『リハビリをスムーズに進めるための工夫』
noteをご覧いただきありがとうございます。
前回は『S&Cコーチのリハビリへの関わり方』というテーマで、S&Cコーチである私がチームでどのようにリハビリに携わっているか、について書きました。
今回の内容は前回の内容とも関連しています。
前回の記事も合わせて読んでいただけると、より理解が深まると思います。
今回はATとSCでリハビリをスムーズに進められるように、現場で行っている工夫について書いていきます。
イメージを共有する
リハビリの初期からSCが関わる場合、ATとSCの間で『リハビリの進め方』やリハビリで選択するドリルの『強度のイメージ』を共有することが重要です。
私が所属するチームの場合、ATが数名在籍していて、一人一人考え方や進め方も違います。
このような環境で、ATとSCのイメージを共有することは難しく、日々のコミュニケーションだけでお互いの考えを理解するには相当な時間が必要になります。
そこで、所属するチームではリハビリに関して、ATとSCで共通認識を持つために以下のようなドリル表を作成し、リハビリで活用しています。
リハビリを3つのステージに分けています。
ステージ1が初期、ステージ2は中期、ステージ3が後期となっています。左の数字は各ステージを表しています。
リハビリで頻繁に実施するドリルを、各ステージに合う強度で分類しています。
アジリティ、リニアのステージ1から3までの流れを簡単に説明すると
《アジリティ》
ステージ1:ムーブメントテクニック
ステージ2:クローズドスキル
ステージ3:オープンスキル
《ランニング》
ステージ1:ムーブメントテクニック
ステージ2:加速、減速、コンディショニング
ステージ3:競技の動きを取り入れた加減速
となっています。
このように分類することで、どのドリルを、どのステージで行うか、ATとSCの間で共通認識を持つことができます。
ここではアジリティとリニアの分類だけを紹介していますが、この2つ以外にもラグビーやアメフトに必要な要素をいくつか設定し、それぞれの要素ごとにドリルを分類しています。
上の表はATと一緒に話し合いながら作成しているので、お互いの考えやイメージを共有することができます。
実際のリハビリでは、表にないドリルも実施しますが、大まかな流れやドリルの強度は上の表に基づいて進めていくようにしています。
リハビリに関わり始めた当初、ATと進め方や考え方の違いがあり、うまく連携が取れませんでした。
しかし、上の表を作成したことで、『どの動作ができれば次のステップに進めるか』、『復帰まで具体的にどのような流れで進めていくか』が明確になり、コミュニケーションが取りやすくなりました。
また、上の表を運用することで、引き継ぎでのトラブルもなくなりました。
例えばステージ1をATが担当し、ステージ2からSCが引き継ぐ場合、上の表に沿ってリハビリを進めることで、“急に負荷が上がり過ぎる”といったことや、SCが引き継いだときに“想定していたよりも状態が良くない”といった問題が起こらなくなりました。
さらに、コーチにも上の表を共有しているので、リハビリの進捗状況や選手の状態を聞かれた場合も、どの要素がどの段階まで進んでいるかといった情報をわかりやすく伝えることができます。
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まとめ**
チームでリハビリを円滑に進めていくためには、怪我に対する知識も必要ですが、リハビリに関わるスタッフが円滑にまわる工夫やシステム作りも同じぐらい重要だと感じています。
『より早く、より良い状態で選手を復帰させる』という目標に向かって関わっていくために、スタッフ各々の考え方を交流しながら、共通の認識を持つことが大切だと考えています。
それを表にするなど、視覚的にもわかりやすくすることで、チームのどのスタッフが見てもわかるようにしておけば、円滑に進められるのではないかと思います。
うまく連携が取れず悩んでいる方は、このような資料を作成することで、お互いの考えを共有できて、コミュニケーションも取りやすくなると思います。
今回の内容が少しでもお役に立てれば幸いです。
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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