いわきFC vs 長野パルセイロ:真剣勝負

 J3第23節のこの試合は、侍同士が真剣をもって切り結ぶがごとくであった。いわきFCは、いつものように前からプレス。対する長野パルセイロは、守って鋭いカウンター、火花が飛び交う展開であった。
 長野のこの戦術は、スカウティングに優れたシュタルフ 悠紀リヒャルト監督のいわき対策であった。残り12試合となって、各チームはいわき対策に真剣に取り組んでいる。プレスをはがしてカウンターは、決まれば破壊力抜群。実際、この試合の初めからいわきはカウンターの餌食になりかけた。坂田の好セーブやポストに救われた。長野の最終ラインのGKを加えた5選手のボール回しは、極めて印象的。いわきのプレスがなかなかはまらない。
 後半に入っても、いわきが攻めて長野が守ってカウンターの図式が続いた。いわきは、ワンサイド密集になかなか持ち込めない。いわきの特典が最も多い後半立ち上がりの時間帯を無得点に抑えられたベンチは、交代カードとして、後半16分FD谷村、27分DF江川(嵯峨を一列上げる)を切った。この試合の唯一の得点は、このベンチワーク+谷村海那の個人技によって後半38分に生まれた。谷村選手は、マルセーユルーレットを使って、ペナルティエリアに侵入、ボールは嵯峨選手の前に転がり、シュート。相手に当たったボールを前進を止めなかった谷村選手が右隅に蹴りこんだ。
 谷村選手は、181cm、83kgと名鑑にはある。同じFDのあり・ありコンビと比べると身長は同程度だが、体重が多い。ゆえに、動作がスローかと見える場合があるが、ルーレット(2回)だけでなくダブルタッチも見せていたからテクニシャンなのだ。昨年5ゴール、今期はこれで3ゴール、ここからの爆発を期待したい。ヒーローインタビューは、みんなに好かれるキャラクターの持ち主だと思わせた。
 真剣勝負の結果、最後は、長野側にレッドカードが出るなど少し荒れたが、それだけ選手たちが本気だったわけである。成長につながる好ゲームであった。2000+の観客としても時間が速く過ぎる攻守の激しく入れ替わる見ごたえがある内容であった。

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