不沈空母現れる‼️
馬毛島の今~姑息な基地批判
皆さんは、馬毛島という小さな島をご存知だろうか。
安全保障問題に敏感な方ならすぐにピンとくるかもしれないが、ロケット発射基地として有名な鹿児島県の離島「種子島」の西側に位置する島だ。
面積わずか8平方キロメートルという小さな島だが、現在ここは中国の海洋進出に備える前線基地としての工事が進んでいる。
(上記写真は工事中の馬毛島を撮った航空写真)
完成後は、戦闘機の離発着が可能な長い滑走路を備える航空基地となるほか、南方に展開する自衛隊部隊の補給基地としての機能も有する。
また大型艦船の接岸もできるので、米軍の航空母艦が接岸したり、その搭載機の離発着訓練場所としても利用できることから、中国に対する大きな抑止力となる。
台湾有事の際に、巨大な米軍基地や自衛隊基地を有する沖縄が攻撃対象となった場合の後ろ盾となる位置付けとも言えよう。
抑止力は他国に対する脅威として機能し、それが日本の平和を維持することに直結している。
ただこの種基地問題になると、必ずと言っていいほど「市民グループ」なる団体が出てきて
基地反対、平和を守れ・・・
などというシュプレヒコールをその周辺で上げるのが常である。
しかし、いかんせん馬毛島は種子島から10キロ以上も離れたところにある基地だけの島であり、自衛隊と工事関係者以外は近寄ることすらできない。
回りに迷惑を受ける住民すらいない。
おまけにこれだけ本土や近くの島から離れていれば、基地に伴う騒音問題もない。
このため島の工事は現在のところ静かに進行しており、沖縄をはじめ全国各地の基地問題報道で見かけるようなその種団体の反対運動もなく、逆にその静けさが不気味なほどである。
さすがにメディアも、日本の南西方面の海洋進出を試みる中国を脅威と捉えるようになった民意に抗えないと思ったのだろうか。
テレビもあまりこの基地の問題を全国放送することもないので、県外の方は基地のことさえ知らない人も多いと思う。
ところがである。
地元の某テレビ局は違った。
我こそは地元の平和を守る最後の砦(?)とばかりに、巧妙に基地反対の報道を仕掛けた。
まず、地元種子島市長が基地反対の姿勢で当選したことを前面に持ち出して、その援護射撃をするかのように自衛隊関係者との基地誘致折衝の経緯を事細かに取り上げて反対派寄りの報道を展開した。
ところがその市長が、基地受け入れに伴う莫大な補助金と、その恩恵にありついて地域活性化を図ろうとする賛成派の議員や住民の声に抗しきれずに基地受け入れに転じるや、その変節を批判する論評を掲げて、なんとか基地反対の民意形成を図ろうとした。
しかし日本は民主者義国家である。
どれだけメディアが煽っても、最終的な判断は自治体の長と議会が下す。
それが選挙制度のある国の本当の民意だ。
勝負あったかに見えた。
すると今度は、馬毛島の歴史と環境問題を持ち出してきた。
あまり知られていないが、かつて馬毛島は有人島で、数百人規模の住民が居住して主に漁業に従事していたことがある。
その頃は小中学校まであったほどだ。
そして、これまで取り上げたこともないその島の短い歴史を、まるで大切な文化が失われるかのように悲嘆して報道した。
しかしもともとこの島は水利が悪く農業には不向きの地であり、漁獲高が減少すると再び無人島となって、その後は馬毛鹿という島独自の生態系を育んできた鹿のみが生息する地となった。
すると、その馬毛鹿やその生態を維持している島の自然環境を守れと騒ぎだした。
これまで馬毛島の歴史や自然に触れたこともなかったのに、基地問題が起きると突然
馬毛島の歴史が踏みにじられ
馬毛鹿が基地の犠牲に云々・・・
と言い始めたのである。
しかしここまでの対応、つまり地域の自治体の対応を利用したり、環境破壊論を持ち出す手法は、左寄りのメディアであれば、全国どこの基地でも見られてきた。
ただここからが凄かった。
先日ニュースを見ていたら、基地反対の姿勢を貫く地元報道局が、なんと基地受け入れに賛成している地元団体の代表にインタビューしていた。
インタビューする相手が反対では?
と思い映像を見ていた。
その人は、地元で農業に従事している方で、馬毛島に基地誘致の話が持ち上がった時から
馬毛島は無人島なので工事が着工
となれば、その準備は全て種子島
を経由して行われることになるし
自衛隊員も種子島に居住するよう
になり、地域経済の底上げが期待
できると思った
と語っていた。
なんだ
そんな意見の方を取り上げたら、
まるで基地賛成じゃないか
ついに自局の考えを180度変えた
のかな?
と思ってしまった。
しかしその報道局が本当に使いたかった彼のコメントは、次のものだった。
基地が来て儲かったのは、漁業補償
を受けた漁協関係者や土木工事業者
だけだった。
農業をしている我々には何の恩恵も
なかった
今では受け入れに賛成したことを後
悔している
もう少し時間をかけて検討すべき問
題だったかもしれない・・・
つまり、その人に芽生えた基地に対する失望をことさらクローズアップして、テレビを見ている人にさも受け入れ賛成者にまで反対者が出るに至ったと受け取れるような印象を与える内容だった。
なるほど、そうきたか❗
私はその方の変節をなじるつもりはない。
人間誰しもわが身が可愛いので、何らかの問題に賛成・反対の意思を表明するとなれば、内心まず己の利益になるかどうかということが判断要素のひとつとなってもおかしくない。
だから、基地問題は自分が生業としている農業にはあまり関係のない話ではなかったと分かり、初めて自分の正直な気持ちを吐露したのだろう。
おまけに人間の考えというものは、その時々で少しずつ考えが変わるということはよくあることだ。
問題は、それら純朴な地元住民の自然な感情の吐露さえも自局の報道姿勢に取り入れて巧妙に利用しようとするやり方だ。
テレビはおそらく放送するだけでよい。
しかしこの方は、自分の発言の一部をテレビ局に都合よく切り取られて利用されたことにより、地元での自分の立ち位置に対する批判の矢面に晒されたに違いない。
おそらく彼は自らが所属する基地誘致賛成の団体からは、白い目で見られたことだろう。
何を今さら反対派のようなことを
言い出すのだ・・・
などと。
この手の手法、つまり発言の一部を切り取って、報道に利用するというやり方はよくある。
政治家が記者会見などで、発言の一部を切り取られ、偏向報道に利用され憤慨したということも幾度も目にしてきた。
過去にも、元大阪市長を務めた
橋下 徹 氏
が従軍慰安婦の問題について記者会見で持論を述べた時、その問題の歴史的経緯や世界の軍隊の慰安婦の実情などをこと細やかに説明したにもかかわらず、まるで氏が
従軍慰安婦は必要だった
と考えているかのように切り取り報道されて、韓国のメディアや国民から一大バッシングをされて国際問題となったことがある。
馬毛島を巡る報道姿勢にも、このような印象操作が見え隠れする。
どうも日本のメディアには
まず結論、つまり「反戦・平和」
という姿勢があり、それに沿うように報道内容を合わせているような気がする。
その証拠に彼らは、その中国軍艦船が、鹿児島と種子島の間の狭い海域である大隅海峡を何度も通過して太平洋側に出ていくことを繰り返していることを取り上げたりしない。
現実の脅威については見ないふりをする。
自分たちの報道姿勢と合わない事実については無視するか、無視できなくなれば、最低限の事実だけ報道するかだ。
どれだけ日本が他国の脅威にさらされようが、その他国に対して声を荒げる主張をするところは少ない。
今後中国が、実際に台湾や我が国の領土である尖閣諸島に武力侵攻した時に、彼らの報道姿勢がどうなるか見ものだ。
中国は、どうもその水路を将来アメリカと覇権を争うための太平洋への出口と考えているようで、北海道と青森県の間の津軽海峡の狭い公海上も、そのように頻繁に通過していると聞く。
また、鹿児島県から沖縄県までは、奄美諸島や琉球諸島が点在するだけで、中国が行き来できるところは多い。
尖閣諸島などは、一触即発の状厳しい状態である。
まさに自由に行き来できると言っても過言ではなく、この点については鹿児島や沖縄県に住む方は、他の地域に住む日本人より中国に対する危機意識は強いと思う。
おまけに、その南には台湾があり、台湾有事の際に南西諸島の住民をどうやって避難させるかということは自治体でも真剣に検討されており、九州内の複数の自治体に受け入れ先としての打診がなされているほどである。
さらに日本の領海や排他的経済水域には莫大な海底資源を眠っていることが近年の海底地質調査で判明しており、中国が日本近海へ出没するのは、それを狙っているという話もある。
あながちはずれではないだろう。
かの国は大陸国家から海洋国家へ大きく変遷しようとしているのだ。
日本近海が南シナ海のように、海底資源争奪の最前線となる日が迫っているのだ。
そうなれば日本に対する大きな脅威でもある。
かつて江戸時代末期に、アメリカのペリーが4隻の蒸気船を従えて江戸湾に入ってきた時、多くの日本人は
泰平の眠りを覚ます上喜撰
たった四杯で夜も寝られず
(当時高級茶の代名詞であった
「上喜撰」を来航した4隻の
「蒸気船」に比喩して詠まれた
もの)
という心情となって驚いたが、決してうろたえるばかりでは終わらなかった。
その後、尊皇、佐幕と別れた民意を一つにまとめて、欧米の脅威に毅然と立ち向かいながらも明治政府を立ち上げ、国を守るために欧米から学ぶべきものは取り入れて、最終的には近代国家の礎を作った。
時は移り現在、今日本の安全保障環境は、黒船ならぬ
赤い船
で脅かされるに至っている。
今こそ黒船の脅威を乗り切ってきた先人たちの知恵を学び、迫りくる新たな国難に立ち向かう時だろう。
メディアが平和な日本で、憲法9条に固執したり、何ら裏付けのない反戦平和論で民意を煽ったりしている間も、世界情勢は刻々と緊迫の度合いを深めている。
ことここに至っては、メディア以外の者も声を挙げる時かもしれない。
いや既に心ある真の日本人はその声をあげはじめているが、いまだマジョリティーとはなっていない。
幸い今やSNSという誰でも参加できて、瞬時に世界中に情報発信できるサービスがたくさんある。
本当に日本のことを思うのてあれば、これらの情報手段を使って声を挙げ、おおきなうねりとするべきではないだろうか。
では私であれば、この馬毛島の基地問題について、どう声をあげるか。
さしずめ
浮沈空母現る!
馬毛島は今~姑息な基地批判
とでもタイトルをつけて、この基地がいかに日本の安全保障上大切なものであるか、そしてそれが日本の大きな抑止力となって、平和を維持することに貢献することとなるか。
結果として、そういう思いで書いてしまった今回の投稿になった。
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