❖ゾンビチラシ❖ まいに知・あらび基・おもいつ記(2021年11月29日)
(長さも中身もバラバラ、日々スマホメモに綴る単なる素材、支離滅裂もご容赦を)
不用品回収、リフォーム、ピザーラ、水道修理、クリーニング、Uber eats、ダンス教室、マンション売却、鍼灸、お菓子の直売会。毎日ポストの中を空にしても、次の日に帰宅すると、ポストには大量のチラシが入っている。それはまるで倒しても倒しても現れるゾンビのように。このチラシを際限なく投入してくる行為は「ポスティング」といって、きちんと名称があるらしい。マンションの前にはポスティングお断りの貼り紙があるものの、毎日、構わずポストにチラシが入っている。ポスティングが繰り返されるのは、これが広告戦略として、それなりの費用対効果を期待できるかららしい。ポスティング×費用対効果で検索してみると、投入金額に対する金銭的価値のリターンの大きさを丁寧に計算して教えてくれるサイトがあった。しかしここでいう「効果」とは、ポスティングでチラシなどを投函している「企業にとってプラスに映る効果(➕①)」のみを意味している。もちろん企業のポスティングの目的は、自分が提供する商品(有形の財もあれば、無形のサービスもある)が、消費者に現在よりも知ってもらえることであり、その手段として採用されている。だから、商品の認知度が高まるならば、手段としてのポスティングの効果はある(プラスの効果が認められる)と考え、継続する。しかし、それを受け取る消費者の側で考えてみるとどうだろうか。チラシをきっかけにその商品を知り、購入できるようになったとすれば、消費者は商品情報に接近するという点では対価として何ら金銭を支払わずに情報を得ているので、「外部経済(市場原理に基づかないプラス効果)(➕②)」があって、消費者も企業もwin-winの関係に思える。だが消費者心理は一様ではない。その商品の情報に接近することを望んでいない、歓迎していない消費者にとっては、対価を支払っていないのは同様だが、「外部不経済(市場原理に基づかないマイナス効果)(➖①)」を受け取っていることになり迷惑である。さらに、外部経済にしても外部不経済にしても、チラシなどの具体物を受け取っているのは事実であり、必ずその具体物の処分をどうするかという問題に直面する。普通に考えて家庭ゴミの量が増えることになるので、ポスティングは廃棄物の増加という「外部不経済(➖②)」を発生させる。ポスティングによって生じる効果はまだある。家に溜まったチラシは、普通のゴミではなく、本来は資源ゴミとして捨てることが求められる。すると、ゴミの仕分け作業を余計に各家庭に求めることとなる。これは、対価を支払うことなくマイナスを受け取る単純な「外部不経済」に留まらず、余計な無償労働を発生させているので、労働によって受け取るべき賃金という対価が入ってこない代わりにチラシという不利益が入ってくる二重のマイナスになっている(➖③、➖④)。浅はかな考察ではあるが、ポスティングは企業の視点だけでなく、消費者の視点を含めて考えると、➕が2つ、➖が4つなので差し引きして➖が上回るのではないだろうか。「費用対効果」という表現は、行為主体の視点だけで金銭的価値などに関するプラスマイナスを考えるものだが、今回の考察は、ポスティングという行為が周囲に及ぼす様々な影響について捉えたものであり、「費用対影響」(勝手な造語)という表現が適切ではないだろうか。この「費用対影響」で考えると、廃棄物をみだりに発生させるポスティングはSDGsのゴール12「つくる責任、つかう責任」から見て、更なるマイナスを生み出しているようにも感じる。今回は印象重視の考察なので、ポスティングと持続可能性の関わりについて、論理重視の考察は継続課題とする。