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第31号『レース車両風改造の落とし穴 〜山道で本当に必要なのは固いサス?~』

2014年7月5日配信(発行部数 374部)

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発行人の「車の修理屋たけしくん」です。

自動車の本来の性能を引き出す調律師です。
明らかに調子がおかしいのに「こんなものです」で片付けられていませんか?
適切に整備された車はとても調子がよく、一般的に考えられているよりずっと長寿命なんですよ。
僕はあなたにクルマを、そしてモノを大切にして欲しいと思っています。
プロの整備士の目線で役立つ情報を配信しようと思います。

さて、今回は第31号

『レース車両風改造の落とし穴  〜山道で本当に必要なのは固いサス?~』

です。

自動車運転技術の巧拙がわかるのは、曲がりくねった山坂道でしょう。

ライン取り、制動、操舵、それらすべてを適切にしなければ、同乗者はもちろん、運転者も快適には過ごせません。

『不規則に現れるカーブの連鎖を華麗に駆け抜けられたら…』

と憧れる方も多いのではないでしょうか?

どんなことにもいえることかもしれませんが、
上達には基礎の上に、延々と繰り返す訓練や鍛錬が必要です。

運転免許を取得するために通う自動車教習所では、自動車の基本的な操作は教わりますが、その延長上にある熟練した運転技術を身につけるための基本も技巧も教えてくれません。

運転免許を手にしたほとんどのドライバーは、その後まともな運転技能教育を受けず、単に運転に「慣れている」だけだと思います。

さて、華麗にカーブを駆け抜けたいドライバーの欲求。

それに大きな刺激を与えるのが、自動車レースです。

レース車両のように一般道を走る車を改変すれば、その走りも手に入れられるかもしれないという幻想を同時に抱くのも無理のないことです。

レース車両は一般的に車高が低く作られていますから、低く構えたフォルムがその走りを連想させます。

車高を無意味に低くする改変がもてはやされる理由です。

サーキットの舗装面は綺麗に整地されていて、車体に動揺を与える路面のうねりや凸凹はほとんどありません。

そして、舗装表面はヤスリのように粗くザラザラで、路面の摩擦係数は非常に高いものになっています。

レース車両の足回りは細かい調整をほどこすために、その多くは車高調整式サスペンションで、一般道を走る自動車と比較してサスペンションストロークは極端に小さく、そして大きな摩擦力で路面に食いつくタイヤで車体が傾くのを抑えるため、さらには、サスペンションを的確に動作させるため支点の強化も含めて非常に固くなっています。

それはいろいろな作動が過敏といえるかもしれません。

ところが、一般道の山坂道は、ほとんどがアスファルト舗装されていますが、路面の凹凸はレース場とは比較にならないくらい大きく激しく、その荒れた路面を的確に捉えてタイヤを接地させるには、ストロークがたっぷりで、柔軟性に富んだ懐の深い足回りが理想です。

純正ノーマルの足回りは、一般道の様々な路面に対応するように綿密に設計されていますから、大きく変更することは避けなければいけません。

僕が純正ノーマルを軸にした改変を提案する最大の理由です。

レース車両のサスペンションとは使う状況も、発揮する性能も全く違うということを知る必要があります。

そして、間違ったクルマの改変を加える前に是非あなたに知って欲しい一番大切なことは、

運転が上手な人は、どんなクルマを操作しても桁違いに上手だということです。

《続く》

《第31号「レース車両風改造の落とし穴  〜山道で本当に必要なのは固いサス?~」おわり》

それでは、次号をお楽しみに。最後までお読み頂きありがとうございました。


◆たけしくんコメント◆

この号からは、しばらくクルマの運転技術をお伝えしています。

僕は学生時代、公式ラリー競技を主な活動とする大学の自動車部に所属していまいた。

WRC世界ラリー選手権をご存じと思います。ラリーは市販車をベースに改造した車両で、一般道を走行する自動車競技です。

クルマが好きで入部したものの、

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