奇行で得られる快感
昨日は、固定された交友関係やボッチでいることが、内的世界をコンパクトにしてしまうという趣旨のnoteを書いた。ある種自分に向けたnoteだったので、近ごろの反省もかねて、今日は街頭インタビューを決行した。
インタビューは、日本から出国する前まで在籍していた媒体に寄稿するための取材の一貫。みんなが働いている時間を外して、午後1時のからの30分と、午後5時半からの2時間弱で済ませた。簡単なアンケートと、ちょっとした会話による取材だ。
白状すると、それまでは今日もスタバに行ってバナナ&チョコチップケーキと日替わりコーヒーを堪能していた。やっぱスタバは快適。
夕方は、仕事終わりの人々や、学校帰りの学生が公園や緑地帯でのんびりしている。特に敷布もなしに、芝生に座り込む。マテを飲むのもこちらの習慣だ。中には、彼女を押し倒して猛烈なキスをしている男もいる。見たい気持ちを押し殺して前を向く、童貞的な歩行者はぼくだけで、みんな気にも留めない。人のことに興味がないのか、自分の世界に入り込んでいるのか、どちらにしても他人に対してとやかく言わないのがここでのルールらしい。
芝生でおっ始めそうなくらい濃厚なキスをするという、ぼくにとっての奇行をもろともしないアルゼンチン人からしたら、黙って近づいてきて「ちょっとお話いいですか?」とスペイン語で訪ねてくる東洋人のほうが、よほど奇人に映るはずだ。ぼくの笑顔はさぞ気味が悪いだろう。だからこそ、最初は街頭インタビューも小っ恥ずかしく、意味もなく声を掛ける人を選んでいた。ただ、今日中に15人をヒヤリングすると決めていたので、途中からそうもいっていられなくなった。なにせ午後1時からの30分では、2人としか話せていなかったのだから。
手当たり次第に、声をかけていくうちに、その奇行が心地よくなる。もしかしたら、女装をする男はこんな感覚なのかもしれない。自分の膜が破れて、自由になっていく感覚。芝生でキスするカップルみたいに、何も気にせず、思うままに。この高揚感を味方に付けて、15人へのヒヤリングを終えた。今日はちっぽけな目標を達成できたので、ビールを二缶飲んだ。明日は20人を目標にしよう。一際臭いカメムシみたいな虫けらだって、脱皮を繰り返して成虫になるんだ。
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