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第19号『サスペンション改変の順序、その答えはショックアブソーバにあった〜ノーマルスイフトスポーツから学ぶ正しい足回り〜』

2012年10月30日配信(発行部数 232部)

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プロの整備士の目線で役立つ情報を配信しようと思います。

さて、今回は第19号

『サスペンション改変の順序、その答えはショックアブソーバにあった〜ノーマルスイフトスポーツから学ぶ正しい足回り〜』

です。

前回のメルマガで、間違ったサスペンションの変更が世の中に蔓延していることをお話しました。

市販車のサスペンションは、メーカー開発者が様々な考え、入念なテスト、社内外の障壁、障害を経て苦労して完成させたものです。

ですから、メーカーの開発過程がわからないなら無闇に変更することのできない非常にデリケートな部位といえます。

個人の嗜好で、自動車の外観の変化を与えたい(車高を下げたいなど)なら、サスペンションの機能や「走り」については一切触れてはいけないことも前回お話ししました。

僕は欧州、特に有名ドイツ車のサスペンションに改変という意味で手を入れることはほとんどありません。

サーキットではない一般道を走行するのにほぼ完成の域に達していると思えるからです。

ところが僕は、国産車のサスペンションに対しては、総じてショックアブソーバに不満があります。

近年の国産車はボディー剛性がとても高く、路面からの様々な入力を受けてもボディーが拠れることはありません。

路面からの入力は、的確にサスペンションの動作として変換されます。

せっかく的確に伝わって動作するサスペンションですが、その動きを制御するショックアブソーバの減衰特性が満足できるレベルでなく、

どうも動き(そして収まり)が悪いのです。

路面の凹凸を走破するときの乗り心地

カーブを曲がるときのロールの量と速度

ブレーキを踏んだときのフロントの沈み込み

逆に加速したときのリアの沈み込み

さらには横風に煽られたときの不安定さ

それらは、すべてショックアブソーバの能力不足からくると思っています。

じゃあ、動いてしまうなら動きにくくすればいいのではないか

という単純な考えで、コイルスプリングやスタビライザといったバネ系を硬くするとどうでしょう?

硬いバネが変形するような強い入力が加わり、
元の状態に戻るときはより強力な減衰力をもったショックアブソーバがないと揺動が収まりませんよね。

元々能力不足と感じている国産車のショックアブソーバに、さらに過酷な仕事を強いるコイルスプリングやスタビライザを強化することは
全く間違いであることがわかっていただけると思います。

ここで、具体的な車種を例に挙げます。

僕が以前から注目している車種に スズキ スイフトスポーツ があります。

このスイフトスポーツには特別なショックアブソーバが装着されています。

サスペンションに特別感を与えるメーカーの手法として、有名サスペンションブランドを前面に押し出す例がありますが、知名度が高い方ではないテネコ社「モンロー」のショックアブソーバをさりげなく標準で装着しているところに好感が持てます(ショックアブソーバの色もブラックで地味です)。

そして、「車高を下げる=スポーティ」という間違った図式が、走りを意識する一般多数に受け入れられているにもかかわらず、スポーツと銘打つグレードが、標準スイフトと車高が同じという点に、さらに共感を覚えます。

さらに興味深かったのは、欧州で販売されている標準スイフトには、国内ではスポーツだけに与えられている「モンロー」が装着されていること。

ちなみに、国内で販売されている標準スイフトには、日立オートモーティブ製(旧トキコ製)のショックアブソーバが装着されているそうです。

国内では、スイフトスポーツだけに特別なモンローのショックアブソーバ。

僕がサスペンションに不満を感じない車の多い欧州向けには、すべてのスイフトにモンローのショックアブソーバ。

もちろん、日立のショックを標準スイフトに採用しているのには様々な理由があると思います。

コスト的なメリットがあったのかもしれませんし、かっちりしたサスペンションを乗り心地が悪いと評するユーザに配慮したのかもしれません。

繰り返しますが、僕は、多くの国産車のショックアブソーバに能力不足を感じます。
車高は変えず、まずショックアブソーバの特性を変更。

その結果、必要に応じてコイルスプリング、スタビライザの強弱を決定。

この、僕が国産車のサスペンションの改変に用いる手法に似たことをメーカーがしているように思わずにはいられなかったのです。

そして…
実際スイフトスポーツを試運転してみると、
他の多くの国産車に感じるショックアブソーバへの不満はなく、ほぼ完成の域に達していると感じたのです。

《第19号「サスペンション改変の順序、その答えはショックアブソーバにあった〜ノーマルスイフトスポーツから学ぶ正しい足回り〜」おわり》

それでは、次号をお楽しみに。最後までお読み頂きありがとうございました。


◆たけしくんコメント◆

このメルマガを書いた当時、軽自動車や国産コンパクトカーの標準ショックアブソーバが頼りないと感じることがほとんどでした。

国産車全体に言えることですが、近年ボディー構造や剛性がすごく良くなってきています。それは

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