な学校が舞台であり、会社と同じく株価という概念を持ち、上場やM&Aまで行われる様々な部活動の運営の様子を通じ、いかに会社を運営し成長させていくかを学べる作品。主人公が立ち上げた新しい部活が、後発ながら、校内において事業を拡大し、学内におけるポジショニングを向上させていく数々の施策は、まさにマーケティングそのものである。

14. 海賊と呼ばれた男

巻数:10巻 (完結)
マーケティング関連度:★★☆
商材:石油

敗戦後の日本において、石油会社の立ち上げ、そして日本そのものの再興に貢献した出光興産の創業者出光佐三氏をモデルとしたベストセラー小説のコミカライズ版。ずばりマーケティングというより、経営戦略や営業戦略、またマネジメント論により関係する内容が多いものの、物的リソースも人的リソースも限られ、市場環境や競合企業により幾度となく廃業寸前の危機に追い込まれながら、泥臭く、不屈の信念でそれらを乗り越えていく様には、自身の仕事と重ね合わせ共感するマーケターも多いだろう。元々は小説であるものの、読むことでそもそも働くことに対して熱くなれる必読の作品。

15. 破天荒フェニックス

巻数:1巻 (完結)
マーケティング関連度:★★★
商材:メガネ

実在する大手メガネチェーン「オンデーズ」の経営再建について描かれた、自伝小説のコミカライズ版。巻数が1巻と限られているため、原作から比べると内容としてはさすがにかなり端折られてはおり、構成としては別途製作されているドラマ版に近いと言えるだろう。14億円という巨大な負債を抱えながら、筆者である田中社長がオンデーズをどのように立て直したのか、商品、販路、販促、そして価格と、まさに"マーケティングの4P"の観点が凝縮して描かれている作品。原作自体が有名なため、ある意味ビジネス教養としても、マーケターであればマンガ版だけでも一旦目を通しておきたい作品。

終わりに

いかがでしたでしょうか。もちろん、これらのマンガを読めば必要なマーケティング知識や業界知識が全て身に付くというほどの網羅性は全くありませんので、通常のマーケティングに関するビジネス書や、それこそ冒頭で触れた「マンガでわかる〇〇」等の書籍も、合わせて読むことをおすすめします(笑)

なお今回のこの記事は、皆様のご参考にしていただくのはもちろん、冒頭で触れた通り現状「マンガでわかる〇〇」で上位を占められている「マーケティング  マンガ」や「マーケター マンガ」の検索順位の結果に、果たして割って入ることができるのか?という、まさに今回のテーマにふさわしい、自らに課しているコンテンツマーケティング的チャレンジでもあると考えています。(割と本気)

2023年4月追記:無事に検索順位1位となりました!

ほぼ参考にする情報が世の中にない取り組みでしたので、このテーマにおいて、もし私が見逃しているおすすめのマンガがありましたらぜひ教えてください!

noteに加え、Twitterでもたまにマンガのことを呟いていますので、よろしければフォローしてもらえると嬉しいです!

https://twitter.com/takeshisumida_

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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