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怪談・チブルガーエー
沖縄県中部の人から聞いた話。ガーエーとはエイサーをやっている時に別地域の集団と対峙した際に、言葉、音楽、動作などで相手に喧嘩を売るがごとく威勢を伝えること。現在は観光的にソフトになってきているが昔は殴り合いもあったそうである。ヒートしすぎて殺し合いになったなんて話もちらほら。
その地域の伝承によると、ガーエーになると先祖のチブル(頭)が旗頭の後ろに現れるという。頭というより生首っぽい。昔集落で首を切られたものたちらしい。チブルが出たらトウガンを代わりに集落の拝所に昔は備えたという。最終的にトウガンは誰かに破られてぐちゃぐちゃにされた。見た目が残酷なので最近はやらない。
後日談として、トウガンをお供えして割るのはやらなくなったが、その後トウガンはスイカに代わり、そののち公民館でスイカ割に使われた。しかしそれも現在ではトウガンの代わりではなく、夏の風物詩としてみんなで食べる。平和な風習に変化した。
さて一番気になるのはチブルガーエー、すなわち過去に首を切られた先祖の生首であるが、もう何年も誰も見たことはないという。集落のサーダカー(霊感のある人)によると、ガーエー自体もスポーツになってしまい、みんな上(霊界)に上がってしまったとのこと。
まあ、平和だから良いのか。時代とともに怪異も変化するのである。