フィールド・フローの始まりと成長の場所:コワーキングスペース秘密基地
フィールド・フローは北九州のコワーキングスペース秘密基地からスタートしたベンチャーです。そして秘密基地がなかったのなら、存在しなかったといっても過言ではありません。これからも秘密基地の学びを活かして、秘密基地とともに未来を創っていく旅を続けていきます。
〇コワーキングスペース秘密基地からすべては始まった
”集めて・混ぜて・つなげて・尖らせる”のコンセプトのもとに2014年1月にオープンしたコワーキングスペース秘密基地。この場所との出会いがフィールド・フローとしての歴史の始まりでもあります。そしてフィールド・フローの経営に必要なものはすべて。秘密基地から学んできました。
秘密基地はまだ”コワーキング”という言葉も一般化していないような時期に、北九州の小倉駅前の古いビルをリノベーションしてオープンしました。オーナーは岡秀樹さん。建築士でロンドンでシェアハウスの経営も経験してきた方。私はそんな秘密基地のオープンの日に、小倉経済新聞のTed Ohtaniさんに連れられていってもらったことがきっかけ。当時、大手企業の経営戦略・新規事業を担当していたのですが、北九州で取り組んでいたプロジェクトを会社では進められない状態になってしまい、独立して続けようと考えていた時でした。私は直感で、”この場所ならできる”と感じ、お店に入って一歩目で入居することを決めたのです。
そして北九州と東京での二重生活をする中(ちなみに自宅は当時、東京でした。今は神奈川です)、北九州の拠点が秘密基地となりました。その名の通り、夜な夜ないろんな人たちが集まってはお酒を飲みながら対話を重なる、私にとってはリビングルームのような場所でした。ちなみに当時のコワーキングスペースでは珍しく、食事もお酒も喫茶も飲食店並みに充実しており、大きなソファーもあってとてもリラックスできる空間でした。
秘密基地でのかかわりの中でスタートした大きな取り組みが「創生塾」です。コミュニティの中でお互いに教えあう、誰もが先生になり、生徒になるというプログラムを提供していました。といってもどの地域の中にも全国区で活躍できる才能の持ち主はいるものなので、そうした人たちがまずは登壇して引っ張っていっっきました。立ち上げ段階から私も講師として関わり、現在では創業機運醸成のモデルケースとして行政に紹介されたり、他地域から視察が来たり、フランチャイズ的な展開を行ったりするほどになっています。実際に創生塾から創業した方たちも数えられるだけで40を軽く超えています。
そして北九州フードフェスティバルや公共空間活用(国家戦略特区事業)、CCRC(地方創生事業)などにも秘密基地から関わり、本当に多様な分野の方たちとつながって知恵と勇気と機会をいただいてきました。最近ではコワーキング・カンファレンス・ジャパンを開催し、日本のコワーキング関係者を集めて、その在り方や未来像を対話するイベントも行っています。
こうした広く深い秘密基地での経験はフィールド・フローのビジネスを築いていくうえで、重要な示唆を与え続けてくれました。その結果がコンダクターシップという考え方を生み出し、”かせぐまちづくり”というコンセプトで地域戦略の方法論を仕上げるまでに至っています。またこれらの考え方を築けたおかげでDBICや中部経済連合会でのイノベーションプログラムをプロデュースすることも可能になっています。
〇フィールド・フローの成長を支えてくれた特別な場所”秘密基地”
秘密基地がフィールド・フローにとって大切な場所である理由は、始まりの場所ということ以外に、コンダクターシップのトレーニングを受けてもらった人がたくさんいる、というものがあります。秘密基地のスタッフの大半は2日間のブートキャンプに参加してもらっています。つまり秘密基地と関わることは、コンダクターシップのトレーニングがどのような成果をもたらし得るのかを私自身が理解し、そして発展させていくことができる場所でもあるのです。
そして実際にこれまでに秘密基地での沢山の出来事を見てきました。その中でわかったことは、トレーニングだけでは成果は出ない、ということです。もちろんトレーニングは必要です。それは間違いありません。しかしながらそれ以上に"実践し続けること"が重要になのです。実践し続けるには互いのサポートが必要です。悩んだ時に相談したり、新しいチャレンジに背中を押してくれたり、疲れた時に休んだり。言い換えれば、拠り所になる場所が必要なのです。そしてコワーキングスペースという空間はまさに拠り所として、一人一人の支えになることに気づけました。また、スペースがあればいいというわけではなく、そこに信頼に基づくコミュニティが形成されていることも重要でした。秘密基地には"秘密基地ファミリー"という言葉があります。家族のようなつながり、そんなものが根底に必要なのだと感じています。ちなみに秘密基地ファミリーはどうやったらなれるのかはよくわかりません。ただなんとなく素直にかつ主体的に物事に向き合い、対話し、一緒に時間を過ごしていけばなれるようです(笑。そのぐらいのゆるさが大事なのかもしれませんね。
こうして秘密基地で得た学びが一つ一つに知恵に代わり、いまのフィールド・フローの事業を支えています。ちなみに秘密基地でつながった人たちが一緒に事業を進めるために、一般社団法人 まちはチームだ を設立しています。北九州地域でのアライアンスの象徴的な存在であるとともに、実務レベルで契約などに対応するための機関です。そんな戦略的な知恵も生まれるのが秘密基地の素敵なところです。
〇秘密基地と歩む未来
秘密基地は2019年1月で丸5年を迎えました。5年も経つと関わる人たちそれぞれも成長し、立ち位置も変わってきます。個人的には秘密基地は次のステージにきてると感じています。それはより社会的な意義を負い、責任を伴う事業に、リスクをとってチャレンジすることだと捉えています。
その中で私は秘密基地との関わりは続けながらも、秘密基地の学びを広げていく役割を担おうと考えています。他の地域や海外のコミュニティに関わり、自分自身でもコワーキングスペースを創っていこうと考えています。それは秘密基地で立ち上げたフィールド・フローを成熟させることでもあります。まだまだ、旅は始まったばかり。これからも、楽しんでいきましょう。