海老澤剛の生い立ち26-王選手を生で見る ファールでも感動
中学1年の秋、父が会社の人から野球のチケットをもらいました。
何と、川崎球場で行われる巨人対大洋、バックネット裏のチケットでした。
長嶋巨人の優勝が決まり、ナインはホッとしているときで、父の友だちはチケットをお祝いだと言ってプレゼントしてくれました。
川崎球場に着くと、三塁コーチャーに90番の長嶋監督が立ち、テレビで見ている巨人と大洋の選手がずらりといます。
それだけでも感動です。
そして、憧れの王選手がバッターボックスに立ちました。
やはり存在感は抜群!
そして驚いたのは打球の速さです。
まるで人間たちが野球をやる中、一人だけ怪力の大漢が丸太棒を振り回しているようでした。
当たり損ねのファールが高いバウンドで1塁ベースの横を転がっていくのですが、その打球の速さは他の選手のヒットよりも速いのです。
2倍ぐらいの速さに見えました。
もの凄いスピードでライトのファールゾーンのフェンスにぶつかります。
当たり損ねであれだけ速いということは、会心の当たりはどれだけ速いのだろうと思いました。
その日は、王選手はノーヒットでしたが、たとえファールでも感動しました。
後に田淵幸一さんがテレビで、「初めてファーストを守ったとき、バッターが王さんで、もの凄く怖かった」と話してました。キャッチャーをやってピッチャーの快速球を捕っていた田淵さんでも王選手の打球は怖かったのですね。
川崎球場のあの大歓声の中、王選手を見ることができたのは、わたしの記憶の宝物です。
父に感謝です。