ポプラ文庫「ナースコール! -戦う蓮田市リハビリ病院の涙と夜明け-」を読んで

ポプラ文庫「ナースコール! -戦う蓮田市リハビリ病院の涙と夜明け-」 川上途行著

前作、「ナースコール! -こちら蓮田市リハビリテーション病院-」の続編第2弾です。
今度は新たな登場人物が登場します。新主任として、作業療法士の迫田まひろという女性がチームに新しい風を巻き起こします。

前作では、リハビリテーション業務に関わる看護師が、リハビリテーションとは何かや各専門職がどんな立場や思いで患者さん達と向き合っているかを描いていましたが、今作では更に深く追求してそれぞれの職域を侵して仕事をするべきか、患者さんのリハビリはどの位に設定してゴール(目標)を決めるのか。治ることの無い患者さんへの治療はどうしたらいいかと、実際の臨床でも起こりうる事にクローズアップがされています。
大勢の人が働く場には必ず誰かと誰かの影響が及びます。
1人がいくら突出して患者さんに効果的な治療を行っても、周りへの影響も考える視点が必要だということに気付かされます。
今回の話の中では、病気が治らない方のQOL(生活の質)を高める為に最善を尽くし、チーム力を発揮する場面があります。
改めて患者さんからの「ありがとう」という言葉は身に染みます。

医療従事者は、治療技術を提供している様にみえて、実は患者さんから目には見えないものを頂いている事があります。
それは「気づき」だと僕は感じています。
患者さんに与える影響は治療技術だけでは無く、心理的な要素が大きいと思います。
発する言葉掛けをひとつとっても、リハビリに対する意欲を失わせる事も持ち上げる事もあります。
そして、大抵はその時には気づきません。
他の誰かに気付かされます。
患者さんは色々な事を考え、感じています。
自分にとって、良いか悪いか、好きか嫌いか。
だからといって、周りを気にし過ぎると目の前の患者さんにとっては良くありません。悪い影響を与える事の方が多いです。

この作品を読んで、ひとりだけで治療をしている訳では無い。目線を変えると、同じ目的で仕事をするチームが居て、独りよがりでは患者さんにとって悪い方向にしかならない事に気付かされました。

最後まで読んで下さってありがとうございました。

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