正負の法則。
僕の数少ない友達との会話で
「得るものあれば失うものもあるよね」
という話になった。
というのも、社会人になりたての僕たちは
お金には余裕が出てきたが
時間は刻々と奪われていると感じていたからだ。
とある休日。
その日発売の”ロストジャッジメント裁かれざる記憶”
というゲームを買いに行くことを
前々から計画してたので、電気屋に向かった。
もしかしたら即刻完売しているかもしれない。
という一抹の不安を抱いていたが
幸いにも期待に反してくれた。
「これください」
と意気揚々に(実際にはわくわくしてるのはみせない)店員さんにいう。
無事ミッションを完了し車に乗り込み
帰ろうとしたが、
このまま帰ってすぐさまゲームをやるのも
なんだかもったいない気がしたので
焦らすことにした。
パチンコ屋に行った。
決して依存症というわけではないが、
たまに運試し程度にやるのが好きなのだ。
そしてその日は特にゲームをやる楽しみを
焦らすための時間潰しの意味合いがつよかったので
いくらか儲けることができた。
物欲センサーは健在ということだ。
小一時間ほど時間を費やしたが、
そろそろゲームをやりたい欲が抑えきれなくなってきたので
意気揚々と帰ることにした。
家につき、コーラとポテチをセットし
寝巻きに着替え、コンタクトを外し
座椅子に鎮座する。
舞台は整った。
さっそく武者震いしながらカセットをセットする。
しかし
ディスクがよみこめません。
この一点張りだ。
なぜだ?!
と心で思いながらよくよくディスクを確認すると
“PS5”
と書かれていた。
唖然。
なぜなら僕はPS4なのだ。
この時の絶望感といえば
宝くじに当たった!と興奮していたところに
「あれ、それ数字ひとつちがうよ」
といわれたようなもの。
この例はいらなかったかもしれない。
とにかく絶望したのだ。
だが立ち直りは早いのが取り柄の僕は
すぐさま購入先の電気屋に電話をし
返品ができないか確認することにした。
ぼく 「先ほど購入したものなんですが、ps4用だと思って買ったものがps5用のものだったんですが、返品できますか?」
と、悪魔でも冷静に淡々と
誰か他の人に頼まれたのではというほど
感情をなくし機械的に発した。
店員 「パッケージを開けてしまってたらできませんね」
予想はしていた。だがそれでも1%の奇跡に
どこか期待していた。
人間はどんな状況でも可能性に魅せられ
そして落ちる。
そんなことを思ったのか思ってないのか
今はもう思い出せない
僕は次の手段を考えた。
「そうだ売りに行こう」
今日発売ということもあり、売れるであろうことは間違いない。
そう思い、すぐさま買い取ってくれるとこへ駆け込む。
もちろん買取価格が、販売価格を上回ることはない。
マイナスであることは明白。
今度はその期待にしっかり応えてくる。
世知辛いよのなかだぜ。。
最初に買った電気屋とは違うところで
“PS4”とパッケージに書かれたそれを買う。
今度は間違いない。
家につきゲームを起動。
よかった。ついた。
これで、長い一日が終わった。(昼の12時)
この時この間友達と話した
“得るものあれば失うものもある”
という言葉を実感した。
ギャンブルで勝った分、
しっかり自らのミスでプラマイゼロに戻している
時間的にいえばマイナスだが。
これは1時間の間に起きた出来事である。