いわきFC:やっぱ、岩渕、面白れぇ!
J2リーグ第23節、7月2日(日)、対ブラウルブリッツ秋田戦をネット観戦。結果は、1-1の引き分け。アウエーで貴重な勝ち点1を持ち帰った。
この一戦、Dazn実況放送の解説は、柱谷哲二氏(元日本代表ディフェンダー)。解説内容が的確でとても参考になった。同氏が注目選手として挙げたのは、秋田・背番号5河野貴志、いわき・背番号4家泉怜依。CBの専門家として柱谷氏が注目したわけだが、両者ともナイスプレーを連発したが、共に失点にからみ、同ポジションの重要さが改めて浮き彫りになった。
前半は、早い寄せの特徴を互いに出し、激しいバトルがそこここで繰り広げられた。迫力に富む乱戦で、非常に見応えがあった。秋田のスタイルは、以前のいわき流と同じで、ワンサイド密集、ボールは保持せず、縦に速く攻め、セカンドを狙う方式。これが功を奏して、18分と31分に決定機を作った。これらの決定機は、GK鹿野の魂のセーブと幸運(ゴール前を流れたボールに秋田の選手が反応できず)で、いわきは何と前半を無失点でしのいだ。
0-0で迎えた後半は、いわきが下田選手を下げ、永井選手を投入。下田選手が担っていたアンカーを山下選手に任せ、攻撃力を高めようという狙い。ただし、前半の後半部分、下田選手のボールさばきが機能していたように見えたので、この交代は、解説者も含めて見るものに意外な感じを与えた。しかし、後半41分には、山下選手も交代させた田村采配には、相当な覚悟があると思われる。山下キャプテンは、常にフル出場が当たり前なので、この交代には何か秘められたメッセージがあるのだろう。筆者としては、山下選手が持つ高度なキック技術を考えると、昨年J3、今年J2で無得点なのは、納得いかない。直接FKでゴールを決める怖い選手となって、相手がペナ付近でファールをできないような環境を作ってほしい。
ところで、秋田の先制点は、後半33分だった。右サイドを突破され、遠藤選手がクロス阻止に向かったが、ギリギリで上げられてしまった。そのクロスをゴール前でクリアしようとした家泉選手のキックが当たりそこねとなり、相手FDの足元へ。クリーンシュートを決められた。絶体絶命となったいわきの同点は、アディショナルタイムで成し遂げられた。秋田が逃げ切りそうという雰囲気の中、ペナルティエリア内で、CB河野選手が、岩渕選手のお尻を蹴ってしまい、PK判定となった。
ボールをもってPKスポット付近に立つ岩渕選手に対して、秋田のGKは、すごい形相で何か言葉を投げかけ続け、プレッシャーを与えようとしていた。レフェリーから促され漸くポジションについたが、その身体からものすごい気合があふれていた。このすさまじい緊迫感の中、岩渕選手のキックは、ポーンと軽く真ん中付近に飛んだ。GKは、重心を右に移動したため反応できなかった。ゴール内のボールを取りに行った岩渕選手は、鬼のGKに向かって何か言った。蹴る前の言葉へのお返しのようなものだったのだろう。もちろん、レフェリーは岩渕選手に注意を与えた。
ほとんど勝ち点3を手にしていた秋田としては、ガックリくるPKであった。ただし、このPKが起こる少し前、秋田の選手のペナルティエリア内でのハンドが見逃されていたことを指摘しておきたい。有田選手がドリブルで運び、ペナルティエリア内へパス、これを秋田の選手がスライディングでカットしたが、その際、手にボールが当たった。だが、ノーホイッスル。この選手は、プレーの後、苦笑いを浮かべていたのを映像はとらえていた。天は、どうしても(不運の続く)いわきにPKを与えたかったのだろうか。
次節は、7月5日(水)、ホームでナイターの栃木戦(午後7時KO)。4月23日(日)のアウエー戦では、0-1で敗れた相手に対して、リベンジがミッション。筆者も応援に行ったアウエー戦では、開始早々失点し、それを取り戻そうと押せ押せに奮闘したが、激しいDFで守り切られた。デュエル負けと言っても良いだろう。秋田の吉田兼監督のキーワードが「走る」だったのに対し、栃木の時崎悠監督のそれは「激しい球際」だろう。だが、「魂の息吹くフットボール」を取り戻し、走力+フィジカルに加えトリッキー(油断ならない)岩渕選手が味付けをするいわきに勝ち目があるはずだ。それを信じて応援に行く(きっと涼しいよね)。