第9号『冷却水は車の生命線』
2012年2月26日配信(発行部数 129部)
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びっくりするほど高額な修理代を見積りされた etc...
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さて、今回は第9号
『冷却水は車の生命線』
です。
ブログでいつも言っていることですが、
水冷式エンジンの冷却水(以下LLC)は
エンジンオイル以上に気に留めなければいけないものです。
オーバーヒートは、皆さんご承知のとおり冷却系等のトラブルで、
LLC量の低下、
水路の詰まり、
冷却ファンの機械的トラブルや
サーモスタットの開き不良など
いろいろな原因が考えられます。
オーバーヒートしたまま乗り続けると過熱による歪みがエンジンに生じ、修理には多額の費用がかかるばかりか、完全に修復できない場合もあります。
冷却系等のトラブルを未然に防ぐには、残量点検がもっとも効果的。
車を始動する前にボンネットを開けてLLCサブタンクの残量点検。
しかし、この簡単な作業がなかなか面倒でできないのが実情だと思います。
せめて定期的に(3ヶ月に一度くらい)点検したいところです。
また、LLCは特有の臭いがありますので、鼻が利く人はリークを臭いで判別してもいいかもしれません。
LLCが暖かいときは、カラメルソースみたいに砂糖の焦げる直前の臭いに似ています。
明らかにLLCが滴り落ちていれば判りやすいのですが、LLCのリークは微弱なものがほとんどで、下に滴り落ちるまでに乾燥してしまうんですね。
知らない間にほとんどなくなっていたということが珍しくありません。
水路はかなり頑丈にできていますので、LLCがドバッと漏れ出すことは稀です。
LLCはロングライフクーラント(Long Life Coolant)の略で、ロングライフではないクーラントは昔「不凍液」という名前で使われていました。
不凍液は毎年交換する必要がある短命なものでした。
そしてロングライフクーラントが主流になり、
寿命は大幅に伸びましたが、それでも最低2年に一度は交換すべきです。
安物の車検では、LLC交換のように手間のかかるものは真っ先に省かれる整備内容でしょう。
また、僕の感覚ですが、
走行距離というよりもエンジン稼働時間でLLCの寿命が決まるような気がします。
稼働時間の長いエンジンに使われたLLCは、不凍性能は維持していても、
防錆性能や、消泡性能が著しく低下しています。
毒性の強いLLC、
最近は環境負荷低減のために超ロングライフクーラントが主流になりつつありますが、多走行車にはメーカー指定の7年や10年を待たずに交換するのが無難だと思います。
防錆性能が低下すると水路の金属が腐食されます。
また、泡が立つと当然断熱されて熱伝導に悪影響を及ぼします。
さらに言うとLLCを規定濃度にする溶媒(水)も重要です。
石灰質の水道水(いわゆる硬水)で希釈すると通路に石灰状のものが生成し、
細く狭いラジエータ内の水の通路を詰まらせる原因になります。
腐食や詰まりのある水路はリークの危険性が高まります。
しかも入り組んだ水路全てをリフレッシュするには多額の費用が発生します。
お乗換えをお奨めする場合もあります。
水路がいくら腐っていようが、車の調子にあまり影響しませんから一般的に発見が遅れがちです。
LLCを定期的に適正に交換している車は水路の痛みはほとんど発生しません。
お車と末永くお付き合いするためにはエンジンオイルの定期交換ももちろん重要ですが、LLCの定期交換も同等以上に気に留めておく必要があるでしょう。
《第9号「冷却水は車の生命線」おわり》
それでは、次号をお楽しみに。最後までお読み頂きありがとうございました。
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