ジブリ映画が現代人に与える深刻な問題と危険性について。
僕にはどうやら定期的に無性にジブリ映画を観たくなるという持病が有るらしく年に一回程度発作が起こるのだが、今正に真っ最中で、立て続けに10数本観ている。
少し前まで僕はジブリ作品の全体のテーマとして自然と人間との調和を描いているのだと思っていた。昨今、増え続ける人口に伴い減って行く自然の素晴らしさ、美しさ、偉大さ、強さや弱さを描いているのだと、大自然に対して畏敬の念を抱き、恐れ敬いながら調和を目指す人々の冒険や日常。もしくは、化学が進み全てを数式でコントロールしようとする現代社会へのアンチテーゼだと。
昔からオカルト好きな僕はトトロの森や空に浮かぶラピュタににワクワクドキドキするし、
昔からキャンプが好きで椎名誠を読みあさっていた僕はぽんぽこを観て泣きそうになるし、アシタカの「共に生きる道は無いのか?」のセリフが胸に突き刺さる。
桂枝雀さん曰く、狸達は人間達を自然界の仲間とは認めなくなったのでもう人を化かしたりはし無いのだそうだ、動物園というものが出来てから狸は人を化かす事を辞めたんだそうだ。
普段は全くアニメは観無いのだがジブリのもつ独特な世界感、日常から非日常への滑らかなジャンプ力が心地よく自然に現代の我々をワクワクドキドキの世界へと連れて行ってくれる。
その中毒性にやられてしまうのだ。良い大人がテレビにかじりついてアニメを観てニタニタしている。
ジブリ映画のテーマとはもっとシンプルで観ている人をワクワクドキドキさせたいという事なんじゃ無いかなぁと思っている。
ジブリ映画を観た後、森を散歩すればきっと、トトロが昼寝をしているし、葉っぱの影にはアリエッティが隠れていて、狸達は授業の真っ最中だろうし、神様のお湯屋へ続くトンネルだってあるかも知れ無い。雲の隙間に赤い飛行機に乗った豚がいるかも知れ無いし、遙か上空のラピュタに足元で石達が騒いでいるかも知れ無い。
と、想像するのも楽しい。そんなものいる訳が無い、作り物だよバカバカしい、モルタル製だよと笑っていては豚にされてしまう。飛ばないただの豚に。小さな声に耳をすまして少しだけワクワクドキドキする事が大事なんだと思う。今の僕に足りないのはそんな少しの余裕なのかも知れない。少しだけ優しい気持ちに包まれたら、きっと小さな魔女がお届け物を持ってきてくれるだろう、ドーラの食べていた肉が良いなぁ。あれを食べたらアドリア海の英雄になれるかも知れない。
と、こんな事を真剣に考えてしまうので大人になってからのジブリは大変危険です。皆さん荒地の魔女の呪いには充分注意しましょう。