『なぜあの人はウケがいいの?』面接で受かる人が無意識に行っているテクニック
こんにちは。株式会社シンシア・ハートで代表取締役をしている堀内猛志(takenoko1220)です。
前回のnoteでは、「年始の業務開始前に行う”キャリア棚卸し”の簡単3ステップ」について書きました。
今年は人材紹介業やコーチングに力を入れようと決めたので、自然とキャリア相談を受ける機会が増えました。キャリアカウンセリングをしていて、受かる人はどこでも受かるし、受からない人はなかなか受からないことがわかります。圧倒的な能力を持っている人は別にして、キャリアが変わらなくても「受かる/受からない」がはっきり分かれます。そしてそれはキャリアの面談時にはっきりわかります。今回のnoteはその謎について解き明かしたいと思います。
面接は「自分の売り込み」ではなく「コミュニケーション」
面接で一番起きがちな間違いはこちらです。自分のことを見極められるという意識が強いがためにこじれてしまうと思うのですが、面接でアピールはいりません。
仮にスキルのみで採用されるのであれば履歴書や職務経歴書やポートフォリオを見れば十分です。しかし、ほぼ全ての企業では書類選考のみで合否が出ることはなく面接が実施されます。つまり、書類ではわからないあなたの人間性を面接では見られるわけです。
「面接で聞かれることは経験やスキルであり、人間性について質問を受けたことがないのですが?」
それはそうでしょうね。「あなたの人間性を教えてください。」というような質問が来ることはないでしょう。面接官は履歴書や職務経歴書にある内容をもとにあなたの経験やスキルを質問してきます。しかし、ここで見ているのは内容以上に、質問へのリアクションや表情、話し方やトーンなのです。
正確には、面接官は内容で判断しようとしていて、リアクションなどで判断しようとはしていません。しかし、無意識は確実に後者で判断しています。それは、このnoteでも何度も解説している「システムⅠ」という機能が人間には備わっているからです。
人の脳の中にあるシステムⅠという機能は例えるなら像のようなもので、「食べたいときに食べる」というように直感的に動きます。一方で、もう一つの機能であるシステムⅡは、例えるなら像使いで「食べたら太るから我慢しよう。せめてこれくらいのカロリーに抑えよう」とううように理性的に動きます。
直感と理性、どちらが強いかと言えば、圧倒的に直感の方がパワフルです。美しいものを見て美しいと感じるのも、おいしいものを食べておいしいと感じるのもシステムⅠの動きです。その美しい、おいしいをなぜそう思うのか、という理屈をつけて考えるのがシステムⅡです。ほら、直感の前に理性が来ることはないですよね?
面接官も同じです。冷静、かつ、合理的な人でもシステムⅠは必ずパワフルです。表面的には「履歴書では見えないところを確認する」と言っていても、実態は「直感で一緒に働きたいかどうか決めている」のが本音なのです。社内でもわざわざ明言はしないですけどね。
「コミュニケーション」のゴールは「相手の感情を動かす」こと
結局は「人は見た目が9割」の話かと思った人もいるでしょう。大きくは間違えていません。やはり、清潔感がある人や顔の造形美が美しい人が、そうでない人よりも印象が良いのはしょうがないことです。根っから明るく元気な人も同じですね。
しかし、見た目やタイプの話で終わらせてしまうと、持ち合わせていない人が圧倒的に不利ですよね。しかし、大丈夫です。持ち合わせていない人でも絶対に勝てるという話をしていきたいと思います。
なぜ「絶対」と言い切れるのかと言うと答えがあるからです。感情に答えがあると言われると不思議に思うかもしれませんが、あるのです。それが心理学です。数学に答えがあるように学問には正解があり、それが証明されています。正解があるということは、訓練すれば誰でもできるようになるということです。学問というと苦手意識があるかもしれませんが、ネットに落ちているような効果が証明されていない簡単テクニックをまねるよりも、確実に効果は出ます。
ポイントは訓練をちゃんとするかどうかです。人にはホメオスタシスという生体恒常性があるので、外からの環境変化に対して元の状態に戻ろうと無意識に身体が現状維持に向かってしまうのです。外気温が高いときでも汗をかいて36度前後の平熱を維持しようとしたり、急激に痩せてもリバウンドで元の体重に戻そうとするような力ですね。学ぶ時も同じことが起きます。学ばない自分を維持しようとして学習初期フェーズは学習行動は辛いですが、人は21日間継続すれば慣れると言われています。つまり、21日間かけて身体が学習することが普通と思うようになってくれるので、学習を維持する方に脳が無意識に向かってくれるのです。努力いらずのオートパイロットが出来上がるイメージですね。ここまで頑張りましょう。
話を戻しますね。「面接官は直感であなたを評価してしまう」ということがわかりました。そうであれば、面接という名のコミュニケーションの場は、あなたに対する面接官の感情をポジティブにできるかどうかのゲームだということになります。ここを押さえるかどうかが重要であり、内定をいくつも獲得できる人は無意識にここを押さえていて、そうじゃない人はここがわかっていないために、ゴールを達成できないという状態にあるのです。
文字に起こすと至って当たり前のことを言っているように見えますね。なぜ内定がもらえない人はこれができないのでしょうか。その理由はゴールに向かうためのプロセスにあります。
「相手の感情を動かす」ためにするのは「相手を知り、相手に合わせる」こと
人が誰でも一番興味を持っているものがあります。なんだと思いますか?
家族?お金?仕事?人生?愛って回答できる人は素敵ですね。
答えは一つで「自分自身」なんです。
ほとんどの人が日々自分のことばかり考えています。自分は今何がしたいのか、自分がやりたいことは何か、自分の今日の運勢はどうか。そういうことです。朝の情報番組で自分の運勢の前に他人の運勢が気になる人はいますか?なかなかいないですよね。自分のお腹がすく前に「今、あの人のお腹は空いていないかしら?」って考える人もそういないと思います。
自分自身が好きであるということの証明に、人は自分の名前を呼んでくれる人のことを好意的に感じてしまうということがあります。逆に言うと、好意を持ってほしい人には、名前を連呼することが効果的であるということです。例えばパーティのようなガヤガヤした場面でも、自分の名前が呼ばれると反応してしまいますよね。雑音の中でも名前を聞き分けることができるのは、それだけ名前に興味があるという証拠なのです。
「人は自分自身に一番興味がある」これを意識できるか無意識に行動してしまっているかが、内定が出る、出ないの分かれ道です。内定がもらえない人は、すべからく無意識のため、一番興味のある自分自身の話をし、自分自身がどうしたいか、という意識で面接に臨んでいます。ゆえに、自己PRはどうすべきか、強みをどう表現すべきか、どんな質問をしようか、と、自分にベクトルが向いたことばかり考えています。
営業や恋愛の場面なら、クライアントや好きな人のことを想い、合わせるということに意識が向く人も、こと面接になるとそれを忘れているのです。面接は自分のことを見極められる場だという意識が強いのでしょう。つまり、無意識のうちに自分が主役の舞台と思って面接に臨んでいるのです。面接官は面接官で、自分の方が主役とは思っていないので、あなたの舞台を見て聞いてくれます。しかし、面接官も人間です。ずっと他人の舞台を見て、聴いているよりも、やはり自分自身のことを話したり、興味を持ってもらったりして、自分の舞台の主役にしてもらった方がうれしいのです。いくら謙虚な人でもここは同じです。システムⅠが反応してしまうのですから。
相手の感情を動かすための具体的な方法は以下の3つのです。
①事前準備
できる限り調べつくしましょう。当たり前のことですが重要です。HPだけではなく、採用ページやIR情報などをよく見ましょう。採用ページは業界未経験の人向けに作られているので、非常に平易な言葉でかみ砕いて説明してくれているのでわかりやすいはずです。逆にIR情報は投資家向けなので、非常に深い情報を載せてくれています。素人向けとプロ向けの両方を見比べると、HPという表面的な情報だけではわからないような企業の奥行まで見えてきます。
単に読んで頭に入れるのではなく、比較をしながら読むと考えが深まります。比較方法は以下の通りです。
分析とは分けて考えることです。つまり、二項対立したもの同士を見比べることで見える世界に、その企業が抱える重要なイシューが見つかります。過去や未来、競合他社、自分の考え、それらと現在の実態を比べると、違いが浮き彫りになってきます。その差分を押さえて、自分の文法で面接官にぶつけてみてください。知る☛調べる☛分析する☛イシュー特定する☛解釈する、というあなたの思考力がその質問だけで伝えることができるのです。
面接官情報も事前にもらえるなら是非いただきましょう。今は面接官について紹介された記事URLを送ってくれる企業も増えましたね。ないものは調べられないのですが、分かったのであれば、面接官の情報を調べられるだけ調べましょう。その際に必要なのが教養です。
教養とは単なる雑学ではありません。教養とはコミュニケーションを円滑にするための知恵です。言語、文化、歴史、音楽、様々なものが教養とされていますが、それらは覚えて終了では意味がありません。コミュニケーションをする相手の出身地の歴史や文化、相手の好きな食べ物に関する知識や関連情報、相手の興味のある趣味や音楽に対する知見や経験、それらを持っているか持っていないかで会話は格段に変わります。
相手のことを調べて、興味がないのに興味がある風にしても見抜かれますし、そんな浅はかなテクニックを教えたいわけではありません。普段から教養を学び、磨くということは、コミュニケーションをする相手と円滑な関係を結ぶために重要である、ということを理解すると、自分自身だけではなく常に相手を考える脳を養うことができます。これが重要なのです。
②ラポール
話す内容だけではなく、その場の空気づくりは非常に重要です。無意識な人は、その空気づくりを相手に期待してしまっています。よって、変な空気になった場合、この人とは合わない、と判断してしまうのですが、それはもったいないのです。
自分にとってやりやすい空気は自分で作る、これを徹底してください。スポーツでも自分たちの本拠地でホームで試合をするときと、相手の本拠地であるアウェイで試合をする時では勝率が異なりますよね。それくらい、やりやすい空気の中ではパフォーマンスが劇的に上がるのです。その空気を自ら作り出すこと、つまりは相手との関係づくりのことをラポールと言います。
ラポールは営業や恋愛の場面でよく用いられる技術ですが、それに限らずコミュニケーションの場面ではすべてで活用できます。
ラポールで主に使われるのは以下のようなテクニックです。
これらのやり方は様々な記事で紹介されているので、そちらでご確認ください。
ポイントは、相手をしっかり見て、相手に合わせることです。簡単なようでこれができない人が多いのは、やはり「自分自身」に興味があることを理解していないからだと考えます。
話すテンポが遅い人、声が小さい人に対して、早く大きな口調は不愉快ですし、笑うタイミングや悲しむタイミングがズレると違和感を感じます。相手は「コミット」と言っているのに、あなたが「グリット」と言い続けて会話をしていては同じような言葉を使っているようでも互いにシンパシーは感じません。
会社には文化や風土があります。よって、その中に入った時に違和感がないか、を無意識に感じ取ろうとしている面接官にとって、採用候補者が自分と同じ空気を発してくれていたら、まずその点において合格なのは間違いありません。
繰り返しますが、空気を作ることを相手に任せないでください。空気を作るための努力をするのはあなた自身です。
③ベクトル
ベクトルとは、話す主語を誰にするかということです。「自分自身」に興味があるあなたは知らず知らずのうちに自分が主語になってしまっています。仕事の経験を話す際も、クライアントやチームを主語にして話すか、あなたが主語にして話すかで、印象は大きく変わってきます。
こんな言い回しを見たことがあるでしょうか。
鬼の子から見たら桃太郎という物語は殺戮と侵略の悲劇なわけですね。
スポーツ番組でもよくあることですが、視聴者がどちらかのチームのファンじゃないとしても、どちらかのチーム寄りで作った番組は知らず知らずのうちに寄せている方のチーム目線で見てしまうので、勝ったら嬉しく、負けたら悲しく感じるのです。
面接の場面でも同じです。
どちらのゲームだと理解して臨むかで、会話も大きく違うことがわかると思います。企業目線のゲームだと思ってあなたが面接で臨めば、あなたの自己PRの仕方も大きく変わると思いませんか。これができるかどうかも、人は「自分自身」に興味があると理解できているかどうか、なのです。
面接で様々な会話がなされるでしょう。しかし、それらの会話が、入社したら「自分が」幸せになることを確認しているか、「企業が」幸せになるのかを伝えているのか、では伝わり方は激しく違いますよね。これは普段の会話でも訓練が可能ですので主語を入れ替えて話せるかどうかを実践してみてください。
すべてに言えることですが、普段できていないことを面接でいきなり実践することは不可能です。相手目線でのコミュニケーションが面接の場面で自然にできている、このことを通してあなたのひととなりが面接官に伝わるのです。これを面接官は無意識に「合う/合わない」で判断しているわけですが、これを直感という言葉に片付けるのは乱暴なのはわかりますね。このシステムⅠの判断は人を見極めるうえで何よりも重要なのです。
いかがでしたでしょうか?
noteを読んでもっと詳しく知りたいと思った人は下記よりご連絡ください。
それでは今日も素敵な一日を!