志村けんさん訃報によせて
物心ついた時にテレビに映っていた『8時だよ全員集合!』での志村けんはそりゃもう衝撃的で、娯楽に欠かすことのできない主食の米そのものとなった。断言しよう。幼少期の私にとってのスーパースターは志村けんだ。
だから訃報を聞いたときには「人生を構成する要素の上で欠かすことのできない大事な柱」を失ってしまったことの喪失感を強く抱いたし、小さい頃にテレビで輝いていた人がまた一人・・・と悲しい気持ちにもなった。
世代間によって志村けんに対する見方は異なると思っている。
「くだらない。バカになるから見るのをやめろ」
父親だけでない。団塊の世代以上の多くは幼少期のわたしにそう話をしていた記憶があるし、ひどい人だと「ドリフやたけし、さんま、タモリ。あぁいう輩が日本の芸能を著しく低下させたんだ!」
中学校時代の先生でこう断罪する方もいた。
20代以下の人には志村けんはどのような景色にみえているのだろうか?
バカ殿、園長。こんなあたりだろうか?
実のところ、志村けんが出演している番組はここ数年見ていなかった。
志村けんは確かに才人だ。しかし、志村けんをコントで最も輝かせることのできる相手はいかりや長介であり加藤茶だと思っている。
何回みても声を出して笑ってしまう。
いかりや長介・加藤茶・志村けん。この3人のせいで私の中での(コントに対する)ハードルはとてつもなく高いものとなってしまい、大抵のコント番組を見てもドリフ仕様の笑いのツボになかなかササってくれず、笑うことができない。
ゆえに、「ねぇ、こんなおもしろいのになんで笑わないの?」と一回りくらい下のツレから白い目で見られ、冷徹人間に仕立てあげられる羽目になったのである。
そんな私が、ここ数年の志村けん出演作品で一番おもしろいと思ったのが、『志村けんin探偵佐平60歳』
伊藤沙莉とのコントは抜群で、志村けんとの再共演を首を長くしてのぞんでいたのだが・・・
「おい志村、何でお前が一番先なんだ! 高木は何歳になった!? 仲本は?加藤は?」
師匠(いかりや長介)に天国で怒られていそうだが、私があの世へ行ったあかつきには真っ先に楽しませてくれることを願っているし、お2人でネタを準備しておいてもらいたい。
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