声優、日笠陽子さんの掛け合い朗読が楽しい「ナチュラルボーンチキン(金原ひとみ著)」

『金原ひとみが贈る、中年版「君たちはどう生きるか」』
というAudibleの紹介文の一文が心に刺さって聞いてみた。

金原ひとみさんといえば、『蛇にピアス』で芥川賞を受賞した作家さん。
今まで作品を拝読したことはなかったが、拝聴してみた印象は描写や比喩用言が的確かつ、ときにコミカルで、文字で読んでもスラスラと頭に入って来そうだなという心象だ。

朗読は「けいおん!」など数々の有名作に出演している日笠陽子さん。
アニメとは違い抑揚を抑え気味でナレーションされているので、疲れずに聴いていられる。

感情の起伏が乏しい浜野さんと、自由を謳歌している平木さん二人の掛け合いがテンポが良くてすごく楽しい。さすがセリフを読むプロという感じで、このまま二人の掛け合いがラストまで続いて終わってくれても全然良かったなと思えるほどだった。

ちなみに平木さんのフルネームは平木直理(ひらきなおり)で「えっ、平木直理……ひらきなおり?」と絶句する浜野さんに「平木という姓は再婚した父のもので前の名字は『中』だったので『なかなおり』でした」と幼少期の頃からの鉄板エピソードをぶち込んでくる平木さんのやり取りに思わず車内で聴きながら一人爆笑した。

また恋愛要素も絡んできて、しばらく恋愛をお休みしていた40代同士の敬語混じりなたどたどしい会話などもあり、若い男女の恋愛ものとは違ったドキドキ感も楽しめる。

何か大きな事件が起こるわけじゃないけど、読者が共感できる日常感や描写、比喩表現などが秀逸でほっこりしたり、ドキドキしたりと様々な感情を経験することができた。

こちらの作品、単品だとちとお高いが、Audibleの会員になると30日お試し無料で聴けるので気になってる人は無料体験で入ってみるといいと思う。他の話題の小説やビジネス書なども聴き放題なのでぜひ。




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