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我楽多だらけの製哲書(N79)  ~失態の影響で辛味を増した麻辣香鍋とフランシス・ベーコン~

【記事累積:1891本目、連続投稿:830日目】
<探究対象…コラム、シンガポール、思い込み、イドラ、ベーコン>

先日、早稲渋で大変お世話になった先輩教員と食事をさせていただきました。シンガポールを訪れた際はほぼ毎回ご一緒させていただいているのですが、とても失礼な出来事が発生してしまいました。それは一体どのようなものであり、なぜそれが発生したのでしょうか、そしてそれを回避することはできなかったのでしょうか。

今回食事をした場所は、今年の3月にシンガポールを訪れたときにも、その方に連れて行っていただいたホーカーでした。そこの麻辣香鍋(マーラーホットポット)なるものを食べて非常に美味しかったので、今回も迷わず麻辣香鍋(マーラーホットポット)となったのです。

待ち合わせは17:30でした。時間の使い方が下手くそな私は、1時間以上も早くそのホーカーに着いてしまいました。この時間から先に席に座ってしまおうかとも考えましたが、料理も注文せずに長居をしていると怪しまれてしまうので、ホーカーの中を一通り見まわし麻辣香鍋(マーラーホットポット)のお店の看板があることを確認してから周囲の散策へ。

このホーカーは住宅が密集した場所にありました。シンガポールではHDB(集合住宅のようなもの)の1Fに大抵こういったホーカーや商店などが入っています。そしていくつかの棟の間のスペースには、公園があって簡易的なフィットネスの器具も置かれているのです。

そういった器具で身体を動かしてれば、すぐに時間も過ぎるかとも思いましたが、これらはHDB居住者の福祉のためのものだと思うので、部外者が勝手に使ってよいものかどうか分からず、弱気な私はただ公園のベンチで過ごすことにしました。

「帯に短し襷に長し」
待ち時間を過ごしているとき私はこの感覚を持つことが多いです。まあ早く着きすぎた私が悪いのですが、恩師のような方との食事なので何かのトラブルがあって集合場所に間に合わないというのは失礼なので、「待ち時間が長くなり他の場所を見て回れなくなるロス」よりも「欲張って他を見て回り間に合わなくなるリスク」を避けたわけです。

そのため待ち合わせの時間をそのままじっと待つには「時間は長く」、かといって今からもう一度どこか別の場所を見て回るには「時間が短い」という状況になりました。そこでベンチでPCを開き、今後投稿しようと思う記事を書いていると、あっという間に待ち合わせの時間に。そうしてホーカーの席を確保し念のためそのことを伝えると、先生も早めに来てくれるということになったのです。

しばらくすると先生から「どこにいる」との連絡。私は端の方の席にいると伝えたのですが、「見当たらない。」「間違えているんじゃないか。」といった返答。私はハッとしました。私は場所を間違えていたのです。

これまで先生とは、このホーカーともう一つのホーカーによく行っていたのです。しかしこちらだと思い込んでいたのです。さらに麻辣香鍋(マーラーホットポット)の看板があったので、それが思い込みを強めていたと考えられます。

There are four classes of Idols which beset men’s minds. To these for distinction’s sake I have assigned names, calling the first class Idols of the Tribe; the second, Idols of the Cave; the third, Idols of the Market Place; the fourth, Idols of the Theater.(人間の心を悩ませる偶像(イドラ)には4つの種類がある。 これらを区別するために名前をつけると次のようになる。第一のものを種族のイドラと呼ぶ。第二のものは洞窟のイドラ。第三は市場のイドラ。第四は劇場のイドラである。)

これはイギリス経験論の祖とされるフランシス・ベーコンの著作『ニュー・アトランティス』の言葉です。ベーコンによれば、人間は偏見や思い込みによって目の前の出来事を正しく見つめることができず、そのように歪められて取り込んでしまった情報を真理と考えてしまうのです。彼はそれを偶像(イドラ)と呼び、大きく4つに分けられると考えました。

そのうちの一つである「洞窟のイドラ」は、自分の狭い経験によって形作られた常識を真理だと思い込んで疑わない状況に関わっています。私がホーカーを間違えた原因の一つとして、これが関係していたと考えられます。私は自分がいるホーカーに麻辣香鍋(マーラーホットポット)の看板があったので、ここが以前に一緒に食べたホーカーだと思ってしまったわけです。

しかし3月にご一緒したときのことをよくよく思い出してみると、麻辣香鍋(マーラーホットポット)はもともとあった料理ではあるもののちょっとしたブームになっているという話を聞いていました。さらに今回シンガポールにきてから、他のホーカーを通りかかったときもそういえばこの料理の看板を以前よりも多く見かけるようになった気がしていたことを今更ながら思い出したのでした。

ちなみに、このブームはシンガポールだけではないかもしれません。現在住んでいるラオスでもこの料理のお店が新規開店しているのを見かけます。

このように過去の情報に対する確認不足や、思い込みによる浅はかな判断によって、結局先生を待たせてしまう形になってしまいました。あれだけの待ち時間があったのならば、場所の確認をするような連絡を念のためしてみたり、過去の写真を遡ってみたりすることが十二分に可能だったと思います。それなのに、ただただベンチで時間が過ぎるのを待つという安直な行動をとったことが、今回の失態に繋がったわけです。

ベンチで待っているときに、PCを開いていたのですから、写真データを遡って以前の食事の写真を見ることもしやすい状況になっていただけに、そういった万全の行動をとることができず悔やまれます。やはり面倒くさがらずに、最終確認を行うことが大切ですね。定期テストなどで生徒には、いつも見直しをしっかりするように話しているにも関わらず、そんな自分自身がそれを怠って今回の失態を犯したのですから説得力がありませんね。これをしっかりと教訓にして、今後はより一層、最終確認の意識を持とうと思います。

実は失態はこれだけではありませんでした。ラオスのお土産をお渡ししたのですが、お土産が入っている袋の中に購入したときのレシートも入ってしまっていたのです。良くないことは連鎖的に起こるものですね。

「泣きっ面に蜂」
この日の状況はまさにこれだったと思います。この日食べた麻辣香鍋(マーラーホットポット)も前回と同様にとても美味しかったのですが、度重なる失態の影響でしょうか、身体の中の空気が胃から鼻に抜けるとき、香辛料の刺激で鼻が痛くなるような感覚に襲われました。いわば「泣きっ面にChili」という感じでした。

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(以下は5枚ほどの写真になります)

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