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現場で学んだ『S&Cコーチのリハビリへの関わり方』

noteをご覧いただきありがとうございます。

今回は、『S&Cコーチのリハビリへの関わり方』について書いていきたいと思います。

私は、現在所属するチームでS&Cコーチ(以下、SC)として選手のパフォーマンスアップに携わりながら、Return To Play(怪我からの競技復帰)の担当SCとしてリハビリにも関わっています。

リハビリ期間中に、選手の身体のコンディション(筋力、スピード、アジリティ、持久力、体組成など)を向上させることができるように取り組んでいます。

他のSCの方々がどのような関わりをされているか分かりませんが、私の場合は積極的にリハビリに関わっているSCではないかと思います。

そこで、実際に現場で感じていることや個人的な意見について書いていきたいと思います。



ATとSCの連携


ATとSCの連携や、SCのリハビリへの関わり方に悩まれている方も多いのではないでしょうか?

私は、SCもリハビリの早い時期から積極的に関わった方がいいと考え、現場では早い時期から関わっています。


連携がうまくいかない原因として、リハビリ計画やプログラムをお互いにしっかり把握できていないことが考えられます。

例えば、SCが出すプログラムの強度が高くて調子が悪くなったり、ATから引き継いだ時の選手のコンディションが想定していたよりも良くなかったりするケースがありました。


以前まで私は、SCに引き継ぐまではすべてATの責任、と考えていました。

しかし、担当する領域に違いはあってもリハビリに関わっている以上、うまくいかなかったらSCにも責任があると思い、関わり方を変えるべきなのでは?と思うようになりました。

ATとSCの連携がうまくいかないしわ寄せは選手にきます。
さらに、大幅に復帰時期が遅れることで、チームにとってもマイナスにしかなりません。


このようなケースを回避するためにも、ATの担当部分もSCが把握することで、初期から復帰まで繋がりのあるリハビリができると考え、現在は早い時期から関わっています。



リハビリへの関わり方


今の現場での私の役割は2つあります。

①プランニング
・長期:受傷直後から復帰まで
・中期:1週間単位
・短期:1日単位

②プログラム作成
・ジム
・オンフィート:走る、跳ぶ、止まるなどグラウンドで行う
・オフフィート:バイクやローイングなど器具を使う


復帰までに4週以上かかる怪我の場合、長期的なプランをATと一緒に作成します。一緒に作成することで、リハビリの流れを共有します。

プログラムは、ATからの意見も取り入れながら、ベースはSCが作成します。怪我の種類によっては、リハビリ初期からオンフィートやジムのプログラムの作成をすることもあります。


再受傷のリスクを最小限にし、復帰に向けてパフォーマンスを上げていくためには、オンフィートとジムの“強度や量”、“週あたりの頻度”、“適切な休息日の設定”といった繊細な調整が必要になります。

リハビリ中に選手に不具合が起きた場合でも、お互いの考えが共有されているので、すぐにプランを変更したり、プログラムを修正したりすることができます。そうすることによって、復帰時期が大幅に遅れるような問題が起こらなくなりました。


このように、リハビリ初期からSCが関わることで、引き継ぎでのトラブルがなくなり、問題が起きてもすぐに適切な対処ができます。



まとめ


SCがどこまでリハビリに関わるか...
リハビリのどの期間で引き継ぐか...
それぞれ、チーム文化やチームのATとSCの考え方によっても違ってくるので、正解はないと思います。

また、大前提としてSCがリハビリに介入するには、怪我やリハビリに対する知識と理解が必要です。それらがないとATからも信用してもらえません。


リハビリの成功の鍵はATとSCが協力し合うことです。
専門性が違うからこそ、お互いの強みが活かせるようなシステムを作り、力を合わせて選手をサポートすることが、より早く、より良い状態で復帰させることに繋がります。

そのためにも、普段から密にコミュニケーションをとり、良い関係を築いておくことが何よりも大切だと考えています。

今回の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。



昨年末に『ラグビーS&CコーチにおけるRTPへのアプローチ』というテーマでセミナー講師を務めさせていただきました。
実際にチームで行っているRTPの取り組みをはじめ、ATとSCの連携を円滑に行うための工夫やチームで使用しているリハビリプロトコルについてもお話しました。今回の記事を踏まえて見ていただけるとさらにイメージが湧くと思います。
ATとSCの連携で悩んでいる方やこれからリハビリシステムを構築される方はぜひ参考にしてください。



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