「離島で保健師をやってみた」第9回 〜離島の診療所 その1〜
私の過ごした離島、座間味村はいくつかの島で形成されています。座間味村役場のある座間味島、その対岸にある阿嘉島、そして慶留間島、この3つの島が有人島で、あとはたくさんの無人島があります。阿嘉島と慶留間島は20年ほど前に大きな橋で繋がりました。座間味島と阿嘉島および慶留間島は距離がありますので橋はなく、村内航路の船による移動となります。
つまり、大きな括りでいうと、座間味村は二つのエリアに分かれています。座間味島エリアと、阿嘉島&慶留間島エリアです。日中は村内航路などがありますので、行き来は可能ですが、夜間帯や船の運行が難しい悪天候時は、行き来はできなくなります。
そのような理由から、座間味村には、座間味島と阿嘉島にひとつずつ診療所があり、一つの村に二つの診療所があります。診療所の医師や看護師さんとのやりとりも、保健師にはとても大切な仕事であり、二つの診療所にはほぼ毎日通っていました。今回は、その二つの診療所のご紹介をしたいと思います。
座間味島の診療所には、岐阜県出身の私より少し年上の男性医師がいました。ちょうど私が赴任する少し前に座間味にやってきた先生でした。同じ内地(本州)しかも東海地方からこの離島に来て、年齢も境遇も近いこともあり、すぐに先生と打ち解けることができました。この先生がもし島にいなかったら、私はもっと早く島を去っていたかと思います(笑)。休みの日は一緒に自然の中を散歩しながら、気になる住民の方のお宅に往診(ボランティア)行ったり、夕方から一緒にお食事をしたり、本当に公私共にお世話になった先生です。先生もいまでは岐阜に戻り、地域医療のお仕事をされています。
もうひとつの阿嘉島にも診療所の先生がいらっしゃいました。こちらは自治医大出身の沖縄出身の若い医師でした。若いですがとてもしっかりとしており、地元沖縄出身ということもあり、住民の勢いに決して負けることはなくなんでもハキハキと物申される先生でした。
お二人の先生ともに、住民の方の話をじっくりと聞き、親身に患者さんに寄り添う優しい医師でした。まさに「Dr.コトー」のような感じで。保健師としても、一人の人間としても、お二人の医師にずいぶんと助けていただきました。(続く)