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20代はI型人材を目指して自分に投資すべき?~自分の得意分野を見つけられずに悩む28歳のキャリア②~

こんにちは。株式会社シンシア・ハートで代表取締役をしている堀内猛志(takenoko1220)です。
前回のnoteでは、「思い切って転職した企業がイマイチだったけど次の転職をすぐにしていいの?~自分の得意分野を見つけられずに悩む28歳のキャリア①~」ということについて書きました。

今回のnoteは前回の解説編になるので、よろしければ前回のnoteをざっと読んでから今回のnoteを読んでいただくと理解が深まるかと思います。

転職後すぐの転職はアリかナシか?

28歳の健太のキャリアを考えるとアリです。ポイントは2社目であることと年齢です。

2社目は失敗しやすい

人間は環境の生き物です。社会人としての価値観は1社目の経験によって大きく左右されます。よって、1社目の経験が長ければ長いほど1社目で培った価値観は2社目以降に引きずってしまいます。特に2社目は、転職するという経験自体が初めてのため、1社目の価値観とのギャップに苦しむことでしょう。健太のように大企業からのスタートアップのような環境差が大きい転職であればなおさらです。

また、1社目の成功体験を持ち込んでしまうのもギャップを生む原因です。同業界同職種であれば問題ないのですが、そうじゃない場合は野球がサッカーに変わるくらい衝撃的に違います。今までの成功体験をアンラーンして新卒の気持ちで臨むとストレスは少なく済むのですが、それができないのが人間です。「ギャップは間違いなくあるだろう、そして、俺はそれを分かったうえで転職するんだ」誰しもがそのように想定しながら転職するのに、健太のような状況になるんですよね。結局は経験しないとわからないということです。そのギャップを楽しむ気持ちを持てない人は、現職に留まるか同業界同職種で転職した方がいいでしょう

人事採用担当者はこういう人をよく見ています。なので、2社目の失敗による早期転職は大目に見てくれるところが多いです。それが3社目だと話は違います。「1回転職を経験してわかっているはずなのに3回目でその失敗をしちゃう?」という感覚になるわけですね。とはいえ、転職回数や期間による善し悪しの判断は個社別に違います。何度か転職を繰り返している場合は直近の2社が1年半以内に転職を繰り返している場合はNG、それ以外ならOKというルールを決めている企業もあります。

若さは大体のことをカバーしてくれる

次に年齢です。健太は20代。それだけで転職は可能です。若いうちは失敗するものですし、それを糧に成長するだけのポテンシャルがあります。そういう意味ではマインドが若々しさを保っており、成長意欲が衰えていなければ実年齢は関係ないとも言えますが、一般的に見て、年齢が上になるほど書類選考で落とされる可能性が高くなり、マインドの若々しさを伝えるチャンスさえもらえないことが多いです。

その点、実年齢が20代であれば一旦会ってみようと思ってもらえる可能性は高いです。転職に至るには様々な背景や理由があると思いますが、どんなネガティブ理由であれ、次に向かう想いをポジティブに変えることができれば転職はできます。ただ、やはりその想いを伝えるのは書面よりも会話が向いており、面談のチャンスがなければいくらやる気があっても拾ってもらえないのです。

蛇足ですが、40代以上の人でも、マインドは衰えずに成長しようとしていると判断されるひとつの要因が希望年収と役職です。現職の年収や役職を捨て、一般メンバーと同じレベルから始めるということを伝えれば、よほど問題がある人じゃない限り受かります。なぜなら市場価値及び能力と報酬は比例するので、一般メンバーと同じ年収で採用できるのであればお買い得だからです(一般メンバー以上の能力を持っていることが前提ですが)。しかし、ほとんどの人は現職の年収をキープ、または少し下げることに固執します。よほど良い企業に出会えれば下げてもいいと考えている人もいますが、そもそも年齢と能力と年収のバランスは書類のみで判断されます。異業種転職の場合、そのバランスが適正なのか不明なので落とされるケースが多いです。そう、ベテランになると、最初から「新卒年収くらい下げてでもやってやる」という覚悟がない限り、アピールするチャンスも素敵な出会いもない、ノーチャンスなのです。あ、エグゼクティブクラスは除きます。

決断は早い方がいい v.s. ゴールを考えてから動いた方がいい

転職できる確率は高いとわかった健太ですが、それは労働市場における取引が可能だというだけの話。健太個人のキャリアを考えた時に、今の状態で即転職してしまう決断が本当にベストなのでしょうか。

決断力が話題に上がる時に「悩んでも結論は変わらない。だから決断は早い方がいい」と言われますね。一方で、やりたいことの見つけ方などの自分のキャリアを考えるような本には「ゴールを考えないのは目的地を設定しないカーナビのようなものだ」という言葉が並びます。

一見、矛盾する2者ですが、結論は「早くゴールを決めて決断する」です。矛盾する2者を同時に行う必要があるのです。

人はとにかく急ぐ

決断が早いに越したことはありません。しかし、それは考える材料が足りている、または、それ以上考えてもしょうがないという状態に達している時に使われる言葉です。ほとんどの人が失敗したくないという想いから決断ができません。しかし、100%失敗しないものはないので、いかに少ない情報で決断するのかが求められるのです。そういう場合に限って「決断は早い方がいい」という言葉が使われます。決断する材料がゼロで決断するのはただの博打です。

では、なぜ人は材料がゼロでも決断してしまおうとするのでしょうか。それは「人はとにかく急ぐ」という習性があるからです。ダイエットでも投資でも、人は早く結果を得たいと思ってしまいます。本当にやりたいことはコツコツ続けることが大事なのですが、早く結果が欲しいので日々の努力をすっ飛ばし、「すぐに痩せる方法」「すぐに儲けることができる方法」に飛びつくのです。若い人ほど「成長実感が欲しい」と言います。「成長したい」ではなく「成長実感が欲しい」という表現は、まさに成長というわかりやすい成果を急ぎ欲しいという欲求の表れではないでしょうか。

もうひとつは「人は易きに流れる」ということです。挑戦にはリスクが伴うために決断ができません。だからこそリスクをとった決断をできる人が尊ばれるのですが、今の環境から逃げるための決断は、リスクを伴う決断ではありません。なので決断がしやすいわけです。しかし、自分でその決断を逃げだと思いたくないという想いがあります。よって「決断は早い方がいい」というもっともらしい言葉を引用するのです。これは「人は自分に都合の良い情報だけを集めてしまう」という習性から来るものです。

ゴールは変えてもいい、むしろ更新すべきである

ゴールを決められない人の特徴は、ゴールは唯一無二のものであると思い込みすぎているところにあります。ゴールは人生に1個しか決められないというルールがあれば安易に定めるのは怖いでしょう。しかし、ゴールは何回変えてもいいのです。「変える」という言い方がネガティブな行動のように聞こえるのでしょうか。それなら「更新する」を使いましょう。英語で言うなら「アップデート」。時間が経てば新たな出会いや気づきがありますし、それに伴って自分の価値観、感情、思考もアップデートされます。今の自分という「現在地」がアップデートされているのに、ゴールがアップデートされないはずがないのです。

アップデートされるのであればゴールはふわっとしておいてもいいのでは?というとそれは違います。カーナビで考えてもらえればわかりやすいですが、目的地(ゴール)を決めずにルートは表示されないですよね?「現在地」と「ゴール」がセットだから「ルート」が決まるのです。「ゴール」がないから「ルート」が定まらず、交差点のたびに右に行くか左にいくか直進し続けるかを悩むのではないでしょうか。

数十年後のゴールが見えにくいなら1年後で立てて見ましょう。ただし、大局観は持つべきです。遠くのゴールが見えないからと言って、明日のゴールばかり追い続けていると実は同じ場所をぐるぐる回ることになりかねません。あなたが今東京にいて、福岡に行くことがゴールだと考えましょう。ここで福岡に行くことが定まっていないと仮定したときに、東西南北という大局観で見ると西の方に行くんだということを考える必要があります。そして、せめて1年後には熱海には着くぞ!というゴールを作ります。ここから東海道線のように一直線で行ければベストですが、途中で北陸の方に進もうが、四国に立ち寄ろうが、福岡には近づいていますよね。しかし、毎日の目標を追いかけると、東京から新橋へ、新橋から品川へ、品川から恵比寿へ、、、気づけば山手線を回るように東京に戻ってしまうということになります。これは、近すぎると進んでいるのかがわかりづらいから起きることです。そして人は「このルートで合っているのか?」が不安になり、いつも途中下車して立ち止まるんですよね。そういう意味では必死に山手線を1周した人の方が「やべ!間違えていた!」と間違いに気づける分、良いかもしれません。

健太に例えても同じです。将来のゴールは見えづらいかもしれない。しかし、大局観を持ち、数年後のゴールを定めれば勢いでの転職はなかったかもしれません。また、ゴールを見つけたように思った健太ですが、それは先輩の夢に乗っかっただけであり、自分自身から湧き出たゴールではありません。急いで答えを出そうとし、易きに流れ、自分にとって都合の良い情報だけを集めた結果のなれの果てなのです。わかりやすいですね。そして今、まだ電車は東京から品川にも着いていないのに途中下車しようとしています。これを続けていても永遠に自分の描くゴールには近づけません。

ゆえに、この状態の健太が2回目の転職を急ぐのはおススメしないのです。

20代は何よりも自分に投資してI型人材を目指す

世の中には様々な世代論争があります。20代はこれをすべき、30代からの●●、40代でできる人とできない人、、、などですね。20代でやるべきことはたくさんありますが、私はこの2つをおススメします。

社会の仕組みを知る
自己投資を行い確固たる強みを見つける

社会の仕組みを知る

20代で早めに理解した方がいいことは「社会の仕組みを知る」ことです。学生から社会人になり、自分が戦うゲームルールは大きく変わります。そのルールを知らずして、自分のキャリアを築いていくことはできません。そもそも社会は不平等で矛盾しているものです。これが学生の頃とは大きく違います。例えば同じ時間を働いていても、全然稼げない人とものすごく稼ぐ人がいます。

稼ぎ方の4象限

稼ぎ方には4つのエリアがあります。しかし、学校では「労働者」と「フリーランス」の働き方しか教えてくれません。よい会社に入ること、弁護士などの士業につくことなどは教えてくれますが、「経営者」や「投資家」になる方法は学校では教えてくれないのです。

「労働者」と「フリーランス」という働き方には「時間」と「スキル」というキャップ(上限)があります。なので、いくら頑張って働いても得られる給料や報酬にも限界があります。一方で「経営者」や「投資家」にはそのキャップがありません。より大きなリターンを得たいのであれば「経営者」や「投資家」になった方が明らかに良いのです。

しかし、当然リスクがあります。「経営者」や「投資家」になるためには大きな元手が必要となります。元手とは資本です。資本とは資金のことだけではありません。資金だけなら今の時代なら少額でも起業も投資も可能です。資本とは以下のようなものです。

・資金
・マインド
・専門知識、専門スキル
・人脈、信頼
・経験、実績

小さな商売、小額投資の経験をしたいのであればこれらはいらないでしょう。しかし、大きなリターンを得たいのであれば、これらの資本は必要不可欠になります。ゆえに、20代はこれらの資本をつくっていくと良いのです。

健太の場合、スタートアップに転職したことで、あたかも自分が経営者のように働けるかのような思考の勘違いがありました。スタートアップで働くことで得られるものはたくさんありますが、大手企業で働こうが、スタートアップで働こうが労働者は労働者です。それ以上でも以下でもないのです。スタートアップに行ったって急に羽が生えるわけではない。この覚悟が健太には欠けていたのです。

自己投資を行い確固たる強みを見つける

YouTubeやSNSで様々なインスタント知識が溢れる時代になり、起業家、投資家、フリーランスなど、様々な人が「簡単に儲かる方法」「失敗したくなければこれをやれ」などと発信しています。前述したように、とにかく急いでしまう習性を持つ人間は、それらの情報を見てやりたくなってしまいます。私のところにも、若い人からの起業相談、複業相談、投資の相談がたくさんきます。しかし、一部の天才を除いて大多数の人に言えることは、20代がすべきことは「自己投資」だということです。

20代が持つ若さという体力、成長意欲、新鮮な気持ちは資本ではなく資源です。これらを自分の成長の為に自己投資して、自分の確固たる強みという名の資本を身に着ける方が、大多数の日本人には合っているやり方だと思います。学校教育が教えてくれたように、コツコツと努力し、ひとつずつ目標をクリアする方法と喜びは日本人ならほとんどの人が知っているはずです。自分がこれまで培ってきた、自分の戦いやすい方法を選ぶ方が良いのではないでしょうか。

コツコツ型の人のための成長ステップは以下の通りです。

キャリアの4ステップ

ステップ①のI型は、営業、販売、デザイン、開発、財務など、ひとつの職種を極める状態です。1人の社会人として一人前と認めてもらえる状態であり、その職種の肝や成功の方程式を自分で語ることができます。

ステップ②のT型は、I型で身に着けた能力を様々な業態やステージの企業でもアジャストできる能力です。例えば営業であれば、営業戦略や営業企画のように上流まで考えることができ、営業組織というチームをマネジメントできる状態を指します。I型は同規模の同業種じゃないと成果を出せない場面もありますが、T型は他業種でも様々なステージでも自分の専門性を発揮したチームを組成し、成果を出すことができます。

ステップ③のH型は、専門性が複数あるT型人材です。ゆえに、マーケ、ダイレクトセールス、カスタマーサクセスの組織を一気通貫でマネジメントすることができたり、セールスと開発を繋ぐプロジェクトマネージャーができる状態を指します。

ステップ④のHH型は、H型のようなプロジェクトを複数掛け持ち、さらに上流の経営視点を持つことから、異なるプロジェクトを最大化させることができる状態を指します。複数の機能別組織を束ねる事業責任者やCXOを担える人材は間違いなくHH型人材です。

大手エンタープライズ企業からスタートアップ企業に転職する人が増えているのは「人はとにかく急ぐ」という習性から説明することができます。総合職として入社し、I型だと強く言えるような強みがないまま社内異動を続けると「成長実感」がないからです。当然、成長実感や自信は育まれません。結果、I型として成長しているスタートアップの同期がいる芝生があおく見えるのです。

健太もこれと全く同じです。I型と言える確固たる強みを自分の中で見いだせていないためキャリアに不安を覚えました。しかし、「とにかく急ぐ」という習性が前に出てしまい、スタートアップにいけばHH型にジャンプできるような感覚を持ちました。スタートアップはとにかく早いです。とにかく働きます。スピードが早く、時間をかけているのですから一般的な企業よりも成長が早いのは間違いありません。

しかし、その早さは一足飛びでは決してありません。ここにキャリアの落とし穴があります。健太が行うべき1万時間の壁と土壇場・修羅場・正念場経験について、次回のnoteで解説したいと思います。


健太のストーリーを読んで他人ごとではないと思った人は下記よりご連絡ください。

それでは今日も素敵な一日を!

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