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次の一歩を踏み出す公認会計士試験合格者の皆さんへ!
公認会計士試験に合格された皆様、本当におめでとうございます!
合格発表の日、自分の番号を見つけた時の高揚感や安堵、そして「ここからが本番だ」という新たな緊張感を、私はいまだに鮮明に覚えています。試験合格は、長く険しい道のりのゴールであると同時に、新たなキャリアのスタートラインです。その瞬間に立った今の皆さんに、心から祝福と、僭越ながら少しばかりのメッセージを贈ります。
この記事は、てりたまさんの「X会計士界隈から論文式試験合格者の皆さんへのリレーメッセージ」企画に寄せたもので、#24のろのろさんからバトンを引き継ぎまして、#25 の記事となります。
私自身は監査法人での経験をスタートに、事業会社のCFO、そして独立・起業など、いくつかのキャリアパスを歩んできました。その道程で得た学びや気づきを、少しでも皆さんとシェアできればと思います。
1. 私のキャリア背景と「公認会計士」という資格の意味
私が公認会計士試験に合格してから、それなりに年数が経過しました。当初は監査法人で、ひたすら目の前の監査業務に取り組む日々でした。その後、事業会社でCFOを経験し、独立・起業もしてきました。キャリアを振り返ると、「公認会計士」という資格は常に私の基盤でした。
多くの方はまずは監査法人へ就職すると思います。監査法人での経験は、会計・監査という専門領域のディープな理解だけでなく、ビジネス全体を見る視野、チームで働く力、多様な業界への好奇心を育ててくれます。加えて、「様々な情報に裏打ちされた思考」は、意思決定や提案を下支えする強力な武器となりました。
資格取得そのものはあくまでスタートラインであり、そこからどのように自分の視座を高め、スキルを拡張していくかが本当の勝負になると思います。
2. 監査法人時代の思い出
公認会計士としての最初のキャリアステージである監査法人勤務は、刺激に満ちた日々でした。思い返せば、楽しかったことも、辛かったことも数え切れないほどありますが、以下は比較的イメージしやすいものです。
・楽しかったこと
様々な業界のビジネス現場に踏み込み、その仕組みや特徴を学べることは大きな喜びでした。また、チームメンバーと共に出張やレクリエーションへ出かけたり、息抜きで飲みに行ったりする時間は格別でした。あの頃一緒に働いた仲間たちとは今でも交流が続いており、まさに人生の財産だと感じています。
・辛かったこと
配属先が「厳しい部署」と有名なチームだったこともあり、正直、(特に最初の一年は)毎日が試練でした。また、深夜までの監査調書作成、複雑な会計処理への対応、早くにパートナー直下でいきなり主査を任されたことも今思えば、当時の私には酷だった気がします。ただ、とにかく全力を注ぎ、土日も仕事漬けでした。そうしたハードな経験は、当時は苦しく辛かったですが、後から振り返れば自分を大きく成長させてくれたと感じています。
今では働き方に対する考え方も時代とともに変わり、ハードワークしにくいと思いますが、成長したいのであれば組織や環境にとらわれず、自分で行動すればいいと思います。ここは本当に自分次第で、正解は各々の中にあると思います。
3. 成長を支える力:大きな目標を持つ
監査法人でキャリアをスタートした後、専門性を磨き続ける人もいれば、事業会社やスタートアップへ転身する人、さらには独立・起業へと踏み出す人もいると思いますが、いずれの道を選んでも、これから先のキャリアをより豊かなものにする鍵は、「学び続ける姿勢」と「自ら行動すること」にあると感じます。
会計や監査の専門知識は強力な武器ですが、それを存分に活かすには、より多面的なスキルが求められます。たとえば、相手との意思疎通をスムーズにするコミュニケーション力、膨大な情報から本質を見極める洞察力、そして絶えず変化するビジネス環境に対応する問題解決力などは、行動しながら学び、試行錯誤を重ねる中で身についていくものだと思います。さらに、業界動向に敏感であることや、新たなサービスやテクノロジー(AIなど)を積極的に取り入れる行動力も重要です。たとえ今、組織のルールや制約があったとしても、自ら学び、実践を重ねていけば、時代の波を自分の力で乗り越えられる基盤が築かれていくはずです。
そして、こうしたスキルや知識、行動力を支える拠り所として、私は「大きな目標を持つこと」の大切さを改めて感じています。明確な大きな目標を掲げることで、日々の努力に意味が生まれ、その積み重ねが自分を成長へと導く原動力になります。大きな目標を達成したら、さらに新たな目標を設定して前進する。その繰り返しがキャリアをより充実させ、確かな土台となってくれるのかなと思います。
4. これからの展望と皆さんへのエール
公認会計士資格取得後のキャリアには、多種多様な選択肢が広がっています。監査法人で専門性を深める道や、事業会社で経営や財務などの中核を担う道、さらには起業や独立によって新たな価値を創出する道など、それぞれに魅力と可能性があります。いずれのキャリアにおいても、「会計」「様々な情報に裏打ちされた思考」「信頼性の担保」などという職能は、大きな強みとして活かせます。
これからのビジネス環境は、AIなどの進展により、これまで以上に劇的な変化を迎えると思います。テクノロジーが「正確性」や「透明性」、そして基本的な「分析力」を標準装備する時代が到来しても、データを基にした戦略的な判断や、ステークホルダーとのコミュニケーション、リスクやチャンスを見抜く洞察力といった人間ならではの価値提供の重要性は変わらず、むしろ、そうした人間的な判断力と専門性がこれまで以上に求められる時代になると思います。
その点、会計士は変化に合わせて自らの強みを発揮し、新たな可能性を切り拓ける存在で、時代がいかに進化しても、その本質的な役割は揺らがないと思います。
改めて、公認会計士試験合格おめでとうございます!これからの新たなステージが、皆さんにとって充実感と成長に満ちた素晴らしい旅路となりますように!
P.S. 今後進路やキャリア、その他お悩みがありましたら、どうぞ遠慮なくご連絡ください。お力になれることがあれば、喜んでお手伝いします。
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