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雑記 沖縄の神々 フールヌ神

沖縄にいる神々の名前と簡単な説明。まずはこれ。

フールヌ神
 トイレの神様。フールはトイレという意味。ヌは「の」がなまった接続詞。数年前にヒットした植村花菜さんの同タイトルの曲は、彼女の祖母が琉球弧の奄美出身のため、琉球のフールヌ神と同じ。女神様である。

逸話

 昔、沖縄がまだ始まったばかりのころ。いろんな神様が集まって、これからのことを話し合っていた。
 ある神は「自分は屋敷の神になる」といい、他の神は「それでは自分は井戸の神になろう」といい、お互いがどこを守るかを決めていった。
 ところが便所だけは、家の中で一番汚い場所で、守るのが大変そうなので誰も成り手がいなかった。
 すると、この様子を見ていた一番力のある神様が「それならば私が便所の神になろう」と立候補した。
 これがフールヌカミの由来とされている。フールとは方言で便所のことで、もっと詳しくいうと普通の便所ではなく、豚を一緒に飼っていた昔の便所のことをそう呼んだ。
 昔は人間の排泄物を豚のエサとして与えて、利用していたのである。そのためひどい匂いがしたそうだが、そんなこともかまわずに自ら守ると宣言した強い神様がいるために、豚の便所は昔から魔除けとしても利用されて来た。
 夜道でマジムン(妖怪)に会った場合は、家に帰ってからフールの豚を起こしてブーブーと鳴かせると良いといわれてきた。そうすることによってフールヌカミも目を覚まし、マジムンから守ってくれると信じられて来た。
 そのため現代のユタ(沖縄のシャーマン)は、この豚を鳴かせるという行為のかわりに、現代のトイレでは水を流すという行為を推奨するものもいる。
 またマブイ(魂)を落とした場合や、屋敷の拝みのときにも、現在でもフールヌカミに拝む場合が多い。
 豚を飼わなくなった現在も、フールヌカミは沖縄の人々の信仰のかなめとなって、伝わっている。
 西表の祖内に伝わる話ではフールヌカミとは女神であり、そのためにも便所は美しく保たないと、失礼だといわれている。


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